#193 Suicaはスイスイ通れるか?

2002/03/05

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 JR東日本は、昨年春からの埼京線などでの試験運用を経て、2001年11月18日より、非接触型の自動改札機用プリペイドカードSuicaのサービスを開始した。「Super Urban Intelligent Card」の略だそうだが、「スイスイ行けるICカード」という意味も込められているとのことである。JR東日本もかなり本気で普及させようとしているようで、駅頭などに臨時販売所などを設けて販売しているのをよく見かける。私も発売から間もない11月22日に、Suica(イオカードの方)を早速購入してみた。

 Suicaは、形状はクレジットカードのような厚みのあるプラスチックカードである。最初に購入する際には、利用金額のほかにデポジット(預かり金)500円が必要になる。このデポジットは、カードを利用しなくなったら返納とともに払い戻される。

 改札を通る際、それまでの挿入型のイオカードの場合はカードを機械の挿入口に挿入すれば、機械を通してチェックされ、その先の出札口から出てくる仕組みになっているが、Suicaの場合は、カードを所定の位置に近づければ、チェックされるという仕組みである。この辺が「非接触型」と呼ばれる所以で、定期入れや財布やポケットの中にあっても、きちんと近づければチェックされるようになっている。従って、カードをこれらの中から探し出す手間が省け「スイスイ行ける」というものである。人間の手間を省くためのテクノロジーもついにここまで来たか、という感もあるが、実際のところSuicaを使ったら本当にスイスイ行けるのかというと、どうもうまくいかないようなのである。

 Suicaは、読み取り部に正しく近づけチェックされれば「ピッ」という音が鳴り、読み取り部の周りのLEDが点灯する。チェックされていない場合は「ピリリリ」という警告音が鳴り、読み取り部が点滅する。しかし、都会の駅の雑踏の中ではこの両者の区別が分かりづらく、実際には正しく認識されていないのに改札を通過してしまうということがよくある。認識してないのであれば扉を閉めてくれればいいのだが、実際にはそれが間に合わずそのまま通過してしまうことが多い。

 このため入札や出札の記録が欠けてしまい、次に使うときに記録が異常になって、有人改札でチェックしてもらう、ということをもう4回もやらかしている。こっちがちゃんと正しく近づけないという問題もあるかも知れないが、チェックしたのか否かが、もうちょっと分かりやすくなっていれば、例えば正しくチェックしていない時にはLEDを赤く点灯させるとかすれば、そういうミスも少なくなるとは思う。

 よしんば、表示が分かりやすくなったとしても、あるいは正しく認識されるように使い方に気を付けたとしても、それまでの挿入型のカードに比べて「スイスイ行ける」という感じがしない。というのも、ちゃんと認識したか否かを確認する部分が、手前の読み取り部にあるため、そのまま前に進むことが出来ず、確認のために入り口付近で止まってしまうからである。挿入型の方は、ともかく入れてしまえば自分は先に進めるため、こっちの方がかえって流れはスムーズになっている気がする。多分に慣れの問題もあるのかも知れないけれど。

 その他、カード単独で利用履歴がわからない(券売機などで履歴印字をする必要がある)、JRから他車線への乗り継ぎ改札機にSuica対応のものがまだ少ないなどのデメリットもあり、どうしても従前のイオカードの方が使いやすいと感じてしまう。定期券の機能にイオカードの機能がついたSuica定期券の方であれば、機械で更新ができたり、無くしても再発行ができたりなど、確かにメリットも大きいのだろうが、Suicaイオカードの方はまだ今のところあまり積極的に使おうという魅力に欠けているのが正直なところである


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