△ 「スパイシー・エージェンツ」シーン33


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照明、京王線車内。車内走行音。映像、車窓。トカゲ、コト、松木、納谷が出て来る。

トカゲ 「まだシャドーたちは、俺たちが京王線で逃げてるとは気づいてないみてえだな。」写真
コト 「この車両だけは結界張ったけど。」

金沢、早乙女、上底、スカイ、ムーン、スマート、ローズ、サンダー、女(ここからサソリと記載)、が出て来る。子供にされた6人は、車内を遊びまわる。ローズとサソリは「線路は続くよどこまでも」の歌に合わせて手遊び。サンダーは走り回る。

金沢 「巻之助君!電車の中で走り回っちゃだめよ!」
スカイ 「ドゥルト!ドゥルト〜!」
金沢 「ハサン君!座るときは靴脱いで!」
スマート 「トマトせんせ〜!」
金沢 「どうしたの権三郎君?」
スマート 「ともきち君にでゅくしされた〜!」
金沢 「友吉君でゅくししないの!」
上底 「でゅくし!」
納谷 「保育士にだけは絶対なりたくない…」
早乙女 「これ外から見たらホントやばいやつよね。」
松木 「大丈夫、俺から半径20メートルの範囲以内の人間には、普通の子供に見えてるから。車両の外からは満員電車に見せてるし。」
早乙女 「いいなぁ。その能力も移植してほしかったなぁ。」
納谷 「駄目ですよ。我々の器でこれ以上の能力を移植したらパンクしちゃうって瀬名さんが言ってたじゃないですか。」
松木 「仕方ないよ。今回の作戦で一番必要なのが瞬間移動能力なんだから。」
納谷 「それにしてもミートと瀬名さんたちのチーム、まだ通信が繋がりませんね。」
トカゲ 「すぐに連絡が来るさ。」

京王線、地下に入る。

サンダー 「わあ!トンネル入った〜!」
トカゲ 「ん?」
車内放送 「間もなく調布、調布です。府中までの各駅と、多摩センター、橋本方面ご利用の方は乗り換えです。」
トカゲ 「げ!そうか地下ができてやがったか。通信が厳しいな。」
納谷 「トカゲさん。調布が地下になったの知らなかったんですか?」
トカゲ 「知ってるよタコ。見るのは初めてだが、工事はしてた。別に驚きゃしねえ。」
サンダー 「なあ、トンネル出るまで息止めようぜ〜!」
コト 「結構長いから死ぬぞ。」
松木 「しかし無邪気だな。」
上底 「がっきゅううんこ。」
スカイ 「ガッキューウンコ。」
納谷 「スカイさんなんて言葉通じないのにみんなと仲良くなってる。」
金沢 「子供って凄いです。」
スカイ 「ウンコウンコ〜!」
上底 「うんこうんこ〜!」
早乙女 「子供の頃ってなんでも楽しかったわよね。」
トカゲ 「記憶をこの辺で止めておくのも幸せかもな。」
納谷 「え?」
トカゲ 「お前らもそうだろ?エージェントのほとんどが、家族がいねえか、子供の頃捨てられてる。」
松木 「あれはまだ幸せだった頃の記憶か…」写真
早乙女 「親と喧嘩できるミートちゃんがちょっと羨ましいわよね。」
納谷 「いっそ子供にされた方が…」
金沢 「絶対だめよ!テロリストの計画に乗るなんて!」
納谷 「え、あ、ごめん…」
金沢 「ただでさえ今保育園は保留児童たくさんいるんですよ!」
松木 「ん?」
金沢 「なのに世界中子供だらけにするなんて無謀過ぎる!しかも施設数も保育士も足りてないんですよ!まずはそこから解決すべきなんです!」
納谷 「完全に保育士目線になってる…」
トカゲ 「すまねえ。俺が悪かった。ケチャップの言う通りだ。」
金沢 「トマトです。」
トカゲ 「このままで幸せなわけがねえ。」
松木 「シャドーっていったい何者なんですか?」
トカゲ 「簡単に言えば人造人間。元はアポロンの首謀者、貝塚の娘だ。」
納谷 「か、貝塚の娘?」
トカゲ 「貝塚の娘は幼い頃事故で死んだんだが、その細胞からクローンを作って改造したのがシャドーだ。」
早乙女 「じゃ、鬼塚はシャドーの弟?」
トカゲ 「みたいなもんだな。貝塚は20年前に獄中で自殺した。鬼塚はシャドーをたった一人の家族だと思ってるのかもな。」
ローズ・サソリ 「トマトせんせいあそぼー」
金沢 「いいよ。何してあそぶ?」
サソリ 「ごくどーのおんなたちごっこ〜」
ローズ 「おうじょうし〜や〜。」
金沢 「うん、それはやめようか。」
サソリ 「え〜、じゃなにしようか〜」
松木 「ムーンさえコントロールできれば元に戻せるんですがね。」
納谷 「鍵をかけてちゃ無理ですよ。」
トカゲ 「こいつ昔はガリガリだったんだぜ。」
早乙女 「うそ?!」
トカゲ 「ま、20年も経てばある事だ。別に驚きゃしねえ。」
松木 「中々驚かない人だよな。」
トカゲ 「あたりめーだ。そうそう驚く事なんか…おい、ちょっと待てよ、こりゃいったい…。」
松木 「どうしたんですか?」写真
トカゲ 「そんな馬鹿な!どういう事だ?!想定外だ!」
納谷 「ト、トカゲさん?!」
トカゲ 「いつから分倍河原に特急が止まるようになったんだぁ?!!!」
納谷 「え?」
松木 「驚きどころが全然わかんね〜…。」
トカゲ 「うおおおお!うおおおおお!」
納谷 「お、落ち着いて下さい!」
金沢 「コトさん、トカゲさんの心読める?」
コト 「読めるよ。」
早乙女 「なんて言ってるの?」
コト 「うおおおお!って言ってる。」
松木 「心もかよ。」
車内放送 「調布、調布です。」
コト 「あ!きた!シャドーたち!」
みんな 「え?」
トカゲ 「ちきしょう、早かったな。」

中央に愛と鬼塚が現れる。みんな中央から避ける。

鬼塚 「多分この車両だよ。結界で固められてるから。」
「へえ。満員電車にしか見えない仕掛けか。90点。」
鬼塚 「いてて。やっぱ手がおかしいや…」

発車のベルが鳴る。

鬼塚 「あ、電車出ちゃう。」
「取りあえず、上に乗ろうか?」
鬼塚 「オッケ〜。」

愛、鬼塚、中央にハケる。

早乙女 「屋根に乗る気よ!」
松木 「応援はまだかよ!」
トカゲ 「地下からでないと通信できないな。」
納谷 「早く来てくれ〜!」

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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