△ 「インヴィジブル・ファイア」シーン26


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照明下手手前のみ。再び里子たち。

宇崎 「あれ?結界の様子が…」
里子 「え?」

ガラスが割れるような破壊音と閃光。照明が戻るとめぐみが立っている。

麻耶 「めぐみちゃん!」写真
宇崎 「めぐみ!!」

宇崎が近づこうとすると電撃が走る。

宇崎 「うわっ!!」
里子 「下がって!彼女はまだ正気じゃない!」
めぐみ 「…私が殺したの?お母さんを殺したの?」
宇崎 「何を言ってるんだめぐみ?」
めぐみ 「私が…お母さんが運転する車のエンジンを止めた…」
宇崎 「違う!母さんは暴走した車に衝突されて死んだんだ!」
めぐみ 「お兄ちゃんもずっと私が殺したって思っている。」
宇崎 「思っていない!」
めぐみ 「お兄ちゃんが心配してるのは私じゃない…私に関わる人たちよ。母さんみたいに私に殺されるって。」
宇崎 「バカな事言うな!!めぐみ!!しっかりしてくれ!!」
麻耶 「あなたは殺していない!私が証人よ。」
宇崎 「麻耶さん?」
麻耶 「黙っててごめんなさい。私はお母さんが亡くなったあの事故現場にいたの。」
宇崎 「え?!それって…」
麻耶 「20年前のあの日、私はある容疑者を追っていた。容疑者は車で逃走中、お母さんとあなたが乗る車に衝突。あなたが止めたのは、その後も逃走を続けようとした容疑者の車のエンジンよ。」
宇崎 「それじゃあの時…」
麻耶 「俊宏君、あなたとも会ってるわ。お母さんのお葬式で。」
宇崎 「そうだったんですか…」
麻耶 「その時めぐみちゃんの能力に気づいた私は、なんとかダブに入れるように手配したの。」
めぐみ 「ウソ…」
麻耶 「本当よ。」
めぐみ 「ウソ…ウソ…みんなウソ…私は化け物…お母さんを殺した化け物!」

めぐみ、また電撃を放つ。

宇崎・麻耶・里子 「うあっ!」
里子 「思ったより闇が深いわね。」

宇崎がフラフラとめぐみに近づいて行く。

宇崎 「ごめんなめぐみ…お前がそんなに深い闇を抱えてるなんて…俺全く気づけなかった…」
めぐみ 「来ないで!」

宇崎、また電撃を食らう。

宇崎 「うああ!!」
麻耶 「めぐみちゃんやめて!」
宇崎 「…信じてくれ。お前は母さんを殺していない…」
めぐみ 「信じない…信じない…」
宇崎 「めぐみ…」
めぐみ 「信じない!!」

そでから女性の声がする。

女性の声 「信じて。」
めぐみ 「え?」

下手の台上に、白い服の女性が現れる。

麻耶 「あの人は…」
宇崎 「母さん…」
里子 「母さん?」
宇崎 「亡くなった…母です…」
里子 「そんな事って…」
「めぐみ。」
めぐみ 「お母さん?…お母さんなの?」写真
「ええ。めぐみ、あなたは私を殺していない。あれは本当に事故だったの。」
めぐみ 「ほんとに…?」
「ほんとうよ。あなたは化け物じゃない。みんなを救える力を持った素晴らしい子。」
めぐみ 「素晴らしい子…」
「あなたは私の誇りよ。めぐみ…」
めぐみ 「お母さんの誇り…」
宇崎 「母さん…ありがとう…」

母、宇崎を見てうなずく。

麻耶 「俊宏君も…霊能力があったんですね…」

宇崎、頷く。めぐみ、気を失うようにひざまずき閃光が走る。照明が戻る。母は消えている。
宇崎と麻耶がめぐみに駆け寄る。

宇崎 「めぐみ!」

めぐみ、正気に戻る。

めぐみ 「…お兄ちゃん…私…」
宇崎 「大丈夫!助かったんだ。」
麻耶 「良かった…」
めぐみ 「お母さんが…」
宇崎 「ああ、助けてくれたんだ。」
めぐみ 「私…ごめんなさい…ごめんなさい…」
宇崎 「さあ行くぞ。」
めぐみ 「え?どこに?」
宇崎 「お前を必要としている所に。」

めぐみ、気を引き締め

めぐみ 「はい!」

宇崎、めぐみ、里子、麻耶、足早にハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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