#058 FAX機の普及

1999/04/20

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 FAXに馴れていない人が、いくらFAXを送っても相手に送られないと同僚に相談してきた。しかしその人が送る様子を見てもおかしいところはなく、ちゃんと送信できているように見える。「ちゃんと送信できてるじゃない。何がおかしいわけ?」。答えて曰く「だっていくら送ろうとしても手元に紙が戻ってくるじゃない。FAXって、紙が相手に送られなくちゃまずいんじゃないの?」

 というのはもちろん笑い話だが、FAXそのものは携帯電話や電子メールが普及するかなり以前からオフィスなどで普通に使われてきた。そして最近では家庭用のFAX機能付電話(以下単にFAX機)もかなり安く購入できるようになった。郵政省の「通信利用動向調査」によれば、1998年の段階で、家庭へのFAX機の普及率は31.9%にも達していると言う。なるほど、例えばテレビやラジオ番組などで「ご意見(イラスト)をお送り下さい」などという呼びかけで何百枚と言うFAXが瞬く間に集るのを見ても、現在は一般家庭にも相当数FAX機が普及してきていることが伺える。

 サンプル数が少なくて恐縮だが、私の属する劇団でも、FAX機の普及率は携帯電話のそれよりも高い。携帯電話も安くなったとは言え、実際に使うとなれば、通常の加入電話よりも若干高い基本料金と通話料を毎月払わなくてはならないが、FAX機ならば、専用回線を別に導入しない限りにおいては、機械だけ購入すればあとは通信料と紙代だけで使うことが出来る。ということで、初期投資として通常の電話機に2万円ほど上乗せすれば、ランニングコストは大したことはないので、家庭の電話機を更新する時に、折角だからFAX機にするか、というケースは結構あるのではないかと思われる。

 私の場合も、FAX機を2年半ほど前に購入した。劇団の制作をやっている関係上、マスコミ関係への公演情報の提供などにFAX機が不可欠になってきたからである。しかし一旦導入するとその他の用途にも結構便利に使っている。例えば、相手が知らない待合わせ場所を伝える時など、音声で「駅の西口を出て通りを左に進み2つ目の角を右に曲って…」などとやるよりも、目印を書いた気の効いた地図を描いてFAXで送った方が余程確実である。このように込み入った用件を伝える時など、電話よりもFAXの方が便利な場合は多い。

 また最近ではFAXを使った情報サービスもかなり多く見られる。これは、こちらから窓口となる電話番号に電話をかけ、音声ガイダンスに従ってプッシュホンのトーン信号を送ると、リクエストに応じた情報がのちほど自分のFAX機に送信されてくるというものである。ヒットチャート、新製品情報から役所手続きの相談に至るまで、色々な情報をFAXを使って得ることができるため、使い方によっては重宝する。というわけで、別になくても困らないものかも知れないが、あれば便利なものとして、FAX機は一般家庭にもかなり普及してきているようである。

 ところで家庭用のFAX機も実は結構種類が多くあり、機能に応じて値段も高いものから安いものまで色々ある。普通のクラスのFAX機は、感熱ロール紙に出力するものが一般的だが、丸まったり年月がたつと印刷部分が薄くなってしまったりという問題がある。普通紙FAX機ならばそのような問題は一切ないが、値段も割高で場所も広く取る。最近のものなら感熱ロール紙の場合でも丸まり防止機能がついているものもあり、それさえどうにかしてくれればあまり気にする必要はないかも知れない。

 FAX機は原稿を光学的にスキャンしてデジタル情報化するため、その機能を応用し、ハンディスキャン&コピー機能がついているものもある。これも余計と言えば余計な機能だが、あると割合役に立つ。書類のちょっとした控えを取る時や、本の一部など分離して持って行くわけにはいかないものをちょっとコピーすると言った用事には結構便利に使える。もちろん読取った原稿をそのままFAXとして送ることも可能である。このハンディスキャナ部分がコードレスになっていると更に使い勝手は良くなる。

 あとは電話機の機能として、留守電と子機くらいはついていた方が便利であろう。というわけで、私の持っているFAX機は、B4感熱紙対応、ハンディコピー(コード付)、留守電、子機1台つきのもので、当時4万円と少しした。消耗品の感熱ロール紙は、安いものならB4幅の30mのもので300円くらいで売っている。

 というわけでFAX機を使って2年半くらいたつのだが、FAX機については未だに使い慣れない部分もあったりするのである。そのあたりのことについての話は後編に譲る。


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