△ 「迷い子なカミサマ」シーン19


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下手明かり。バッカス号。新任神様が携帯を切ったところ。

新任神様 「連絡しました。」写真
閻魔 「うまくいくといいけど。」

ゴゴンというきしむ音。

川藤 「心深度170。海域離脱まで8キロちょっとか。」
朝倉 「全速力ならなんとか。」

新垣が戻って来る。

新島 「新垣君、神道君は?」
新垣 「まだ意識が戻りませんが、軽い脳震盪ですね。」
新島 「よかった。」
新垣 「代わります。」
川藤 「宜しく。」

川藤と新垣、ポジションチェンジ。新垣、朝倉に気づき

新垣 「あれ?」
朝倉 「ピンチヒッターの朝倉です。シクヨロ。」
新垣 「シクヨロ。」
御船 「映像信号入ります。」
ミルキー 「映像?」
新島 「この深さになると、記憶の映像が見れるの。」
御船 「メインモニターに移します。」
ランゼ 「プライバシーの侵害だ〜!」
ミルキー 「楽しそうに言わない!」

全員正面(客席)上のモニターに注目。

ランゼ 「うわ!いっぱい出て来た!」
新垣 「心深度180。」
川藤 「この辺は5年から10年前の記憶ですね。」
ミルキー 「あ、凄いはっきり写ってる。何かの表彰式?」
新任神様 「5年前、ラノベ作家の新人賞を受賞してますね。」
閻魔 「印象深い思い出の映像程鮮明なの。」
ランゼ 「あ、猫ちゃん。」
御船 「2年前、ペットショップ前でひとめぼれしてます。」
ランゼ 「他にも猫の映像がけっこうあるよ!」
御船 「猫好きですね。」
ランゼ 「貞子ちゃんは?」
御船 「千鶴子です。犬派です。」
ミルキー 「ちょっと待って!」
ランゼ 「どうしたの?」
ミルキー 「こ、ここの映像アップにできますか?」
御船 「はい。」

映像、アップになる体(てい)。

ランゼ 「あれ?私が映ってる!いつの間に?」
ミルキー 「違うよ、これ、3年前のミッションだよ。」
ランゼ 「え?どゆこと?」
川藤 「3年前にあきらくんと会ってた?」
ミルキー 「違うんです!これ、私の記憶なんです!」
全員 「はぁ?!」
新垣 「あきらさんの記憶の中にミルキーさんの記憶が?」
新島 「ありえない!」
ランゼ 「あ!あれ!」
ミルキー 「え?」
ランゼ 「あれナユタちゃんじゃない?!」
ミルキー 「あ!ホントだ!」
新任神様 「ナユタさんを修理してる?」
ミルキー 「これ、私の記憶じゃない。」
閻魔 「また別の人間の記憶?」
新垣 「あれ?」
新島 「なに?」
新垣 「あそこに移ってるの、神道に似てません?」
新島 「え?…あ!なんで?」
川藤 「間違いない、神道だ。」
御船 「あきらさんは神道さんとも会っていた?」
閻魔 「あきらさんの中に別の人間たちの記憶がたくさん存在する?」
閻魔 「あれ?!」写真
新任神様 「何?」
閻魔 「あれあなたじゃない?!」
新任神様 「私?どれどれ?」
閻魔 「あそこあそこ!ちょっとぼやけてるけど!」
新任神様 「え?あこれ?え?これ私?」
ランゼ 「画像が荒くてよくわからないよ。」

ゴゴンという音で艦が揺れる。みんな動揺。

新任神様 「あ!画面が落ちた!」
新垣 「心深度200を超えました!イエローラインです!」
御船 「今の衝撃でモニター、故障です!」
新島 「直せる?」
御船 「やってみます!」
新任神様 「え〜、私かどうかわからなかった…」
川藤 「海域離脱までは?」
朝倉 「あと4キロ。しかし沈むスピードが増してる。」
新島 「圧壊までは?」
新垣 「ギリです。」
新島 「艦長。」
川藤 「心配ない。」
新島 「何か策が?」
川藤 「なんにもないよ。」
新島 「艦長…」
川藤 「大丈夫。俺たち運がいいから。」
新島 「…でしたね。」

下手明かりが消える。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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