△ 「おめめがポン!」第1回


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全員 「おめめがポン!」

アーサーは7才の男の子。警察官のパパとお料理の研究家のママと3人で、おっと失礼。
黒猫のマーリン

マーリン 「ミャ〜」

そして大型犬のランス

ランス 「ウォン!」写真

この3人と2匹で暮らしています。彼らが住んでいるのはこの町で一番大きな10階建てのマンションの最上階。アーサーは動物好きのとっても良い子で…と言いたいところですが、実はとってもいたずら好きでやんちゃでわがままで、パパもママも猫のマーリンも犬のランスもいつもとっても手をやいているんです。ある日曜日。パパはお仕事へ、ママはキッチンでお菓子作り、アーサーはリビングのテレビで大好きな海賊のアニメを観ながら、海賊になりきって丸めた新聞紙の剣を振り回していました。

アーサー 「ちょわっ!ちょわっ!」

猫のマーリンは窓辺のカーペットでお昼寝。犬のランスはママの側でおやつのおこぼれをもらおうと、いい子でお座りをしています。今日のお菓子はスノーボールクッキー。
ボール型のサクサククッキーにホワイトチョコと粉砂糖をコーティングした美味しいお菓子。
ランスはもうヨダレが落ちかけています。それに気付いたママは

ママ 「ダメよランス。これは雑誌の撮影用なの。撮影が終わるまでお預けよ。」

ランスは少し残念そう。

ランス 「クゥン…」

ママがハッと気付きます。

ママ 「いけない!粉砂糖が足りないわ。アーサー、ママちょっとお買い物して来るからいい子でお留守番しててね。」

アーサーはテレビを観ながら返事をします。

アーサー 「アイアイサー!」
ママ 「いい?いつも言ってるけど、悪い事したら必ずバチが当たるんだからね。」
アーサー 「アイアイサー!」

返事は元気ですが、アーサーは

アーサー 「バチなんて当たるもんか。今まで1度も当たった事ないもんね。」

なんて思っています。

ママ 「ランス、マーリン。アーサーを宜しくね。」

ランスは焦ってワンワン吠えます。

ランス 「ママ!そりゃ勘弁してくれだワン!アーサーも連れてってくれだワン!アーサーがダメならボクを連れてってくれだワン!」

マーリンは飛び起きて目を丸くしています。

マーリン 「マジニャ?!アーサーはうちらじゃ手に負えないニャ!ボクを連れてってニャ〜!」
ママ 「直ぐに帰って来るからね!」

ママは急いで出かけて行き、マーリンとランスは玄関のドアを見つめて呆然としています。
丁度その時、海賊のアニメが終わりました。アーサーの声が聞こえます。

アーサー 「遂にみつけたぞ!宝箱だ!」

アーサーはスーパーボールがたくさん入った箱を掲げています。

マーリン 「まずいニャ…」
ランス 「まずいワン…」

マーリンとランスはそ〜っと隠れようと思いましたがもう手遅れ。
アーサーの投げたスーパーボールがマーリンに当たります。

マーリン 「ニャッ!」写真
アーサー 「命中!恐れ入ったかキャプテン青ひげ!宝物は横取りさせないぞ!」

マーリンはダッシュでソファーの裏に隠れます。

マーリン 「あ〜もう、またライバルの役ニャ〜。それにしてもスーパーボールは痛過ぎるニャ。って言うか何で宝物を投げるのニャ」

アーサーはランスに目を向けます。

アーサー 「出たな怪物クラーケン!」
ランス 「え?何?ボク今日は怪物なのかワン?」

アーサーは新聞紙の剣を振りかざして玄関のランスに向かって来ます。

アーサー 「退治してやる〜!!」
ランス 「い、嫌だワン!!」

ランスは狭い廊下のアーサーの脇をすリ抜けますが、アーサーの攻撃をくらいます。

アーサー 「ちょわちょわちょわっ!!」
ランス 「キャンキャンキャン!!」

ランスはそのままマーリンのいるソファーの裏に駆け込みました。

マーリン 「バカ!こっちに来るニャよ!」
ランス 「だってボクの身を隠せるのここしかないんだワン!」

アーサーは直ぐに追いつきソファーの上から2匹を覗き込みます。

マーリン 「わあ!見つかったニャン!」
アーサー 「隠れても無駄だ!キャプテン・アーサー様からは逃げられないぞ!」

アーサーは新聞紙の剣を振りかざします。

ランス 「わ〜一巻の終わりだワ〜ン!!」

(作・イラスト:松本じんや)

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