△ 「よそびと診療所」シーン2


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奥からもう一人、公家の様な姿の男、シドが出て来る。

シド 「お久しぶりです。ドクター・ノノ。」写真
弥助 「あ…あれは…お公家様?」
貞親 「いや、あれは…」
ノノ 「お久しぶりですシドさん。(ロッサに)この星の管理人のシドさんです。」
ロッサ 「あらま。初めまして。助手のロッサです。」
シド 「宜しく、ロッサさん。情報はお役に立ったようですね。」
ノノ 「ええ。お陰で患者を一人救えました。」
シド 「それは良かった。ところで、例のお話は?」
ロッサ 「例のお話?」
ノノ 「定住の話。」
ロッサ 「ああ、定住ね。…定住ですってぇ?!!まさかこんな銀河のはずれの原始的な星に?!!」
シド 「こんな星でも異星からの移住は結構増えているんです。ただ、定住している医者がほとんどいないので…」
ロッサ 「ちょっと先生。私は嫌ですよ。」
シド 「それに、この星にはドクターがお探しの疑似生命体もおりますよ。」
ノノ 「疑似生命体?!」
シド 「ええ。この星ではもののけ、あやかし、妖怪、妖精等と呼ばれる多種の疑似生命体がうじゃうじゃおります。」
ノノ 「うじゃうじゃですと?!」
ロッサ 「やばい、その気になってる…先生ダメダメ、ダメですよ〜!」

貞親、意を決してノノ達の前に飛び出し、弥助は止めようとして物陰から出てしまう。

貞親 「お尋ね申す!!」
ロッサ 「なに?なに?」
シド 「おお、貞親か?(ノノたちに)この星の人間です。お二人は翻訳機を。」

ノノ、ロッサ、指でこめかみをトンと触る。

貞親 「やはり、鬼一法眼(きいちほうげん)様で。」
弥助 「鬼一法眼?あの、陰陽師の?」
シド 「(ノノたちに)ここでの仮の名です。」
貞親 「法眼様、方々は?」
シド 「同じ術師の仲間ぞ。」
貞親 「我は都の薬師、瀬名貞親と申す。先程の術、医術とお見受けしましたが。」
ノノ 「さようじゃ。」
貞親 「さればお願いにございます。大火事で傷を負った民が大勢おります。どうかお助けを。」
シド 「数時間前にこの先の都で大火事がありまして。」
ロッサ 「ちょっと待って、治療は無理ですよ。メディカルライセンスが剥奪されるわ。」
シド 「わかっています。銀河連合非加入の星に住む生命体への治療はご法度です。」
貞親 「そこにおる弥助の娘らも、大怪我をして命が危のうございます!何卒お助けを!!」

弥助、恐る恐る出て来つつも、貞親と共に頭をさげる。ノノ、シドに何かを言おうとするが

シド 「ダメです。我々にはどうする事も…。」

ノノ、ため息。そこへ、黒装束の3人が現れる。

アテナ 「できなくはないよ。」

3人は銀河連合治安局地球支部捜査官。捜査長のアテナと部下のペック、メック。

シド 「アテナさん。」
ロッサ 「アテナ?」
シド 「連合の治安局地球支部捜査官です。そちらは部下の…」
ペック 「ペックと」
メック 「メックだ。」
アテナ 「あんたがドクター・ノノ。」
ノノ 「ご存知で。」
ペック 「有名だ。」
ロッサ 「流石先生。」
メック 「腕はいいけど問題児の医者だってね。」
ロッサ 「問題児ですって?!」
アテナ 「間違ってる?」

ロッサ、一度ノノを見て。

ロッサ 「あってる!」
ノノ 「(咳払いして)アテナさん。「できなくはないよ」というのは?」
アテナ 「この星の生命体への治療はご法度。ただし、異星人に被害を受けた場合は治療可能よね?」
ノノ 「ええ。そうですが…」写真

アテナ、カプセルを取り出し掲げる。

アテナ 「このカプセルに、その大火事を起こした犯人が閉じ込めてある。」
ロッサ 「犯人?…ってまさか…」
メック 「こいつは銀河中に指名手配されていた放火魔。異星人だ。」
シド 「それなら治療できます!」
ノノ 「行きましょう!」
貞親 「はい!」

黒装束3人を残してみんな足早にハケる。

ペック 「あれが悪魔とか呼ばれる問題児ね。」
メック 「なんかイメージと違ったな。」

3人に通信が入る。

ペック 「アンノウン・シグナル接近。推定レベルレッド。」
アテナ 「ペック!メック!行くよ!」
ペック・メック 「ラジャ!」

3人ダッシュでハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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