△ 「スパイシー・エージェンツ」シーン40


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照明、施設内全体明かり。下手からトカゲ、ミー、服部。上手からカーコ、しろ、コト。
ドーンという音。

カーコ 「来たよ。」写真

中央から愛と、足を引きずった鬼塚が出て来る。手にはスタバのコーヒー。

「中々素敵な施設ね。さて、どんな仕掛けがあるのかしら?」
ミー 「知りたい?」
「もう知ってる。」
ミー 「え?」
「あなたの能力で私を凍らせて、あなたのお父様が、弟から盗んだ力で私の魂を抜く。」
服部 「なぜそれを?」
鬼塚 「しろが持ってたモバイルに、作戦全部入ってたよ。」
トカゲ 「ちっ!バレバレか…」
しろ 「申し訳ありません。」
コト 「ドジ。」
「ちなみにあなたが使おうとしている絶対零度はマイナス273度。私の操れる熱の温度は2000度。不意打ちでもない限り役に立たないわね。」
ミー 「くっ…」
「そしてそこのお父さん。私の心のカギも頑丈でね。触れても能力の消去はできませんよ。」
服部 「ちっきしょう…」
「で、皆さんは瀬名さんの自信作、能力増幅装置でパワーアップしたんでしょ?でも残念。さっきそこでその装置みつけちゃって。私もパワーアップしちゃったの。」
トカゲ 「なんてこった…」
「これで妖怪さん達も、私にはかなわない。」
カーコ 「くそお…」
コト 「心が読めない…」
「ここで皆さんにご提案。ここで降参するなら、あなた方は大人のままでいさせてあげるよ。あなた方なら100点は無理でも、90点以上の優秀な指導者になれると思うから。」
トカゲ 「100点100点!うるせんだよバーロー!!100点取って「アイマ、パーフェクトヒューマン」にでもなる気かバーロー!90点もいらねーよ。人間なんてのは65点くらいが丁度いいって言うだろ!バーロー!」
「65点?なにそれ?」
トカゲ 「は?「松本ちえこ」の「恋人試験」だろうがバーロー!」
「松本ちえこ?」
トカゲ 「知っているのにわざと間違える65点の人が好き好き好きなんだよ!バーロー!」
「なにそれ?」
トカゲ 「あ、知らないのね、はい0点!知らなきゃググれバーロー!!ちなみに俺は「木ノ内みどり」のファンだったけどなバーロー!」
「すごい。アホすぎて点数つけられない…」
服部 「残念だが君の提案には乗れませんよ。頂点に立つ君自身が正しい指導者じゃないですから。なにより君たちが作ろうとしている「ネバーランドもどき」には、なんの魅力も感じませんし。」
「あらあら、ホントに残念な答えね。0点。」
鬼塚 「見つけたよ姉さん!」
「でかした!取り寄せて!」
鬼塚 「(上手に手かざし)はああっ!」

風の音がして、サソリが現れる。

「チェックメイト!」
サソリ 「あれえ?ここどこお?」
ミー 「母さん!」
服部 「摩耶!」
鬼塚 「はははは、自分たちの発信機が仇になったね!」
トカゲ 「しまった!」
「はははは!皆さん残念でした。矢的!移して!」
鬼塚 「てやああ!」

鬼塚、愛に手かざしすると魂が抜け、愛の体がフラフラと倒れる。

ミー 「愛ちゃん!」

ミーとカーコが愛の体を支える。鬼塚、抜いた魂をサソリにぶつける。

鬼塚 「たあああ〜っ!」

爆発の様な音。

サソリ 「キャあああああ〜っ!」

みんな倒れる。

みんな 「うあああああ!」

サソリ、ぐったりしているがゆっくり立ち上がり、自分の両手を見る。中身はシャドーになっている。

シャドー 「やった…戻った…。20年ぶりに取り戻した!私の体!私の体だ〜!」
鬼塚 「ついにやったね!姉さん!」
シャドー 「100点!…いや、120点!これで人間の頂点立ったのね!」

トカゲが鬼塚につかみかかり倒れる。

トカゲ・鬼塚 「うわああっ!」写真
シャドー 「ははは、今更なんのつもり?そうだ、試し撃ちしよっと。20年ぶりにバラバラにしてあげるね!」

シャドー、トカゲに手かざし。

鬼塚 「この野郎放せ!」
シャドー 「別に放さなくてもいいよ。」
鬼塚 「え?」
シャドー 「大和。あなたの役割も終わったわ。もう用済み。ごくろうさん。」
鬼塚 「ね、姉さん?」
シャドー 「パワーアップしたからジグソーパズルくらいバラバラなっちゃうかも。」
鬼塚 「姉さんやめて!」
シャドー 「はああっ!」

