△ 「宇宙海賊とヒミツの星」シーン21


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照明変わる。格納庫。上手からテル&ローが走り出て来る。

ロー 「くっそー、どこだ?小型船。」
テル 「通常の戦艦とまるで作りが違うわね。」

上手台からシンドバッドが出て来る。

シンドバッド 「向こうにもありませんでした。」
ロー 「早く見つけないと。」写真

テル、中央から出て来たジローとぶつかりトランクを落とす。

テル・ジロー 「うわっ!」
ジロー 「ごめんなさい!」
ロー 「なんだ脱サラ君か。」

ジロー、トランクを拾ってテルに返そうとするが、また叫んでトランクを落とす。

ジロー 「うわあ!」
ロー 「おお、どうした?」
ジロー 「な、なんでそんなもの持ってるんですか?!」
ロー 「え?もしかして君、中身見える人?」
テル 「我々の作戦に必要なの。」
ジロー 「なんて残酷な事を!」
ロー 「え?神経ガスがそんなに残酷か?」
ジロー 「神経ガス?」

下手からティモシーとロジャーが入って来る。

ティモシー 「あんたたちこんな所に…」

ティモシー、テル、目が合いお互い銃を構える。

ティモシー 「やっぱりお前だったかトロス。妙なコスプレしやがって。」
テル 「どういう事か教えてもらおうかしら、アルバ兄さん。」
ジロー 「兄さん?」
ロー 「実の兄妹。」写真
テル 「てっきりスライスに始末されたと思ってたけど、ミイラ取りがミイラって奴?」
ティモシー 「ミイラ取りが犯罪だって気づいただけだ。」
テル 「クーデターの方が大犯罪よ。」
ティモシー 「クーデターなど起こさない。お前たちは騙されてるんだ。」
テル 「海賊の言う事を信じろって?」
ティモシー 「信じてもらうしかない。そうして今まで送られた刺客たちは全員こっちの同志になった。」
ロー 「全員生きてるのか?」
ティモシー 「ああ。」
ロー 「じゃあ…」
テル 「騙されないで。洗脳されてるのかも。」
ロジャー 「されてはいない。何を隠そう俺も元刺客だ。」
ティモシー 「しかも一番最初に送り込まれた。」
ロー 「一番最初って?!…まさかロジャー・ダルトン…」
ロジャー 「おお、よく知ってるな。」
ロー 「そんな…うそだ…」
ロジャー 「本物だ。20年前からこっち側だ。」
ロー 「本物なら質問に答えろ。」
ロジャー 「質問?」
ロー 「家族がいたろ。」
ロジャー 「…ああ、妻と幼い娘がいた…」
ロー 「二人の名前は?」
ロジャー 「妻はウルスラ…娘はマーガレット…」
ロー 「なんて事だ…」
テル 「何?」
ロー 「父さんだ…」
テル 「え?」
ロー 「ロジャーは僕の父さんだ…」
テル 「はあ?!」
ロジャー 「おいおい、話を聞いてなかったのか?私に息子はいない。」
ロー 「僕は…女だ!」
テル・シンド以外 「え〜〜っ?!」
ロジャー 「それじゃ…ホントにマーガレットなのか?」
ロー 「ああ…マーガレットっぽくないかもしれないけど。」
ジロー 「なにこの空間。家族だらけ…」
テル 「悪いけど、今は感動の再会に浸ってる時間はないわ。大人しく連行されるなら命は助ける。小型船の場所を教えなさい。」
ティモシー 「悪いがうちらに銃は効かないぞ。」
テル 「残念でした。これはニードルガン。」
ティモシー 「毒針か。」
テル 「強力な麻酔薬のね。」
ティモシー 「そのトランク、例の神経ガスだな?」
テル 「なんだ。兄さんの時と同じ作戦か。」
ジロー 「違いますよ!神経ガスじゃありません!」
ティモシー 「え?」
テル 「神経ガスよ。これをヒミツの星に撒いて…」
ジロー 「違います!僕見たんです!これは…」
テル 「これは?」
ジロー 「ジニアスの再進行剤です!」
ティモシー 「なんだって?」
テル 「そんなバカな!」

テル、トランクを開ける。

ジロー 「このガスを吸ったジニアスは、再び病気の進行が始まって1年以内に死んでしまいます!」
ロジャー 「あれは開発が中止されたはずだ!」
ジロー 「特務機関に頼まれてうちの会社で秘密裏に作られてたんです。」
ロジャー 「その薬を止める薬は?」
ジロー 「ありますが全部特務機関が持ってます。」

テル、トランクの中身を確認。

テル 「神経ガスじゃない…」
ロー 「それじゃ僕たちがもらった神経ガス無効化剤は…」
テル 「なんの意味もない…」
ロー 「そのままこれを撒いてたら…」
ティモシー 「お前たちも死んでた。」
ロジャー 「特務機関のやり方さ。しょせん俺たちは捨て駒だ。」
テル 「そんな…」
ティモシー 「これでもまだ任務を遂行する気か?」
ロー 「テル。止めよう。僕たちとんでもない事をする所だったのかも…」
テル 「…そうね…。」

突然シンドバッドがテルとローを撃つ。

テル・ロー 「うっ!」写真

テル、ロー倒れる。

ロジャー 「マーガレット!」

シンドバッド、トランクを奪いジローを人質にする。

シンドバッド 「動くな。」
ティモシー 「てめぇ…」
シンドバッド 「テルさんローさん。任務は私が引き継ぐのでご安心を。」
テル 「あんた…」
シンドバッド 「こんな状況になった時はあなた方を消すのも私の仕事なもので。」
ロー 「ゲス野郎…」
シンドバッド 「それで食べてますので。」

シンドバッド、ジローを連れて去ろうとする。

ティモシー 「待て!」
シンドバッド 「早く手当しないと死んじゃいますよ。ま、間に合えばですが。」

シンドバッド、ジロー、上手に去る。

ティモシー 「くっそお!」

下手からジルバーンが出て来る。

ジルバーン 「大丈夫か?!」
ロジャー 「あのサラリーマンを!!」
ティモシー 「奴のトランクを!」
ロジャー 「我々はこいつらを医務室に!」
ジルバーン 「なんだかさっぱりわからんが奴を止めればいいんだな!」
ティモシー 「頼む!!」
ジルバーン 「おう!」

ジルバーンはシンドバッドを追って上ハケ。ティモシーはテルを、ロジャーはローを抱えて下ハケ。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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