#136 エクスプローラはなぜダメか(その1)

2000/09/28

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 Windows9x以降、Windowsのファイルを管理するプログラムとしてWindowsに標準で添付されているのがエクスプローラ(Explorer)である。ファイルはパソコンを扱う上での基本的なデータの単位であるから、ファイルの管理はパソコンを使いこなす上で非常に重要な作業なのだが、Explorerを使ったファイル管理は何故だか非常に面倒である。

 私は普段、自宅にせよ職場にせよ、はたまた出先で使う携帯端末にせよ、いずれもMS-DOSのパソコンを常用している。MS-DOSはそれ単独では、何をするにもコマンドばかりで操作しなくてはならないため、初心者には習得が難しく使い勝手が悪いものと思われがちであるが、だからこそ不便な環境を少しでも改善しようと、便利なフリーソフトが数多く作られ使われてきた。それらは限られたメモリの中で動くことを余儀なくされたため、動作が比較的早く(ソフトの場合「軽い」などとも言う)、またOS自体が単純なため、動作も比較的安定していた。

 中でもファイラーと呼ばれるソフトは、それまでcopyやdelやmkdirなどのコマンドを駆使して行わなくてはならなかったファイル管理を、見た目に分かりやすく簡単に行うことができるソフトとして、MS-DOSの使い勝手を飛躍的に向上させた。とりわけFD(File and Directory)というソフトは、使いやすさ、動作の早さ、安定性、そして何よりフリーであることから、MS-DOSのパソコンを使う者の中で知らぬ者はいない程に普及した。

 FDの操作方法はその後のMS-DOS上で動くファイラーの手本ともなり、その後類似のファイラーがいくつも登場した。ちなみに私の場合は、HP200LXを使いはじめた頃から、FDと操作方法が類似しており、かつFD以上に機能の拡張が容易なK-Launcher(以下KL)というファイラーを常用している。

 前置がだいぶ長くなったが、以下ではExplorerの使い勝手の悪さについて、私がDOS上で利用しているKLやFDと比較することで検証してみる。

 ファイルを管理する際に最もよく行う動作が、ファイルの閲覧である。ファイルにはもちろん名前が付けられているけれども、似たような名前がいくつも並んでいたりすると、最終的にはそのファイルの内容を見て判断したいということは多い。特に文書ファイルなどの場合は中身を参照しなくてはならない機会は多いだろう。FDやKLなどの場合は、リターンキー一つで内蔵のビューワーが瞬時に起動されファイルの中身が表示されるが、Explorerそのものにはビューワの機能がない。従ってそれぞれのファイルの拡張子に応じて関連づけられたソフトが起動するのだが、たとえ文書ファイルでもエディタが立ち上がるのは時間がかかるし、閉じる時も終了動作をしなくてはならないので煩わしい。まして文書ファイルを閲覧しようとしてMS-Wordなんかが立ち上がったりした日には、作業能率が悪くなること必定である。

 次によく使う機能が、ファイルのコピーや移動であろう。FDやKLの場合は、対象となるファイルをスペースキーと矢印キーを使って選択してから、コピー/移動先のディレクトリを指定してコピーや移動を行う。とりわけKLは、FDが標準ではサポートしていないディレクトリ丸ごとのコピー/移動ができるほか、2画面表示となっているので、あらかじめコピー/移動先のディレクトリを同時に表示させることで操作が簡単になる。

 Explorerの場合、複数のファイルの指定はShiftやCtrlキーとマウスの併用によって行う。キーボードとマウスの両方を使うのは、必ず両手を使うと言うことであり面倒である。コピー/移動先のフォルダを見つけるのもこれまた一苦労で、ファイルをドラッグしながら左のツリー画面をスクロールさせて目的のフォルダを探したりしなくてはならない。またほんの少し手元が狂っただけで別のフォルダにドロップしてしまったりして、探し出す(Explore)のに一苦労だったりということもある。そのため私は最近では、ファイルの整理を行う時は、Explorerを2つ並べて表示してくれる「Double Explorer」というものを使うようにしている。これだとコピー/移動先をあらかじめ表示させておいてから実行できるので確実だし楽である。(続く


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