△ 不等辺ワークショップ第44回 (2006/12/10) 前編


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写真  リーダーを務めた林です。お待たせしました。「演劇と大豆」のワークショップの様子をレポートします。じつはこれを書いている今は12月23日です。すでに2週間近くがたっている。師走だなぁ。慌しい日々で、なかなかレポートを書けませんでした。まずはご参加くださったみなさん、アシスタントをしてくださった横山さん。遅くなってしまってごめんなさい。さぁ、どんどん書きますよ。クリスマスまでには間に合うように。

 12月10日。日曜日の朝です。私は荷物を自転車で運び込みます。会場の松陰コモンズまで家から自転車で5分、歩けば15分ほどの距離です。快晴の世田谷の街です。いいお天気だなぁ。土曜日の氷雨が嘘のよう。日差しがあたたかい。わっせわっせと私は運搬にいそしむ。途中、セブンイレブンの前で知り合いのO君とばったり会いました。彼は私の古い芝居仲間で、今はご近所さんでもあります。「おおお、林君!」。私は自転車の前カゴに電気炊飯器(私の家の)を積んでいます。後ろの荷台には電子レンジ(私の家の)を載せている。しかもごろごろとカートを引いて歩いています。背中にはリュックサックを背負っている。O君は目を丸くしていましたね。目も口もOの形のO君。

 今回のワークショップはいつもと毛色がちがいます。演劇だけじゃなく、大豆でも遊ぶ。前半がいつもの演劇の、後半が大豆のワークショップです。夕方からは打ち上げに代えて、大豆を素材に、食べたり飲んだりをゲーム感覚で楽しむ。以前の『こめくらぶ』の第2弾ですね。言わば『まめくらぶ』です。炊飯器とかレンジとか、演劇らしからぬ荷物はこの大豆ワークショップのためのもの。チカラ入ってますよ〜。どうぞお楽しみに。今日のメニューがみなさんのお口に合いますかどうか。

写真  さて。まずは前半。いつものように『ウォーキング』からスタートします。泥んこの田んぼを歩いたり、宇宙空間を遊泳したり。実際は畳の上だけど、想像上の場所を歩いてみました。場所の設定によって、歩くときの身体の使い方が変わりますね。その後、設定を私が指示しないで、それでも全員が同じ場所を歩いているようにとお願いしました。リーダー役は決めないで、合図もしないで、相談もしない。勇気をもって誰かが歩き方を変える。周りをよく見て、場所が変わったのを察して、全員で同じ場所を歩く。このゲームは初めてでした。でもこういうの、私のワークショップではよくやりますね。ちゃんとオファーすること。相手や仲間を信頼すること。相手と合わせること。うん。よくやるよくやる。

写真  お尻で歩きながら、足の裏と足の裏であいさつをするの。足裏を相手と合わせて、お互いの名前を呼び合う。楽しそうだったなぁ。足で愛を語る。求愛。こういう生物って、いそう。私の想像だけどアメーバとか。ゾウリムシとか。まるで顕微鏡を覗いているみたいでした。原始的な生物のコミュニケーションって、こんななんだろうなぁ。とってもラブリー。

写真  『ジャグリング』のときにニックネームを決めます。今回のお題は「2006年に食べたもので、いちばんおいしかったもの」です。前半からどんどん「食」にからめていきますよ。挙がったのが「からあげ」「しまどうふ」「焼き肉」「海鮮チヂミ」「アボカド」「ビビンパ」「ビーフシチュー」「ちゃんこ」「スタ丼」「メロンパン」「マンゴー」でした。もうねー。全部いま目の前に並べてみたい。聞いているだけでよだれが出そうだ。たぶん金額的にいちばん安いのが私です。きっとそう。

写真  『バースデイ』はプレゼント交換のゲーム。もらったプレゼントから連想されるものを次の人にプレゼントします。たしか「りんご」をもらった人が、次の人に「果物」をプレゼントしていました。果物っていいなぁ。「お父さん、これ果物!」って。聞いた瞬間に「お父さん、入院しているの?」って思ったもんな。誕生日っぽくなくておもしろい。

 この連想ゲーム形式の『バースデイ』も、ワークショップでは初めてじゃないかな。(高校の「演劇」の授業ではやった気がする)。今回はじつは初めての試みが多かったのです。チャレンジ。逆に、いつもやっていることをあえてやらなかったりもした。常連のみなさんはお気づきだったかしら。「ゆ」の字ののれんを掛けなかったとか。チョコ配りをしなかったとか。他にもいろいろです。少しずつ変えていこうとは思うんですよね。試行錯誤しながら。行ったり来たりしながら。

