△ 「おめめがポン!」第9回


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パパ 「実はな、パパ達もアーサーに謝らなければならない事があるんだ。」
アーサー 「え?」
パパ 「お前の目の事だ。」
アーサー 「そう!そうなんだ!僕の目!取れちゃったんだ!どうして元通りになってるの?」
パパ 「いや、元通りにはなっていないんだ。」
アーサー 「え?でもちゃんと見えるよ!」

ママがポケットから白くて丸い2つの石の様な物を出し、アーサーに見せました。

アーサー 「え?何これ?」
ママ 「これは、あなたが落としたおめめよ。」
アーサー 「え〜っ?!でもこれ石みたいだよ。」
ママ 「時間が経つとこうなるのよ。」
アーサー 「じゃ、今ここについている僕の目は?」
パパ 「アーサー。今からパパが話す事をしっかりきいてくれ。」
アーサー 「う、うん。」
パパ 「実はな、パパやママは、この辺に住んでいる人達とは種族が違うんだ。」
アーサー 「種族?」
パパ 「ああ。パパ達の種族はな、目が生え変わるんだ。」
アーサー 「おめめが生え変わる?歯みたいに?」
パパ 「そうだ。子どもの目から大人の目になるんだ。」
アーサー 「それじゃ僕のこの目は…」
パパ 「ああ、大人の目になったんだよ。ごめんな。普通はもう少し大きくなってから起きる事だからまだお前には話していなかったんだ。パパの目が生え変わったのも12歳の時だったし。」
アーサー 「そうだったのか…でも大人の目になると何が違うの?」
パパ 「大人の目を持つって事は、周りの人の事を考えて行動できたり、思いやりをもって行動できたり、広い心を持って世の中を見られる様になるんだ。」
アーサー 「なんか、大変そう」
パパ 「確かに、アーサーの年齢からだと、少し大変かもしれない。でもな、世の中には大人になっても、大人の目がは生えてこない人達も沢山いるんだ。子どもみたいにつまらない事で怒ったり、自分の事ばかり考えて行動したり。だからこんなに早く大人の目を持ってくれたアーサーを、パパは誇りに思うよ。」
ママ 「ママもよ。」写真

アーサーはとても嬉しくなりました。

アーサー 「うん!」

大人の目。アーサーにはまだ良くわからない事も多いのですが、なんだかとてもワクワクして来ました。フッと窓の外を見上げるとお月様が見えました。今日は満月。

アーサー 「何だか今日はおめめみたいに見えるなぁ」

と、アーサーは、仲良く並んで夜空に浮かぶ2つのお月様を見て思うのでした。
大人の目。
あなたの星の人達は、どうですか?
おしまい。

(作・イラスト:松本じんや)

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