#103 私のメール整理術

2000/02/09

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 インターネットや情報携帯端末の普及により、e_mail(以下メール)は瞬く間に巷に普及してしまった。今では、たとえ自分の属する組織でメールアドレスがもらえなくても、Webさえ見ることのできる環境であれば、Webメールの形でいくらでも無料でメールアドレスを取得できる。パソコンを使うことは敷居が高くても、例えばDoCoMoのポケットボードなどのように、メール送受信に機能を限定した廉価な携帯端末が若い女性を中心に流行している。また最近はi-modeなど、携帯電話単独でメールのやりとりができるようなサービスも増えてきた。

 私も職場のアドレスの他に、様々な方法で様々なメールアドレスを取得した結果、気がつけば10個ものメールアドレスを持っていることになっていた。さすがにこれは多い方だとしても、私一人でこんなに持っているわけだから、おそらく日本国内で使われているメールアドレスの総数は日本の総人口よりも間違いなく多いのではないかと思われる。

 私もいちいちこれら10個ものアドレスに届くメールをそれぞれにチェックしているわけではない。そんなことをしていたのではそれだけで一日終わってしまうし、手間も管理も大変面倒である。

 メールというものは大抵の場合常時稼働しているメールサーバがメールを受信・保存し、必要な時にパソコンなどの端末でそこにアクセスして受信するというスタイルが普通である。そしてメールサーバは多くの場合、受信したメールを他のアドレスに転送する機能を持っている。例えばsendmailが動いているUNIXのメールサーバの場合は、自分のアカウントのホームディレクトリに、転送先のメールアドレスなどを記述した.forwardというファイルを置いておくと、そのアカウントに届くメールは自動的にその転送先に転送される。まあ郵政省の郵便の転居届による転送サービスのもっと便利なものと思えばよい。

 この機能を使って、例えばA〜Eまでのアドレスを持っている場合、アドレスAに届くメールをBへ転送し、BではCに転送し、CではDに転送し…というように、複数あるメールアドレスに対して数珠繋ぎに転送設定をしておけば、最終的には一番下流のEのアドレスにすべてのメールが届けられることになる。もちろん数珠つなぎではなく一極集中型にして、A〜DがそれぞれEに転送するようにしておいても構わない。

 ただその際気をつけなくてはならないのは、転送設定がループにならないようにすることである。AがBに転送し、BがAに転送していたのでは、メールがいつまでたってもぐるぐる回ってしまいメールサーバが困ってしまう。

 .forwardによる転送設定では、複数のアドレスにメールを転送することも可能である。これによって、職場ではパソコン、出先では携帯端末などと言うように、様々な環境で共通のメールを読み書きすることなども可能になる。また.forwardでは、メールの内容を標準入力としたプログラムを起動することもできる。例えば適当なスクリプトを書いて、それを起動し、宛て先や内容でメールを取捨選択したのちに別のアカウントに転送することも可能である。最近では、主に携帯情報端末でのメール受信用に、そのような「振り分け」を行ってくれるサービスもあり(EmCm:#092参照)これらを使えば必要なメールのみを出先で受信することが可能になる。私もいくつかのアドレスを携帯端末用など出先でのメール参照用として用意し、届くメールのうち私信のみを選択して転送し適宜参照するようにしている。

 そんなわけで私は受けるメールはほとんどすべて最終的に1つのアドレスに集めて整理している。やってくるメールの総量は、自分が入っている30以上のメーリングリストから来るものも含め、昨年は7000余通に達した。一日平均20通弱と言ったところか。受信したメールのログは10日ごとにまとめて保存するほか、自分の作ったスクリプトで差出人別に分離しまとめている。過去のメールを検索する時は、日付よりも誰からのメールであるという具合にまとめた方が検索もしやすいからである。もちろん、自分が送ったメールについても、同様に宛先別に分類して保存している。

 こうして保存したメールログは意外に参照する機会が多く、「そういえばあの件についてはあの人からのあのメールにあったっけ」なんて時は、対応するメールログにキーワードで検索をかけるとすぐに見つかる。過去のメールログは、日々受信し更新されていく動的な個人データベースとも言える。メールの上手な管理と整理は、今後の個人情報管理において重要な位置を占めてくるかも知れない。


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