△ 「宇宙海賊とヒミツの星」シーン11


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照明が変わるとスライスの部屋。メイを先頭に、フェンネル、ジャスミン、アーモンド、僧侶2人、
そこへロジャー、バーディー、ハルバールが入って来る。

コメッツ 「おお、なんと広くてゴージャスな部屋。」
ジャスミン 「ここがキャプテンの部屋…」

ドクター・ピヨが出て来る。

メイ 「ドクター・ピヨ。キャプテンは?」
ピヨ 「連れては来れるけど、今あっちなんだよね。」写真
バーディ・ハルバール 「あっちかぁ…」

そこへスライス影が登場。

スライス影 「ウェルカム・アボード!ようこそスライス海賊団へ!」
コメッツ 「で、出たキャプテン・スライス!」
メイ 「違います。」
アーモンド 「違う?でもさっき見た…」
スライス影 「そう、確かにさっきスライスとして登場したのは俺。だが俺は影武者だ。」
マルティネス 「影武者?」
スライス影 「俺は副キャプテンのジルバーン。」(※以降「ジルバーン」)
アーモンド 「副キャプテン?」
バーディー 「キャプテンは今、表に出せねえんだ。」
ハルバール 「ですが、いないと格好つかないので仕方なく…」
メイ 「こちらが、探偵ジャスミンさんと助手のアーモンドさん。」
ピヨ 「お〜有名人だ!握手してください!ドクター・ピヨです!」

ジャスミンと握手。

ロジャー 「そちらが僧侶のマルティネスさんとコメッツさん。」
ピヨ 「マルティネスさんとコメッツさん?呼びにくいからマルさんとコメさんね。」
バーディー 「マルさんコメさん。」
ハルバール 「マルコメコンビね。」
ジルバーン 「坊主でマルコメ…。なんだろうこのジャスト・フィット感は?」

客船のウエイターだったティモシーが出て来る。

ティモシー 「キャプテン、少し落ち着いて来ましたよ。」
ジルバーン 「そうか。」
コメッツ 「あ!さっきのウエイター!」
ティモシー 「先ほどは失礼しました。エンジニアのティモシーです。」
ジャスミン 「やはりあんたも仲間だったか。」
ティモシー 「お連れしますか?」
ジルバーン 「そうしよう。」
ティモシー 「みんな、手をかしてくれ。」

ジルバーン以外の海賊たち一度ハケる。

ジャスミン 「まさかうつる病気じゃないでしょうね?」
フェンネル 「それは大丈夫なんだけど…」
コメッツ 「戻ってきましたよ。」写真

海賊たちに支えられる様に本物のスライスが登場。しかし様子がおかしい。

スライス 「ああ、ダメだ思い出せない…」
メイ 「無理する必要はありませんよ。」
スライス 「きっと僕は何をやってもダメな人間なんだ。せめて愛しい人と会えたなら…」
アーモンド 「あれが…スライス?」
ジャスミン 「銀河最強の海賊とはとても…」
ジルバーン 「正確にはキャプテンとは言えない。」
ジャスミン 「どういうこと?」
フェンネル 「あれは別の人格なの。」
アーモンド 「別の人格?」
ジャスミン 「多重人格って事?」
フェンネル 「それがちょっと違うの。」
ジャスミン 「え?」
フェンネル 「あれは恐らく前世の人格。」
アーモンド 「前世?」
フェンネル 「ただ、記憶があいまいで自分が何者かもわかっていないの。」
ジャスミン 「なるほど、それで姉さんのブレインジャーニーが必要になった。」
フェンネル 「その通り。でも中々治療させてもらえなくて。」
アーモンド 「どうして?」
メイ 「あの人格の時は、周りの人間がその人の前世の姿に見えるらしいんです。」
フェンネル 「私は彼の前世で信用置けない人物だったらしくて。」
ジャスミン 「へえ。」
メイ 「そこで呼び寄せたのがマルティネスさんなんです。」
マルティネス 「なるほど。そういう事か。」
コメッツ 「どういう事でしょう?」
マルティネス 「コメッツ。お前には黙っておったが、私もジニアスの特殊能力があるのだ。」
コメッツ 「お師匠様もジニアスでいらしたんですか?」
マルティネス 「ああ。私には触れたものの前世がわかる。何者であったかもな。」
コメッツ 「なんと!」
マルティネス 「ただこの能力には大きな欲が関わっておる。使い方次第では我が身を滅ぼしかねん。」
コメッツ 「それで封印を?」
マルティネス 「ああ。しかし人を救うためなら使うことにやぶさかではない。」
アーモンド 「待ってよ、救うって言っても相手は海賊だよ?」
マルティネス 「確かに、犯罪に加担はできぬ。が、罪を憎んで人を憎まず。まずは罪を吟味する事が必要だ。」
ジャスミン 「確かにそこが重要よ。キャプテンがあれじゃ海賊団の指揮に関わるのはわかるけど、我々は決して犯罪に加担はしない。いくらお金を積まれてもね。」
バーディー 「犯罪なんかじゃねえよ!」
ハルバール 「バーディ、落ち着いて。」
ピヨ 「どちらかと言えば、正義に近いかと。」
ジャスミン 「テロ集団は自分たちの行為を正義だと思っているわ。」
バーディー 「テロ集団と一緒にするな!」
ジルバーン 「ジャスミンさん。残念ながらその推理はハズレですよ。」
ジャスミン 「ならそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
メイ 「ジルバーンさん。」

