#011 こんなページは私は嫌いだ(後編)

1998/08/27

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 そういうわけで、前回に続き、私が見るに堪えないと思うページの列挙である。後半は中身というか、もっと一般的な事について話そう。

 テーブルの使用法にも不適切なものがいくつもある。テーブルは文字どおり「表」を表現したい時に使うべきものであるはずなのだが、多くのサイトでは、テーブルをレイアウトの手段に使うというテクニックがまかり通っている。これらは一見、綺麗にレイアウトされたページを作ってくれるのだが、画面の大きさをある程度既定したレイアウトになりがちであるし、テーブルが表現できないテキストブラウザなどでみると逆に見るも無残なレイアウトになってしまったりする。またテーブルはその全体を読みこむまで表示がされないため、表示に無用に時間がかかる。

 アニメーションGIFやBLINKエレメントも多用はしてほしくない。あんまり多いとページ全体がちかちかして落ちつかない感じになる。また派手な背景画像や背景色も肝腎の文字情報を見づらくしてしまう場合がある。できれば背景色や基本文字色やページのスタイルは、サイト内のすべてのページで共通のものを使った方が落ちつきがあるし、サイトを印象づけることができると思う。

 掲載している画像も無闇にサイズの大きいものは控えるべきだ。画像に限らず大きなデータは、それがどのくらいの分量(kbyte数)なのかをあらかじめ示しておいてもらえると、見ている側としては読み込みの時間がある程度予測できるので助かる。自分が意図していないのに、いきなり大量のデータの読みこみが始まると、ダイヤルアップで接続している人は電話代や接続料が心配で仕方がないだろう。揚げ句にその結果が、見たくもない作者(男)の巨大な近影写真だったりした日には、自分が情けなくなって落込むか、ディスプレイに正拳を打ち込みたくなってしまう。

 音が鳴るものは個人的には大嫌いである。視覚障碍者の利用する文字の音声読み上げソフトなどの場合は、その機能を殺してしまう場合もある。話がそれるが、基本的に音というものは五感の中で最も選択の余地がないものであり、場合によっては大変邪魔になるものである。その他の四感について、すなわち視覚や嗅覚や味覚や触覚は、本人の意志で見なかったり嗅がなかったり味わわなかったり触らなかったりすることが比較的容易だが、完全に聞かないようにするのは難しいのだ。それゆえ防ぎようのない無用な音は他者にとっては公害も同然である。隣近所がうるさい余りに殺人にまで及ぶ例があることからもそれは明らかだろう。話が極端になってしまったが、要するに無用な音は公害でしかなく、できれば鳴らしてほしくないものである。

 邪魔なものと言えば、ブラウザの下にあるメッセージ枠に、スクロールメッセージを流すもの。どうもあれには「へへん、こんなこともできるんだよーん」などという作者の自慢しか伝わってこない。メッセージ枠はネットワークへの接続状況や読み込み経過などの貴重な情報を表示する場所である。勝手に割り込んで邪魔しないでもらいたい。

 リンクについても問題があるものがいくつもある。特にクリッカブルマップと呼ばれるものは、見栄えはあって確かにいいのだが、使用するならば文字によるリンクも入れるべきである。画像を見ることができない(あるいは見ない)環境で見ている人も世の中には沢山いるのだ。その人は一体どうやってリンクをたどればよいのだ。

 サイト内のリンクが適切にはられておらず、途中で行き止まりになってしまったりするのも考えものである。来訪者は必ずしもトップページから訪れるとは限らない。途中のページから入った人がどこにも行けなくなるのは困りものである。最低限、どのページからもトップページに戻れるようにはしておいてほしい。

 外部サイトへリンクする時に新たなブラウザを開くタイプのものも個人的には嫌いである。気がつくと5個も6個もブラウザのウィンドウが開いている事もあり、困惑してしまう。自分のページにまた戻ってきてもらいたいという作者の気持ちなのかも知れないが、見ている側からすれば余計なお世話である。

 その他、画像に適切な代替文字列(画像が表示されない環境で画像の替わりに表示される文字列)が入っていないものも、場合によっては致命的である。タイトルを綺麗な画像で作るのはいいが、その画像に代替文字列が入ってないと、画像なしの環境では、タイトルなしのわけのわからないページになってしまう。

 …以上、私が嫌いなページを列挙した上で、これらを反面教師として作ったページが、今あなたがご覧になっているページである。(メインは劇団のページなのでそちらを参照されたい。)早い話、特殊な技術は一切使っていないし、Web上にあまたあるページに比べれば、良く言えばシンプル、悪く言えば地味なページであろう。背景は白一色。色々試した結果、結局これが、ほかの文字や画像が映えるもっとも汎用的な背景であると判断したためである。(本当は背景を指定した場合は文字色も指定すべきなのだろうが。)フレームや音や動画は一切廃し、テーブルの使用も必要最小限にしている。各ページのスタイルはできるだけ統一し、サイト内のリンクはふんだんに盛りこんである。

 だが結局のところWebPageで一番大切なのは、見栄えではなくその内容である。だから見栄えはぱっとしなくても、中身が面白いからたくさんの人が訪れるサイトは数多く存在する。そして私に最も欠けているのは、面白い中身を作る能力であることもまた事実である。


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