#174 i-modeメールの翳

2001/07/12

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 というわけで、i-modeをお持ちの方。とりあえずメールアドレスを電話番号のものからオリジナルのものに変更しただろうか。おさらいしておくと、i-modeのデフォルトのメールアドレスは、電話番号がそのまま書かれているので、簡単な規則でメールアドレスが作られ、無差別に送られるSPAMの対象にされやすいから、受信過多による課金損害や迷惑を被らないためにも、オリジナルのものに変更した方がよいという話であった。

 もっとも、契約者数が2500万からいるi-modeであるから、今やおよそ誰もが思いつくような文字列はほとんど登録済みになっていることだろう。名字や名前はおろか、ありふれたニックネームなどをアドレスにしようとしても、大抵は登録済みになっており使えないものと思われる。で、名前に生年月日を繋げてみたりとか、そういうやや長いアドレスになってしまったりしがちであるが、そのくらいはまあ我慢しよう。どうせメールアドレスなんてアドレス帳に登録してしまえば、自分で打込ことなんてほとんどない。

 そんなこんなで、とりあえず一安心、などと思ってもらうのはちょっと早い

 i-modeの便利な機能として、メール中の電話番号がハイライトになり、そこを選択することでその番号に電話がかけられるという機能がある。また同様に、i-mode用のページには、例えば<A HREF="tel:0123456789">〜</A>というエレメントを使うと、そのアンカーを選択すれば指示された番号に電話をかけることができるという機能がある。大変便利な機能ではあるのだが、これを悪用すると、例えばハイライトになっている文字列をわけもわからず選択したら、とんでもないところに電話をかけるなどといういたずらができてしまう。

 昨年(2000年)5月、i-mode用のページで「勇気があったら押してみろ」などと書いてある文字列を選択すると、110番通報するようなページがあった。ページの作者がメールで煽ったりしたために、6日間の間に少なくとも30都道府県警に計8500件の「通報」があったらしい。ちなみにこのページを作った作者は偽計業務妨害の罪でほどなく逮捕されたが、警察の調べに対し「メール仲間から注目されたかった」という供述がなかなか奮っている。

 上記はまあ、わけもわからず押した方にも責任がないとは言えないが、最近ではメールを開いたりページを見るだけで、勝手に電話をかけたりメールを送りつけたりできるメールやページがあるらしい。今のところ大規模な被害報告はないようだが、こちらの方は、ほとんどユーザーの意志に関係なく自動実行されてしまうだけに、事態は深刻である。

 技術的には、HTMLにおける画像展開に関係する技術を悪用したものであるため、i-modeの設定で「画像表示設定」をオフにすれば、その機能を停止することができる。もちろんこれによりi-modeのページ閲覧に関する一切の画像表示ができなくなってしまうため、どうしても画像を見たい場合は、必要に応じて機能をオンに戻したりする手間はかかる。また、当たり前のことであるが、素性の知れないメールやページは無闇に開かないという、ユーザー側の注意が大事であることは言うまでもない。

 このほかにも、Javaアプリの実行に伴うセキュリティホールが見つかったSO503iや、一部機種で一定間隔で着信できなくなる状態になるP503iなど、爆発的な売れ行きの裏で技術的欠陥がぽろぽろ出ている機種もある。何にせよ便利さの裏には危険や落とし穴が潜んでいるものだ。今のところパソコンの世界ほど酷くはないが、このような、利用者に不利益となるような欠陥については消費者としてきっちり文句を言うようにするべきだろう。


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