ジルバーンため息。

ジルバーン 「…話してもいいが、一生命を狙われる事になるぞ。その覚悟はあるか?」
ジャスミン 「ええ、慣れてるわ。」
ジルバーン 「わかった。では話そう。」
コメッツ 「お師匠様。耳を塞いでても宜しいですか?」
マルティネス 「諸行無常だ。聞いておけ。」
ジルバーン 「我々はコールド・スリープされたジニアス達を救助しているんだ。」
ジャスミン 「救助?」
ジルバーン 「ここにいる海賊は全員、コールド・スリープから目覚めたジニアスだが、実は銀河連合内の極秘機関で子供の頃から強制的に戦士としての強化訓練を受けた。」
バーディー 「しかし使い物にならない人間は記憶を記録として抜かれて廃人の様にされちまってる。」
アーモンド 「なんだって?!」
ジャスミン 「それって思いっきり銀河協定違反じゃない!」
ハルバール 「その通りです。それに反旗を翻したのがキャプテン。」
ティモシー 「極秘機関はスライス一味を潰すためにテロやクーデターというウソの濡れ衣を着せて何度も刺客を送り込んでるんです。何を隠そう私もその一人でした。」
アーモンド 「え?」
ロジャー 「実は私も。でも事実を知った刺客たちは、みんなこちら側の人間になりました。」
ジャスミン 「なるほど。」
ジルバーン 「我々はカプセルを奪い続け、既に2千人近いジニアス達を保護してる。」
ジャスミン 「その人たちはどこに?」
ジルバーン 「我々の所有する惑星で平和に暮らしている。」
アーモンド 「惑星?」
メイ 「そろそろ到着します。」写真

ドーンという音で船が揺れる。

ティモシー 「ワープ終了。」
ジルバーン 「モニター。」

映像。地球そっくりな星。

アーモンド 「地球?!」
メイ 「いえ、あれが私たちの星「ネオ・アース」。地球より二回り程小さいけど地球そっくりにテラフォーミングされた楽園です。」
ジャスミン 「あの星は…RIW1(アール・アイ・ダブリュー・ワン)…」
ティモシー 「よくご存じで。」
アーモンド 「なにそれ?」
ジャスミン 「惑星ワープの実験用の星。百年以上前に破棄されたはず。」
ティモシー 「それを我々が拾って改良しました。」
ジルバーン 「彼らを銀河連合から守るために、あの星ごと銀河中を移動しているんです。」
アーモンド 「これってホントの事だよね…?今度こそ嘘じゃないんだよね?」
マルティネス 「本当の事だ。ここにいる誰一人嘘は言うておらん。」
メイ 「私たちはコールド・スリープにされた人々を救い、平和な暮らしを守りたいだけなんです。そのためにはおじ様の…いえ、キャプテンの力が必要なんです。」
アーモンド 「ジャスミン、やろう。」
ジャスミン 「そうね、断る理由はないわ。」
マルティネス 「私も協力しよう。」
メイ 「ありがとうございます!」
ティモシー 「あれ?」

ティモシー、ジャスミンに接近。

ジャスミン 「な、なに?」
ティモシー 「動かないで。」

ティモシー。ジャスミンの肩を掴む。

ジャスミン 「なに?!なに?!」

ティモシー、肩から小さいものを外す。

ティモシー 「これは…発信機だ。」
ジャスミン 「発信機?」

発信機からピーピー音がする。

ティモシー 「まずい!!」

ティモシー、ハケに向かって発信機を投げる。ハケで爆発音。みんな驚く。

ティモシー 「危なかった…」
ジャスミン 「一体誰が?」
メイ 「ゾネスたち?」
ティモシー 「いや、あの最新式は銀河連合の特捜のものです。」
ジルバーン 「やつらにこの場所を知られた?!」
ティモシー 「奴らがワープ中なら大丈夫ですが、他にも発信機があったら…あ!あった!」

ティモシー、ジルバーンのコートに発信機をみつける。

ジルバーン 「え?あ!こんなところに!」
ティモシー 「外すとさっきみたいに爆発します。コートを脱いで。」
ロジャー 「我々にもつけられてたんじゃ?」
メイ 「さっき着てた衣装!」
バーディー 「確認して処理しねーと!」
ハルバール 「行きましょう!」
ピヨ 「メイの衣装は私が見る!」
メイ 「お願いします!」

海賊たち、急いでハケる。

アーモンド 「大丈夫かな?」
ジルバーン 「とりあえずこちらはこちらでキャプテンの方を。」
フェンネル 「そうしましょう。」

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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