不等辺ワークショップ第78回 (2014/08/24) 不等辺ワークショップ第78回 (2014/08/24)
進行役を務めた林です。通算で７８回目の「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。長々とお休みをいただいていましたが、３年ぶりに実施しました。祖師ヶ谷大蔵の会場に来たの自体、３年ぶりです。なんだか懐かしいな。本当にひさしぶりなので、私はこのワークショップのやり方を忘れてしまっていました。以前、当たり前のようにやっていたことを今回はほとんどやっていません。まずアシスタントがいません。なので写真がありません。入口にのれんを吊るしていない。受付で名前を書いてもらっていない。ＢＧＭを用意していない。ニックネームをつくっていない。アンケートをとっていない。その他もろもろ。以前はいろいろ盛り込んでいたんだなぁ。これからまた、いまの私にできることや必要なことをゆっくり取り揃えていこうと思います。以前にように年に１０回もやることはできないけど、また続けていこうと思っておりますよ。
『ウォーミングアップ』では全員で輪になってイスに座っていたので、そのままアイコンタクトをとるゲームを。目が合ったら相手とイスを交換します。いろんな相手と目を合わせて、どんどん席替えできたらすばらしい。イスを交換するごとにカウントアップするとテンションが上がる。途中でイスをひとつ減らして鬼を入れるのは以前もよくやりましたが、その先、思いついてチーム戦にしてみました。メンバーを４名ずつの２チームに分けて、メンバー一人ひとりのカウント数の合計が多かったチームが勝ち。チームですこし作戦を練ってからゲーム開始。これ、おもしろかったですね。私自身は途中で作戦がわからなくなっちゃいましたが、チーム戦にしたことで明らかにゲームが変質しました。スリリングだったし、体よりもむしろ頭を使うゲームになりました。
書きながら思い出しましたが、このワークショップの２日前に、私は筑波大学で教員免許状更新講習会の講師を務めまして、「演劇の専門家とつくる教室」という名前の講座なのですが、そのなかでも既存のゲームをバージョンアップするというグループ課題をやっていたのでした。今年は「ロミオとジュリエットっぽいじゃんけん」というのを考えたのだった。こういう遊び、というか遊びをより遊ぶの、おもしろいし楽しいですね。燃える。
おなじみの『テマリ』。単に手でボールを打ち続けるだけのゲームですが、私は大好きです。燃える。チーム戦のあと、輪になって男女交互に打つ。難しいですね。どうしたらもっとうまくできただろう。考えるのがおもしろい。
本日のメインイベントは『架空の学校』。学校でのワークショップのために考えたものですが、それをそのままご体験いただきました。この世には実在しない架空の学校の特徴を考え、その学校のプロモーション映像を劇で発表するというものです。今回は「思わせぶり学校」と「かんちがい学校」の２校。思わせぶり学校はなにからなにまでぜんぶ思わせぶり、かんちがい学校はなにからなにまでぜんぶかんちがい、という学校です。
こういうのって、「ケータイ大喜利」みたいに、センスが問われるというか、おもしろいネタを言わなきゃいけない感がどうしても出てきますが、べつにそんなハイレベルなものを求めてはいません。とはいえ、「ＰＴＡの会長が自分のことをＩＯＣの会長だとかんちがいしている」という大ネタはすごかった。国際オリンピック委員会。今回おもしろかったのは、相手チームの作品の感想も「思わせぶり」や「かんちがい」でコメントしたこと。グループ創作のふりかえりも「思わせぶり」や「かんちがい」で話し合ったこと。これ自体がコントのようだし、自然とみんな一人ひとりの一挙手一投足に注目するし、学校でやると優等生発言の温床になりがちなふりかえりという作業に一石を投じることさえできるのではと思いました。
最後はおなじみの『ペンキ屋』。発言の一文字目が５０音順になるように会話をつないでいくものです。以前はＢＧＭを用意して（渡辺美里の『マイ・レボリューション』とかね。青春でしたね）そのイメージで会話したりしましたが、今回はこれも「かんちがい」設定でやってみた。観ながら、私は「そもそも【かんちがい】ってなんだ？」というようなことを考えていました。５０音の会話のなかで最大でいくつまでかんちがい発言が入れられるものか。本人がわざとかんちがいのつもりで言ったセリフが、じつは全体の流れからするとむしろかんちがいではなくて、ということはその人はそれまでの流れをかんちがいしていたことになるのか。ああ、わからない。ああ、おもしろい。
そんなこんなで無事に終わった第７８回の「俳優を目指さない演劇ワークショップ」でした。近くの居酒屋で楽しく飲んで解散。こういう、欲得なく、特に目的もなく、演劇っぽいことで大人が遊べる機会って素敵だなぁと思ったのでした。またやりましょうね。
不等辺演劇倶楽部 林成彦（はやしなるひこ）