写真  『ごみ問題』では発見がひとつ。説明の手順ですけどね。リーダーの私が最初に出題者をやりました。そうすると説明がスムーズなんだな。些細なことですけど、これも初めてのことです。ところでこのゲームは「箱根駅伝」がモデルだって、お話ししましたっけ? 中継所にランナーが走ってくるとき。次のランナーが大声で呼びかけながら待っていますよね。あの光景です。で。思いました。『ごみ問題』を動きながらやりたいですね。出題者が歩いてくる。静止している人じゃなくて、こちらに向かって動いてくる人に言葉をかけるの。なにか変わるだろうね。小学校の校庭とか、広い場所でやってみたいなぁ。

写真  ここで小休憩。横山さんにコーンスープを用意していただきます。くつろぐなぁ。和室だと、合宿している気分になりますね。そう、先にお礼を言っておきます。今回のアシスタントは松陰コモンズの横山紀子さんです。お忙しいところ、一日お付き合いくださってありがとうございました。横山さんがいてくれると本当に心強い! 会場の設営をしているとき。ラジカセで曲をかけて、ストーブを2台焚いて、電気ポットでお湯を沸かしたら、ブレーカーが下りてしまったんですよね。ラジカセのユーミンがぱたっと黙ってしまって、そういえば天井の灯りも消えてしまった。まだ炊飯器も電子レンジも使っていないのに。でも横山さんは落ち着いていて、焦ったり困ったりした様子が全く見えなかったです。「ああ、大丈夫なんだ」と私は安心できました。もちろんそのことだけじゃなく、特に後半の大豆ワークショップではアイデア出しからご協力いただきました。ありがとうございました。またぜひに。

写真  前半の最後はひさしぶりの『演劇学園』。なんでも演劇でやるという、ステキな学園の学園祭です。今日のテーマはもちろん料理。『シェイプアップ』の要領で、グループワークで身体表現に取り組みます。教材にはなにを使おうかな。図書館で料理の本をたくさん見てみました。栗原はるみとかね。小林カツ代とかね。小学校や中学校の「家庭科」の教科書も調べました。でもやめました。みなさんにお配りしたのは大戸屋のメニュー(愛用しています。大戸屋大好きです。大戸屋GoGo!)。なにか一品選んで、その料理の作られるプロセスを演劇で表現してください。想像してみてね。少なくとも4シーンは作ること。人間は登場させないこと。なるべくナレーションに頼らないこと。ラストシーンはその料理そのものを表現すること。注文は以上です。15分以内にお願いね。

写真  ファミレスのメニューって、普通は「なにを食べようかな」と思って眺めますよね。味やカロリーや値段を見て。でも今回は「なにを作ろうかな」「どうやって作られているのかな」という目で眺める。新鮮で、おもしろいんじゃないかな。どうかな。
 さてさて。できあがったのはトンカツと豚肉しょうが焼きでした。なぜか豚関係が2品並んだね。あの、家畜の豚が捕獲されるシーンは素晴らしかったなぁ。あれは世界中のどんな国の人が見ても、「ああ、豚が捕まった」とわかったにちがいない。世界水準だ。ところで私は自分で「豚肉しょうが焼き」を作ったことがありません。作られるプロセスを知らなかった。あれって豚肉も大事だけど、しょうがも大事なんですね。たしかにそうだよなぁ。豚肉が欠けてもしょうがが欠けても「豚肉しょうが焼き」はできないのだ。しょうががすりおろされるシーンが丁寧に演じられているのを見て「なるほどなぁ」と感心しました。豚肉だけが主役じゃないんだ。

写真  さぁここまでが前半。演劇部分はおしまいです。みなさんお疲れさまでした。ここから後半の大豆ワークショップに移ります。ただね。前半と後半とで、がらっと別のワークショップにしてしまうつもりはないのです。前半は自分の身体を使って、いろいろな表現を楽しみました。後半は大豆食品を使って、同じようにいろいろな表現を楽しみたいと思います。アイデアを持ち寄ったり相談したり。手を動かして、自分の役割をちゃんと果たしたり。午後1時からやってきた流れのまま、この先も進んでいきましょう。

 と。ここまで書いて、レポートがずいぶん長くなってきましたね。レポートもここまでが前半ということにします。つづく!

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)

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