何も起こらない。

シャドー 「…ん?はあああっ!」

何も起こらない

シャドー 「なにこれ?どういうこと?」

シャドー、苦しみ出す。

シャドー 「う…うああああっ!!なに?!なによこれ!うあああああ〜〜!」

風の音と共に照明が揺れ、暗くなり、元に戻るとシャドーの体がトカゲになっている。

トカゲ 「はい、捕まえた。」
鬼塚 「え?!ど、どうして…」

しろが松木になっている。

松木 「僕の力で、違う姿に見せてたのさ。」

服部がしろになっている。

しろ 「完璧でしたよ、マイト君。」
松木 「あざす!」
鬼塚 「じゃ、この人は…」

鬼塚を掴んでいたトカゲは服部になっている。

服部 「私だ。」
鬼塚 「服部先生?!」
トカゲ 「服部さん、俺あんなバーローバーロー言わねえよ。」
服部 「すまん、あれは君のイメージだ。」
トカゲ 「それに、松本ちえことか木ノ内みどりも知らねえし。」
服部 「すまん、あれは私の青春だ。」

鬼塚手かざし。

鬼塚 「はあああっ!」
服部 「大和。もう瞬間移動はできないぞ。悪いが君の能力は全て消去した。」
鬼塚 「しょ、消去?そ、そんな…そんなバカな!!こんなの作戦になかった!」

瀬名、片足を引きずり出て来る。

瀬名 「そりゃさっき作ったばかりの作戦だからね。」
鬼塚 「能力を…消した?僕、普通の人間になっちゃったの?いやだ…そんなのいやだ!!」
服部 「返して欲しいならば、条件を飲んでもらうよ。」
カーコ 「ミー、愛ちゃんの体を冷凍して!」
ミー 「うん!」

ミーが愛に手かざしするが

コト 「待って!」写真
ミー 「え?」
コト 「戻って来たよ!」
カーコ 「愛ちゃん?!」

愛、目を覚ます。

「ううう…」
ミー 「愛ちゃん!」
「ただいま〜。」
カーコ 「今魔界から?!」
「だいぶ前に戻って来てたけど、別の魂が入ってて入れなかったよ。」
ミー 「それには色々と事情が…」
「大体わかってる。その辺浮遊して見てたから。」
ミー 「浮遊…」
トカゲ 「これでまたシャドーは俺の体に閉じ込めた。で、瀬名さんよ、この先どうする?」
瀬名 「とりあえず、またしばらくコールドスリープするしか…」
トカゲ 「だろうな。」
瀬名 「すみません…」
トカゲ 「想定内だ。別に驚きゃしねぇ…」

トカゲの様子がおかしくなる。

トカゲ 「うぐっ!」写真
瀬名 「どうしました?」

トカゲ、暴れだす。

トカゲ 「ぐああああっ!」
松木 「トカゲさん?!」
トカゲ 「ちくしょう!シャドーの奴!スゲーパワーで俺から出ようとしてやがる!」
瀬名 「まずい!」
トカゲ 「誰でもいい!早く俺を殺せ!シャドーを道ずれにできる!ぐあああああ!」
ミー 「そんなことできません!」
トカゲ 「服部さん!コピーした鬼塚の力で俺を宇宙にでも飛ばしてくれ!」
服部 「宇宙までは無理だ!どんなに頑張ってもせいぜい名古屋までだ!」
トカゲ 「名古屋じゃ意味がねえ!やっぱり殺せ!」
「服部先生!シャドーの魂を抜いて私に移して下さい!」
服部 「え?また戻すのか?」
ミー 「そんなことしたら…」
「私を信じて下さい!」
トカゲ 「もうだめだああ!シャドーが抜け出すぞお〜!」
瀬名 「服部さん!」
「急いで!」
服部 「あ〜もう!うりゃあああ!」

服部、トカゲから魂を抜き出し、愛へ。

服部 「とりゃあああ!」

ドーンという音で、愛が苦しみ出す。

「うぐうっ!(シャドー)出せ私をここから出セ!(愛)出すもんですか!みんな!すぐ戻るから!冷凍にしないで待ってて!」
ミー 「愛ちゃん!」
「(シャドー)放せコノヤロー!(愛)一緒に来てもらうわ!(シャドー)やめろ〜っ!」

