#135 理想の携帯端末

2000/09/21

<前目次次>


 理想の携帯端末というものを考えてみる。

 もとより携帯端末は個人のニーズに応じて自ずとベストの選択が決まるものだという結論を前回導き出したばかりなのではあるが、それでも、多くの人に対してより使いやすい最大公約数的な携帯端末というものはきっとあるに違いないと思うし、また当然、技術革新によってより小型軽量かつ高性能の電子部品はこれからもどんどん開発されていくであろうから、今よりももっと便利で小さい携帯端末が出きてくるに違いないと思う。未来の携帯端末への注文を兼ねて、あれこれ想像してみるのも面白いだろう。

 まずこれからの時代、インターネットを抜きにした情報収集は考えられない。情報の新鮮さにおいてインターネットに勝る通信手段は今の所ないと考えられるからだ。それが1対多という形ならWWWだし、1対1のパーソナルなものならメールというのが、現在のインターネットの主な利用形態である。携帯端末がこれらを標準サポートすることは今後は必須になるであろう。

 今の所、これらをある一定のレベルでクリアし、初心者にも手軽に使えるようにしたものは、i-modeに代表される携帯端末電話(以下携帯電話)であろうと考える。従ってこの携帯電話をベースに必要な機能を付加していくと、便利なものができそうだ。

 重複になるが、携帯端末のもう一つの重要な役割として個人情報管理がある。中でもスケジューラ・住所録・そしてフリーメモの機能は欠かせない。これらの機能が携帯電話に加われば、かなり強力な携帯端末として使えそうだ。

 まずスケジューラは、日付と時刻をテンキーで入力し、あとは音声で「第1会議室で打合せ」とか録音すれば入力は非常に楽だ。ワンボタンで次の予定を教えてくれる他、予定時刻の前になったら、アラームと自分が入れた音声で「第1会議室で打合せ」とか知らせてくれるのである。

 住所録は今でも電話番号やメールアドレス登録などはできるので、これを拡張し、さらに住所や会社などの情報をメモとして入力できるようにする。そして検索もいろいろなフィールドから検索できるようにすれば、非常に便利である。また携帯電話に自分のIDを登録し、名刺交換がわりに赤外線で個人情報の交換ができるようになると便利だ。ちょうど子供たちがゲームボーイでポケモンを交換するみたいに。

 フリーメモはちょっと難しいかも知れない。液晶画面にスタイラスペンで書いたものが5画面くらい記録できると便利かも。あるいは、すでにCASIOが腕時計で実用化しているように、小型デジカメを搭載して、必要なものを撮影してしまうというのもいいかも知れない。もちろんテキストのキー入力も(がんばれば)できるようにする。まあ技術的に難しければこの機能は省いてもいいかも知れない。

 これらのデータやWebから得た情報などは、ケーブル接続や抜き差し可能な小型のメモリ媒体を介して、パソコンで再編集できると便利である。

 現在携帯電話が最も普及しているのは北欧諸国だという。あちらではすでに、携帯電話で買物ができるようになっているそうだ。もちろん手数料などがかかるのでまだあまり一般的ではないようであるが、その辺の問題をクリアすれば、いずれ携帯電話が財布やクレジットカードがわりになるのだろう。

 そうなってしまえば、もうあとは外出する時は携帯電話一つあれば何でもできるようになり、例えば携帯電話でハンバーガーや切符が買えるとか、携帯電話で本が読めるとか、携帯電話で出先から家の風呂を沸すとか、携帯電話で車や家の鍵を開けられるとか、携帯電話で住民票の移動や確定申告ができてしまうとか、ともかく何でもかんでも携帯電話ひとつで用が済んでしまうのである。

 でも、そこまで何でもかんでも携帯電話一つでできる便利な世の中になってしまうと、万が一その携帯電話を落とたり無くしてしまった時にはえらい騒ぎだろう。もはや携帯電話は自分のIDそのものになってしまい、財布やクレジットカードを落とすどころの騒ぎではないかも知れない。

 余談だが、先日も私の知人二人が相次いで携帯電話を紛失して大変困っていた。あまりにも小さくなると落としたり無くしたりという危険性も高い。ちなみに私の場合は、バネで伸び縮みするひもを携帯電話のストラップがわりにつけて、ズボンのベルト留めのところにひっかけてあるので、落としたり無くしたりということはあまりない。これ便利ですよ。

 というわけでメーカーさん。こんな携帯電話、開発してくれませんかね?アイデア料は応相談ということで。


<前目次次>