#142 ありがとうDimageV

2000/11/07

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 これまで幾度となく「デジカメを買い替えようか」などとぼやいてきたが、今まで2年以上使い続けた私にとって初めてのデジカメ「Minolta DimageV」も、いよいよもって調子が悪くなってきた。

 撮影待機中、液晶モニターが時々ブラックアウトしてしまうのである。もともとDimageVは、レンズ部分を取り外し、間にエクステンションケーブルを繋いでまるでろくろ首のようにカメラ本体とレンズを離して撮影するという面白い機能があったのだが、それが徒になったのか、カメラ本体とレンズの接続部分の端子の接触が悪いとブラックアウトしてしまうようである。何度か動かしているとまともになるので騙し騙し使っていたが、頻繁に起こるようでは、人に頼んでシャッターを切ってもらったりするときに突然画面が暗くなったりするので具合が悪い。

 このDimageVを買った当時は、ちょうどスマートメディアが5Vのものから3.3Vに移行しつつあった時期でもあり、そのため5Vしか使えないDimageVはそれこそかなり値下げされて売られていたのだが、案の定5Vのスマートメディアは、標準添付2Mbyteのもの1枚のほか、すぐに新たに2枚を予備用に買ったものの、その後は店に注文しなくては手に入らなくなってしまった(ちなみにスマートメディアの記録面を表にしたときに、左上が欠けているのが5V用、右上が欠けているのが3.3V用である)。ということで、5Vのスマートメディアも含めて今やもう誰も使っていないだろうと思われるようなロートル機種である(と言っても発売されたのはわずか3年半前なのだが)。

 DimageVは、使い勝手については現在のそこらのデジカメに比べても抜群にいい方だと思っている。デジカメの元祖とも言えるCASIOのQV-10のようにレンズ部分が回転し、シームレスな光学2.7倍ズームを手動レバーで動かせるので、フレーミングが一瞬でできる。電源スイッチやシャッターや、録画/再生切換えスイッチがすべて右手片手で届く範囲にあり、非常にクイックに操作を切換えられる。今ではその辺のよく使うボタン周りには手垢がつくほど使い込まれている。

 固定焦点で画素数が35万画素と少いせいもあるかも知れないけど、ほとんど押したタイミングで記録するのでシャッターチャンスを逃すことなく撮影できる。また撮影した画像の検索や再生も早い。重さは245gと決して軽い方ではないが、厚みがないため胸ポケットに入れておけるサイズも使いやすい。

 一方レンズが暗いため、室内での撮影がフラッシュを焚かない限りほとんど絶望的である。私の場合、劇団の稽古の様子を写真に撮ってWebに掲載するという使い方が多いだけに、この弱点は痛い。また5Vのスマートメディア採用機種のため、動作には単3電池4本が必要で、しかも電池の持ちが悪いというのも難点である。室内の撮影のためにフラッシュを多用すると、いくらニッカド充電池を使ってもすぐに電池切れになってしまう。

 また2000年になって、ファイル作成日時がなぜか2028年になってしまうという「2000年問題」も見事に発現してしまった。これについては、Minoltaのサポートページがタイムスタンプを修正するプログラムを提供していたが、GUI型のプログラムでフォルダごとの処理になるため大量処理には向かず面倒なので、自分でPerlのスクリプトを組んで対応した。だがいずれにせよ、保存の際に手間が一つ増えたことには違いない。

 デジカメは今や300万画素時代に入っているようだが、Webへの画像貼り付けと、はがき大程度に印刷するくらいの私の使い方では35万画素でも十分である。だから今のデジカメの調子が悪くならない限りは使い続けるつもりであったのだが、調子が悪くなってしまったのでは致し方ない。

 ありがとうDimageV。お前は劇団の稽古をずっと記録し続けてくれた。ロシア出張の時には、灰かぶりの危険に晒されながらも、よくがんばってくれた。今の妻との出会いから、デート、結婚、旅行の写真もずっと記録し続けてくれた。電車やバスの時刻表などの記録にもずいぶん役にたった。下らないものも沢山撮った。構えずに気軽にシャッターを切ることができるため、写す楽しみを教えてくれた。撮った写真は400Mbyte以上、6000枚は下らないだろう。よく働いてくれて感謝している。あとはゆっくり休んでくれ。

 というわけで、浮気するわけではないんだけど、早速新しいデジカメを物色することになったのであった(続く)。


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