ブオッという風の音で愛が倒れ、ミーとカーコが支える。

ミー 「愛ちゃん!」
カーコ 「また心臓が止まった!」
コト 「大丈夫だよ。」
ミー 「え?」
コト 「本当にすぐに戻って来るから。それに冷凍にしないでって言ってたでしょ?」
カーコ 「でも…」
しろ 「愛さまを信じましょう。」
瀬名 「ありがとうございます、みなさんのおかげで、なんとか危機は乗り越えられた様ですね。」

納谷、早乙女、金沢が出て来る。みんなホッとしつつもヘトヘト。

早乙女 「(泣きながら)良かった…ホントみんな無事で…」
トカゲ 「泣くなおかま。おうタコ、少しは回復したか?」
納谷 「はい、かなり。トカゲさんはまたダメージ増してますね?」
トカゲ 「たいしたこたねぇ。腕も生えたし。」

トカゲ、生えた腕を見せる。

みんな 「おお!」
服部 「あ〜もうだめだ。限界。瀬名くん、この施設に温泉とかないの?」
瀬名 「はははは、温泉ですか?」写真
ムーン 「くつろぐにはまだ早いんじゃないか?」
ミー 「え?」

中央からムーンが出て来る。みんな中央を開ける

ムーン 「悪いがこの施設はアポロン再建のために私が頂く。ま、そのためにここの支部長までのし上がった様なものだからな。今、世界中のアポロン残党が各施設を乗っ取っている。シャドーを消されたのは惜しいが、私の力があれば人類子供化計画は進められる。無論、君たちも楽しい子供時代に戻してやる。こいつらの様にな。ははははははは!」

上台からサンダー、ローズ、スマート。下台から上底、スカイ、サソリが出て来る。が、他のみんなはノーリアクション。

ムーン 「ん?どうした?恐怖で声も出せないか?大丈夫、怖くはない。平和な世界で暮らせるんだ。まずは瀬名君、君からだ。色々邪魔してくれたお礼だ。」
瀬名 「無理ですよ。」
ムーン 「ふっ、何がだ。」
瀬名 「全部です。」
ムーン 「なに?」
服部 「なんかラスボスっぽい長セリフの後でホントに申し訳ないんだが、あんたの能力のコピーと消去をさせてもらった。」
ムーン 「は?それは無理だ。私は能力にカギをかけてるんだ。消去などできるわけが…」
瀬名 「これでも?」写真

台の上で子供の様にしていた6人が全員ムーンに銃を向ける。

ムーン 「ば、ばかな!どうやって術を解いた?!」
ミー 「私がカギを開けたの。」
ムーン 「なに?」
トカゲ 「ミートは心のカギを開ける「鍵師」の能力も使えるようになったんだ。」
ムーン 「鍵師だと?」
服部 「あんたが眠っている間にカギを開け、私が能力のコピーをしてみんなを元に戻した。で、あんたの能力は全て消去。」
ムーン 「そ、そんな!そんなバカな事が!私が目覚める前から、お前ら演技を…」
ローズ 「詰めが甘かったわね。」
瀬名 「もう一つ。たった今世界中の諜報機関が復活したと連絡が入りました。」
ムーン 「なんだと?!」
瀬名 「我々と同様に、世界中の新人たちが各国を救うために頑張ってくれた様です。」
ムーン 「くっそお…」

ムーン膝から崩れ落ちる。

トカゲ 「ムーン、お前は重罪だぞ。どんな罰が待っているのやら?」

ムーンいきなり立ち上がるとスイッチを持っている。

ムーン 「ならば、お前らも道連れだ!」
ミー 「この施設を爆破するスイッチね。」
カーコ 「さっきコトから聞いた。」
ムーン 「ならばこれが本物だってのもわかるよな?」
上底 「あ〜あ〜、落ちたもんだねムーンちゃん。」
トカゲ 「そんなもんここにいる全員が一人で処理できらあ。」
スマート 「さて、誰にやってもらおうかな?」
金沢 「私にやらせて下さい!」
上底 「あ、それいいかも。」
スマート 「ではトマト。宜しく。」
金沢 「よくも、よくも子供のピュアな心を利用しようとしてくれたわね。」
ムーン 「いいのか?本当に押すぞ!」
コト 「うそだ〜。押すか押さないか迷ってるよ。」
金沢 「あなただけは許さない!」
ムーン 「ははは!お前なんぞに私が倒せる訳が…」

