#151 メモリの無駄買い

2001/01/15

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 2000年の暮れにかけて、パソコンのメモリの相場がかなり下がってきた。もともとパソコンのパーツというものは、年々どんどん高性能のものが出来てくるため、時間が経つに連れ価格は単調に値下がりするのが普通なのだが、メモリの価格に関する限りはそうでもない。パーツとしてのメモリは、PCメーカーへ卸すメモリの余剰分が主な供給元であるため、PCメーカー側の需要の大小によって市場への供給が大きく変わり、その結果値段が大きく上下するのである。また供給元極めて限定されており、かつてはある会社の半導体工場の火災によって生産ラインが著しく減少し、価格が急騰したこともあった。

 私の自宅用のWindowsマシンは、ロートルながら合計128Mbyteのメモリを積んでいるため、Windows95で動かしている分にはまずまず充分なのだが、妻のパソコンは32Mbyteしか積んでいないため、画像を多く開いたりするとメモリ不足が顕著になってきたと言う。そこで、メモリも安くなってきたことだし、いっちょ適当なメモリを買ってきて増設してあげよう、と思い立った。

 妻のパソコンは3年程前に買ったIBM製のものだ。筺体を開けてメモリのタイプを確認すると、スロットはわずか2つしかなく、その1つに32MbyteのDIMMがくっついているだけのようである。念の為マニュアルを見てみると、確かに3.3Vの168pinのSDRAM使用と書いてある。しかし「最大搭載量は64Mbyte」というのが引っ掛かる。

 せっかく増設するのだし、空きが1スロットしかないし、今なら128Mbyteでも1万円しないのだから、どうせならできるだけ大容量のメモリを増設したいものであるが、「最大64Mbyte」ということは、残り32MbyteのDIMM一つしか挿せないということになる。しかし考えようによっては、このPCが出た当時の最大容量のDIMMが32Mbyteで、それが2スロットなのですなわち最大64Mbyteというようにも解釈できる。本当に32Mbyte超のメモリを認識できないのか否か。それが問題である。

 近くのパーツ屋には、もはや最低でも64MbyteのDIMMしか売っていない。マニュアルを持参して店員に聞いて見ても、果たして本当に32Mbyte超のDIMMを挿せないのか否かはわからないし、恐らくIBMのサポートに聞いても、分からないだろうとのことである。(マニュアルには64Mbyteが最大と書いてあるわけだから、それ以上はサポート外ということなのだろう。)ちなみに64MbyteのDIMMは4800円。しかし、たかが4800円とはいえ、使えなければまったくの無駄である。

 秋葉原で探してみてもやはり32Mbyteはもう過去の物らしく、しかし128MbyteのDIMMが4800円で売られていた。こうなるとつい目が眩む。そこのパーツ屋の兄ちゃんは、DIMMなら基本的には上限はないですよ、なんて調子のいいこと言うし、安さに負けてつい買ってしまった。帰って妻のパソコンに早速増設してみる。しかし、悲しいかな妻のパソコンはピーピー鳴くだけでちゃんと立ち上がってくれなかった。やはり128MbyteのDIMMは認識してくれなのだろうか。もしかすると単にBIOSが古いせいで立ち上がらないだけなのかも知れないが、BIOSの書き替えに失敗して立ち上がらなくなっても困るし、泣く泣くあきらめることにした。ちなみに私のパソコンのメモリはSIMMなので、そちらに回すこともできない。

 というわけで、現在使っていない128MbyteのDIMMが1枚余っている状態なのである。職場の適当なパソコンに増設してもいいのだけど、身銭を切って人のパソコンを強化するのも馬鹿馬鹿しい。しかし使わずに飾っておくのももっと馬鹿馬鹿しい。どなたか余った32MbyteのDIMMお持ちでないですか。差額3000円で128MbyteのDIMMと交換しますよ。


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