#192 パスネットへの要望

2002/02/25

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 鉄道の出入場に自動改札機を初めて採用したのが阪急電鉄であった経緯もあり、こと鉄道の自動改札機に関しては、関西圏は首都圏よりもはるかに早く普及していた。私が関西に在住していた20年ほど前にはすでにほとんどの会社で自動改札機を採用していた一方、首都圏ではまだ有人改札が多数残っていたことを考えると、彼我の差は歴然としていた。

 1996年3月、出張で久々に関西に行ったときにはスルッとKANSAIと言うプリペイドカードがスタートしていた。これは、大阪市営地下鉄をはじめ関西圏の鉄道会社5社(当時)について相互に利用できるプリペイドカードで、複数の会社線を利用する際には非常に便利である。私もこの時は早速サービスを開始したばかりのこのカードを購入し、用務先と宿泊先の往復などに有効に利用することができた。当時首都圏では、単独社用ですら自動改札対応のカードが少なかったことを考えると、やはり首都圏は遅れているなあと感じられた。

 それから4年ほど遅れて2000年10月、ようやく首都圏でも17社線(当時)で相互に利用可能なカード「パスネット」が登場した。電車に乗るときは通勤以外の目的の方が圧倒的に多く、従って利用するたびに自動販売機で切符を買っていた私のような利用者にとっては、まさに登場を待ち望んでいたカードである。

 というわけで、今や私にとってちょっと遠出する際には必携となったパスネットであり、今のままでも便利には違いないのだが、利用頻度も高いだけに、使っていると細かい不満もつい出てしまう。技術的に難しいものから簡単なものまで、以下に挙げてみよう。

★残額が初乗り運賃を下回ると入場できない

 パスネットに関して一番不便に感じるのがこの点である。折角切符を買う手間を省くためのパスネットなのに、残額が初乗り運賃を下回ると、結局カードを使って券売機で切符を買い求めるしかない。スルッとKANSAIの方は、残額が10円でも残っていれば入場できることを考えると、この差は細かいようで大きい。出場の際は自動精算機を使ったり、新しいカードと一緒に入れて精算できる改札機などもあるのだから、パスネットの方も是非10円から利用できるようにしてほしい。

★割引がない

 JRのオレンジカードやテレホンカードには、1000円のカードで1050円分利用可能というように、なにがしかの特典がついているものだが、パスネットにはそれがない。5%なりとも多く使えるサービスがあれば、パスネットももっと普及すると思われるのだがいかがなものか。

★JRで利用できない

 関西圏に比べると相対的にJRの利用率が高い首都圏において、JR東日本が結局パスネットに加入しなかったのは、利用者にとっては残念なことである。JR東日本は、後年SuicaというICカード式のカードを開発する関係でパスネットに加入できなかったという話だが(Suicaについては、頁を改めて述べる予定)、おかげで現在では、JRを利用するときはイオカード、他車線に乗る場合はパスネット、通勤路線の場合は通勤定期と3種のカードをとっかえひっかえしながら使っている。改札の前で慌ててカードを入れたら別のカードだった、などという失敗もたびたびである。

★バスでも利用できない

 スルッとKANSAIの場合は、現在はバス路線でも使えるようになっているが、パスネットの方は未対応である。現在南関東1都3県で使えるバス共通カードが存在するが、たまにしかバスを使わないような人の場合は、バスにもパスネットが使えると小銭がない時など大変重宝することと思う。もっとも現行のバス共通カードの方は、割引率が大きい(5000円のカードだと5850円分も使える)ので、こちらの方にも捨てがたい魅力があるのだが。

★図柄が凡庸

 利用する際にはあまり関係ないのだが、各社から出ているパスネット対応のカードはなぜか図柄が凡庸なものが多い。1000円も3000円も5000円も、同じ図柄を使っているか、せいぜい色が違っている程度で、あまり面白くない。唯一美しいデザインのカードを出しているのがSFメトロカードで、野鳥や風景など、月単位毎に美しいデザインのカードを出している。私の妻など、デザインがいいという理由で、地下鉄でしかカードを買わないほどである。売上げにも大きくかかわってくるものだから、各社とももう少しがんばっていいデザインのカードを出してはいかがだろうか。


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