アルプスの少女ハイジの音楽がかかる。

ムーン 「ん?なんだこの曲は?」

金沢手かざし

金沢 「はあああ!」
ムーン 「うあっ!」

ムーン、立ったまま気を失う。照明が変わる。ムーン、顔を上げるとハイジになっている。

ムーン 「うわ〜!今日はなんて天気がいいのかしら!」
スカイ 「ハイジ〜!」
ムーン 「ペーター!」
サンダー 「ハイジ。」
ムーン 「おじーさ〜ん!」
サソリ 「ハイジ。」
ムーン 「デーテおばさ〜ん!」
上底 「ウオン!」
ムーン 「ヨーゼフ〜!」
ローズ 「アーデルハイド。」
ムーン 「ロッテンマイヤーさ〜ん!」
スマート 「ハイジ。」
ムーン 「ゼーゼマンさ〜ん!」
しろ 「お嬢様。」
ムーン 「セバスチャン!」
カーコ 「お嬢様。」
ムーン 「チネッテ!」
ミー 「ハイジー!」
ムーン 「クララが立ってる〜!」
瀬名 「ハイジや。」
ムーン 「ペーターのおばーさん!(スイッチを渡す)はい、しろパン。」
コト 「ブクブクメエ〜!」
ムーン 「ユキちゃん!」
鬼塚・松木・トカゲ・服部 「ブクブクメエ〜!」
ムーン 「そのほかのヤギさん!」

早乙女を見て

ムーン 「おじいさんの作ったチーズ!」
早乙女 「チーズで〜す。」
ムーン 「トライさん!」
納谷 「勉強も頑張ろう!」写真

倒れてる愛を見て

ムーン 「えっと、なんか動物の死骸さ〜ん!うわ〜!たのし〜!おどりましょ〜!」

台の上では横並びに手をつないで踊り、下では4人ずつ三つの輪になって回りながら踊る。
そのうちに真ん中のサスになり、ムーン一人が楽しそうに踊っている。そして元の照明に戻る。
みんなは冷静にムーンを見ている。

松木 「やっぱこの能力こえ〜…」
瀬名 「しばらくこうしておきましょう。」

ムーン、楽しそうに踊りながら上ハケ。

コト 「あ、愛ちゃん戻って来たよ!」
ミー 「え?」

愛が起き上がる。

「ふう、ただいま〜。」
ミー 「良かった無事で!」
カーコ 「シャドーはどうしたの?」
「あっちに置いて来た。」
ミー 「あっちって魔界に?」
「うん。魔族たちには可愛がってもらえそうだったよ。」
カーコ 「どんな風に可愛がられるのやら。」
「でも魔界で100点取るのはちょっと難しそうね。」
瀬名 「さて、これから色々後始末だ、結構大変だぞ〜。」
スマート 「すぐに研修も再開させますよ。」
上底 「まだまだ色々シクヨロ!」
全員 「シクヨロ。」
瀬名 「その前に、施設温泉にでも入って疲れを取って下さい。」
服部 「え?なんだあるの?」
瀬名 「かなりでかいのが。」
上底 「よっしゃ!行くぞ!」

みんなぞろぞろと下ハケ、ローズ上手に。サソリと目が合い立ち止まる。

ローズ 「結局、その体をもらったのね。サソリ。」
サソリ 「交換する?」
ローズ 「断る。」
サソリ 「でしょうね。」
ローズ 「謝らないわよ。」
サソリ 「その方がローズらしい。でもありがとね。」
ローズ 「え?」
サソリ 「化け物と協力してくれて。」
ローズ 「ふっ、娘とそっくりだな。」

ローズ、上手にハケる。下手に残っていた服部と麻美がしゃべりながら前へ出て来る。

ミー 「お父さん…あのさ…」
服部 「思った以上に危険な仕事だ。」
ミー 「でも私、この仕事…」
服部 「続けなさい。」
ミー 「え?」
服部 「命をかけてできる仕事がある事は。幸せな事かもしれない。」
ミー 「お父さん…」
服部 「どうせ止めてもやるんだろ。それに…母さんの血じゃしょうがない。」
ミー 「ありがとう。」写真
サソリ 「浩一さん…」
服部 「君もだろ。」
サソリ 「…ええ。」
服部 「2人とも好きなようにしなさい。私は島に帰ってゆっくり過ごす。でもたまには…3人で飯でも食おう。」
ミー 「…うん。」
サソリ 「…ええ。」
服部 「さてと、温泉温泉。」
サソリ 「あたしも入ろ。」
ミー 「あたしも!」

3人、下手に向かう。照明下手サス。ミーだけ立ち止まりサスの中へ。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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