2001/02/14
本日2月14日はバレンタイン・デーである。日本では、女性から男性にチョコレートを贈って愛を告白できる日となっているが、最近では「義理チョコ」という、すなわち愛情とかそういうものとは違うけれども普段身近でお世話になっている男性上司同僚その他に感謝の気持ちをこめて贈ると言う、言わば盆暮のお中元お歳暮みたいな位置付けの習慣まですっかり定着してしまったみたいで、男性社員の多い会社に勤めるOLさんたちなどは大変だなあなどと余計なことまで考えてしまう。
聞くところによると、西暦3世紀のローマ帝国では、自分の家族や愛するものと離れたくない理由で若者がなかなか戦争に出たがらなかったそうだ。このことに手を焼いていた当時のローマ皇帝クラウディウス2世が、事態を見かねてついに結婚を禁止してしまった。ところが、イタリア中部のインテラムナという町のキリスト教司祭聖バレンチノは、この禁に反して若者を結婚させ続けていた。このことはやがて皇帝に知れ、バレンチノは皇帝にローマ宗教に改宗するように命ぜられたがこれを拒否。かくして聖バレンチノは西暦270年2月14日に処刑されてしまった…、というのが、そもそもバレンタイン・デーの由来だそうだ。
この聖バレンチノには、投獄中に目の不自由な娘に祈りをささげ目を治してしまったという言い伝えがあるのだが、彼が処刑前にこの娘に「あなたのバレンチノより」というカードを贈ったことから、バレンタイン・デーに家族や愛する人とカードの交換をする風習ができたらしい。事実アメリカではバレンタイン・カードはクリスマス・カードに次いで多く交換されていると言う。よって欧米では、バレンタイン・デーは、男女に関係なく、家族や恋人とカードや贈り物などを交換するというのが一般的なようである。
しかし日本では、1958年に新宿伊勢丹デパートであるチョコレートメーカーがセールをやったことがきっかけで(あるいは神戸三ノ宮が起源という説もあるが)、なぜか女性が男性にチョコレートを贈るという習慣ができてしまった。もともとキリスト教になじみの薄い日本では、バレンタイン・デーも盆暮のお中元お歳暮と同様、セールス目的という別の思惑が先にあったらしい。
そして3月14日に、今度は男性が女性に贈り物をするという「ホワイト・デー」の習慣も、福岡のあるマシュマロ会社が起こしたキャンペーンが起源である。言わば「2匹目のドジョウ」という奴だが、貰った恩は返さねばという日本人気質に共鳴するところがあったのか、これも徐々に定着している感がある。
最近では更に、4月14日を「オレンジ・デー」とし、「バレンタイン・デー」と「ホワイト・デー」で贈り物を交換し合った恋人どうしが愛を確認するためにプレゼントを交換しあう日とする「3匹目のドジョウ」を狙ったものまであるらしい。また5月13日、つまりバレンタイン・デーから88日目を「メイ・ストーム・デー」として、別れ話を切出してもよい日というものまであるらしく、もう勝手にしてくれという状態である。
とまあ長々と蘊蓄を語ったところで実は今までの話は全然電脳に関係ない話だったりするのだが、ここからが一応本題。昨年5月に猛威を奮った「ILOVEYOUワーム」の亜種が、今年のバレンタインのこの時期を狙って再び猛威を奮っているそうだ。
一つは欧州を中心に流行している「Cartolina(イタリア語でカードの意味)」というもので、例によってOutlookのアドレス帳に登録された全員にメールをばらまき、更にInternetExplorerのホームをイタリアの音楽サイトhttps://www.vije.it/にすり替えるとのこと。バレンタイン・デーにバレンタインカードを模したメールが届けば、つい開けてしまう人間がいるのも頷ける。
もう一つ流行しているのが「Onthefly」というもの。こちらも添付ファイルを開くとOutlookに登録されたアドレスすべてにメールをばらまく。ちなみにこのワームはまたの名を「Anna Kournikova(アンナ・クルニコワ)」という。かの有名な国際的女性テニスプレーヤーの名だ。彼女の名前につられて添付ファイルをクリックしてしまう諸兄が後を絶たないため、こちらの方は猛烈な勢いで蔓延しているらしい。
チョコレートは義理でもなんでももらって嬉しいものだが、こういったウイルス付きのメールはなるべくもらいたくないものである。