#173 i-modeメールの影

2001/07/04

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 私が自分の携帯電話をi-mode対応のそれに替えて、もうすぐ2年になる。その当時(1999年10月)の電脳を読み返すと「契約者が200万人を突破した」とか書いてあるが、今やi-modeの契約台数はそれどころの騒ぎではなく、NTTDoCoMoの発表によれば2001年7月中に2500万台に到達しようという勢いである。日本人の実に5人に1人が持っている計算になるわけである。他の携帯電話会社も同様のサービスを行っているとは言え、これはもう圧倒的にNTTDoCoMoの一人勝ちという状況である。

 i-modeはデフォルトの場合、(電話番号)@docomo.ne.jp というメールアドレスが付与される。基本的に電話番号は端末固有のもので重複しないから、多数のアドレスを付与する場合には都合がいい方法である。もちろん、ユーザーの設定により、こういったお仕着せのアドレスからオリジナルのアドレスに変更することもできる。私もi-modeを買った翌日(当日は手続きが完了していないのでまだ変更できない)に速攻でオリジナルの名前に変えた。生の電話番号がメールアドレスになっているのは、電話番号が漏洩していくようで気持ちが悪いと感じたからである。

 だが、アドレスを変更する必要性というものはもっと別のところにあった。電話番号によるアドレスは(携帯電話の場合先頭の090は共通なので)高々8桁の数字を生成することで、簡単に作られてしまうために、無差別なSPAMメールの格好の標的となるのである。

 i-modeの契約台数は約2500万。もちろんそのすべてが現在も有効とは限らないし、ちゃんとアドレスをオリジナルのものに変更しているものもあるだろうが、むしろ買ったままの設定になっている人の方が多いだろうから、少なくとも1000万のアドレスは先の(電話番号)@docomo.ne.jp になっている可能性がある。8桁の数字で生成されるアドレスはたかだか1億個であるから、無作為に送っても少なくとも10個に1個はちゃんとi-modeにメールとして届くわけである。一度テストすればどれが有効なアドレスかもわかるので、二度目以降はもっと無駄を省くこともできる。メールを送る方はタダ同然なのだから、効果があるかどうかは別にしても、これほど楽な宣伝方法はない。

 実際、何かの報道番組でどこかの小さな会社がSPAM用に携帯電話のメールアドレスを生成している様子が報道されていたのを見たことがある。そこでは、Excelのフィル機能を使って、大量のi-mode用のアドレスを生成していた。たかがその程度の作業にExcelなんかを使うのもどうかとは思ったが、それはともかく、送信元はこんな具合で無作為に生成したアドレスに誰彼構わずSPAMを送りつけているのである。

 単にSPAMが鬱陶しいなら無視すればいいだけの話なのだが、i-modeの場合、受信したメールについても受信者に課金されるのが更に問題を根深いものにしている。勝手に送られて来た迷惑なメールに対して受けた側がお金を払わなくてはならないというのだから、これは確かにやりきれない。ちなみにEZwebの場合はアドレスは最初からオリジナルのものをつけることになっているし、J-skyの場合は、i-modeと同様デフォルトのアドレスは番号を基本にしたものだが、一定文字数のメールの受信には課金がないため、SPAMの被害はi-modeの場合に比べそれほど深刻な問題にはなっていないようである。

 こうしたことからNTTDoCoMoも、デフォルトのメールアドレスの変更をするよう大きくPRしはじめた。そんなことより受信に課金する方式をなんとかしろよと思っていたら、ついに、一定のパケット受信については無料にする方針を明らかにした。私のように初めからアドレスを変更して迷惑メールの被害をほとんど被っていない者にとっては、実質的な値下げになるわけで、喜ばしいことである。

 またこのほかにも、アドレス変更などの際に利用するiMenuの利用料を無料にしたり、受信拒否アドレス登録機能を拡大したり、新しい契約については番号式のアドレスを使わないようにしたりと、ここへきてようやく積極的な対策に乗り出してきたようだ。しかし依然として受信メールに一律課金する方針は変えていない。

 ちなみに、メールアドレスの変更など、i-modeでのメールに関する設定の変更は、「iMenu」−「6.オプション設定」−「1.メール設定」で行える。一回やればある程度効果はあるので、まだやっていない方はお早めに。


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