トップページ > ページシアター > 迷い子なカミサマ > シーン18 【公演データ】
上手明かり。別の街角。田中、佐藤、平泉、熊耳、幸恵、亜子、ナユタが上手から出て来る。
熊耳 「ちょっと休憩しません?」
平泉 「賛成。」
田中 「お疲れですか?」
熊耳 「いや、ちょっと、体のしびれが。」
平泉 「私もです。さっきよりひどくなってる。」
幸恵 「これ、異世界から来た影響ですか?」
佐藤 「ええ、そうですが心配はいりませんよ。」
田中 「それ、超能力が芽生えて来てるんです。」
平泉 「超能力?!」
佐藤 「こっちの世界では3割の人間が超能力を持っているんです。」
田中 「みなさんもこっちの世界に順応してきてるんです。」
平泉 「私も超能力使えるようになるの?!」
熊耳 「ちょ〜嬉し〜!!…あ、すみません…」
平泉 「ど、どんな能力なんです?」
佐藤 「人それぞれですが…」
佐藤、幸恵と熊耳に手かざし。田中は平泉に手かざし。
佐藤 「あ〜、こちらのお二人は、まだ形成中ですね。」
田中 「この子はもうできていますよ。」
平泉 「え?どんな能力なんですか?」
田中 「ミラーです。」
平泉 「ミラー?って鏡のミラー?」
田中 「ええ。」
平泉 「それってどういう…」
亜子が頭を抱える。
亜子 「ううう…」
幸恵 「大丈夫?」
亜子 「すみません、なんかくらくらして。時々意識が飛びそうになって。」
熊耳 「われわれより辛そうですね。」
幸恵 「さっきも何度かお母さん、お母さんってうなされてたし。」
亜子 「え?私がですか?」
幸恵 「ええ。」
亜子 「私が、お母さんって?」
幸恵 「そうだけど…」
亜子 「そんなはずは…そんなこと言うわけが…」
熊耳 「きっと意識が朦朧としていたからですよ。」
亜子 「違うんです。私、母親の事ママって呼ぶんです。お母さんって呼んだ事ないんです。」
熊耳 「は?」
田中の携帯が鳴る。
田中 「はい、どうしました?…え?なんですって?!…そうですか、わかりましたすぐに!」
田中電話を切る。
佐藤 「どうした?」
田中 「あきら君が魔族に捕まりました。」
幸恵 「なんですって?!」
田中 「石倉、納谷、鈴木の三人が魔族に乗っ取られていました。」
平泉 「鈴木も?」
佐藤 「想定内です。急いで戻りましょう。」
幸恵 「居場所わかるの?」
田中 「ええ、一か所にしか行けませんから。こちらです。」
全員上手に戻る。上手明かりが消える。
(作:松本じんや/写真:はらでぃ)