#120 電子家計簿

2000/06/01

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 私の職場の労働組合の依頼で、家計簿調査と言うものに協力することになった。

 昔から親にお小遣い帳をつけるよう躾られていたせいか、私は子供の頃からおこづかい帳というか、家計簿をつけ続けている。ノートに買物の内容と日付を記録し、順次残額を計算し記録していくという単純なものだ。つけ続けることが苦にならないというより、むしろ楽しいものだとすら思っている。実際の残額と計算がぴったり一致するとちょっとした満足感すら覚えてしまう。

 私が初めて自分のパソコンを買った時に最初にやったことは、ワープロでも通信でもなく、パソコンで家計簿をつけることであった。社会人になってからは、食費だの光熱費だのと項目別に月合計額を出す試みをしたのだが、項目別の計算をノートの上でやるのは、結構手間がかかりミスも多くて大変な労力を感じていたからだ。パソコンを使えばその程度の計算は朝飯前である。

 ちなみに私のつけている家計簿というのは、実際にはこんな具合である。

 2000/04/22:H:-950:記念切手
 2000/04/22:L:-777:はぶらし、シップ
 2000/04/22:C:-1050:靴下
 2000/04/22:L:-3045:傘
 2000/04/23:F:-240:コーヒーなど
 2000/04/23:M:-594:クリープ、生クリーム

 要するにただのテキストファイルに、日付と項目と金額と摘要を並べていくという極めてシンプルなものだ。各フィールドはコロンで区切っており、2番目の項目は、食費とか光熱費とかの項目名を、入力しやすいようにアルファベット1文字で表したものだ。日付はエディタのマクロ機能を使って、コンビネーションキー一発で入力できるようになっている。ともかく、面倒がらずに毎日つけること、そのために出来る省力化はとことん行うことが、家計簿を続ける秘訣である。

 従って、残高の計算などという面倒なことは、それこそパソコン側がやるべき仕事である。と言っても、たかだかこれだけのことに表計算ソフトなどという大げさなものは使わない。私の場合は、これらのテキストファイルを読み込み、現時点での項目別の合計と総収入/総支出と残高を表示させるAWKのスクリプトを作り使っている。普通ならもたもた表計算や家計簿専用のソフトを立上げる間に、コマンド一つで現在の集計結果が瞬時に画面に表示されるので便利である。

 出先でも家計簿をつけられるように、家をしばらく留守にする時は、この家計簿データを愛用の携帯端末HP200LXにコピーする。出先では携帯端末で記録をつけ、家に戻ったらこれらの記録をまたパソコンに戻す。もちろんHP200LX上でもAWKは動くので、いつでも集計結果を参照することができる。こうして何時でも何処でも家計簿をつけることを可能にしている。

 そういう性格であるので、結婚してからも家計簿をつけるのは私の仕事であるし、それとは別に自分の劇団の財布も預っている。特に公演当日など、時々刻々とお金の出入りがあるときには、携帯端末のおかげでこれらのお金の出入りをその場で記録し決済できるので、非常に便利である。

 というわけで、組合で依頼された家計簿調査などというものは私にとっては別に苦労するようなことでもないと思っていたのだが、いざやってみると結構戸惑いがあった。私がつけている分類項目と依頼された家計簿調査におけるそれとが微妙に違うのである。

 何より面倒なのは食費である。私の場合は、記録の手間を省くため、食費は外食かそうでないかだけを区別する簡単なものなのだが、その家計簿調査では、食費を主食費(米やパンやうどんなど)と副食費(肉や魚など)と嗜好品費(お菓子やお茶など)と外食費とに分けて記録せよという。スーパーで一度に買ったものをこれらの項目別に分けて、消費税分まで分配して記録するのは結構面倒である。新聞代は私の分類では情報通信費なのだが、その家計簿調査では教養娯楽費になるのだそうだ。このように、今まで自分がつけ慣れてきた分類とは微妙に違っているため、結局は自分のつけている家計簿とは別に記録することになった。

 その家計簿調査には、ご丁寧に一日ごとに収支計算表がついていたのだが、最終的には月集計表だけ提出すればいいので、とりあえず項目だけ記録していき、調査期間が終わったら自分のスクリプトで一気に集計して、月集計表にのみ最終結果を書いて提出した。

 ちなみに1ヵ月間家計簿調査に協力した時の謝礼は図書券3000円分だそうである。まだ手元には届いていないが、届いたらまたコンピュータ関係の書籍でも買おうかな。


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