△ 「スパイシー・エージェンツ」シーン27


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照明屋敷内。上手台からミー、服部、カーコ、トカゲ、瀬名が出て来る。みんな階段を降りる。

ミー 「作戦中止ってどういう事?え?…良く聞こえないんだけど?」
トカゲ 「まさかばれちまったのか?」
瀬名 「そんなバカな…」
服部 「とにかくシャドーが来たらみんなで捕まえてくれ!私が触れれば奴の能力を消去できる!」写真
カーコ 「来るよ!」

下手から女が走り込んで来る。カーコとミーが女を囲む。

ミー 「シャドー!」
「待って…」

カーコとミーで女を攻撃。トカゲも加わる。

トカゲ 「よくも手足バラバラにしてくれたな!」
「違う!私は…」

カーコ、ミー、トカゲで女を押さえる。

瀬名 「今だ!」

服部が走り寄る

服部 「よくも麻耶を〜っ!!」

服部の手が、女の頭に触れた瞬間。

「浩一さん!!」

服部、手をはなす。

服部 「え?」
トカゲ 「何やってるんだ早く消去を!」
「私です!麻耶です!」
トカゲ 「え…」
ミー 「麻耶って…」
トカゲ 「サソリさん?…うそだ…」

コト、しろ、下手から入って来る。

コト 「ホントだよ。」
カーコ 「え?じゃあ、この人がミーの…」
ミー 「お母さん?」
「そうよ。麻美…。」
服部 「しかし…この姿は…」
「そう。シャドーよ。」
服部 「まさかお前…」
トカゲ 「シャードと魂を入れ替えたのか?!」
ミー 「そんな事って…」
瀬名 「交換能力。サソリさんの一番の武器です。」
トカゲ 「それじゃあの時…」
「あなたをバラバラにしたのは本物のシャドー。でも次にあなたが目撃したシャドーの中身は私。」
トカゲ 「ちっきしょう…そうだったのか…」
「私は自分の体ごとシャドーを倒し、魂をトカゲの中に閉じ込めた。そこで私も力尽き、意識を失った。」
瀬名 「中身があなただと誰にも気が付かれず、そのままコールドスリープに。」
ミー 「それじゃ愛ちゃんの中身は…!」
「シャドーよ。」
カーコ 「そんな…」
「シャドーはこの体を取り返そうとしている。この体でないと、彼女は本来のパワーを発揮できない。」
瀬名 「もっと早く知っていれば…」
「でもこれで真実は全部伝えられた。私の仕事は終わり。」

女、ミーに近づき抱きしめる。

ミー 「お母さん?」
コト 「あ、だめ!ミーちゃん離れて!!」

女、ミーから素早く離れると、ミーの銃を持っている。銃を自分のこめかみにあてる。

ミー 「え、私の銃!」
服部 「麻耶?」写真
「私の死体はすぐに焼却して下さい!」
トカゲ 「やめろ!」
「トカゲ、色々迷惑かけて悪かった。お前は本当にいい部下だった。」
服部 「麻耶!」
「浩一さん。最初から最後まで嘘だらけの女でごめんなさい。そして、麻美を立派に育ててくれてありがとう。」
ミー 「やめて…」
「麻美。最後にあなたに会えて、あなたを抱きしめられて良かった…」
ミー 「お母さん…」
「みんな…元気でね…」

女、引き金を引く。

服部 「やめろ!」

弾が出ない。

「え?」

女、すぐに何度か引き金を引くが弾は出ない。

ミー 「無駄です。弾は全部抜きました。」

ミーの手に銃のマガジン。

「…」
瀬名 「お見事!」
ミー 「死なせない。私が。」
「だめ…この体はすぐに処理しないと…」
服部 「我々がお前を守る。」
瀬名 「ええ。」
トカゲ 「んでもってシャドーを倒す!」
カーコ 「久々に腕がなるわ。」
コト 「私たちも。」
しろ 「はいお嬢様。」
「みんな…中々スパイシーね。」
服部 「お、久しぶりに聞いた…」
トカゲ 「サソリさんの口癖。」
ミー 「スパイシー?」

下手から松木、早乙女、納谷が走り込んで来る。

松木 「あ〜いたよこんなところに!」
早乙女 「ちょっとみんな大変よ〜!!」
瀬名 「どうした?」
納谷 「あ、上底さんと、ス、スカイさんが…」

3人、女に気づき

松木 「でゅわっ!!」
早乙女 「シャ、シャドー?!」
納谷 「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
トカゲ 「落ち着けタコ!この人はシャドーじゃねえ!」
松木 「え?そなの?」
納谷 「で、でも写真の人じゃ…」
瀬名 「後で説明するから。それよりどうしたんだ?」
松木 「そうそう、上底さんとスカイさんが…」写真

下手台に上底。「一年生になったら」を歌い、おどりならながら出て来る。

上底 「♪ひゃ〜くに〜んでたべたいな!ふじさんのうえでぇおにぎりを!…」
瀬名 「まさか!」
しろ 「子どもにされてます。」
ミー 「そんな…」
上底 「おにぎりたべたあい!」

上手台からスカイがうろうろしながら出て来る。

瀬名 「スカイさんまで?!」
早乙女 「でも、なんか変なんです。」
トカゲ 「変って?」
早乙女 「なんか変な言葉を…」
スカイ 「エカネコタイ?エカネコタイ?」
トカゲ 「なんつった?」
スカイ 「コタイ!!コタイ!!」
しろ 「あれはベンガル語ですね。」
瀬名 「べ、ベンガル語?!」
ミー 「ベンガル語ってどこの言葉?」

みんな答えられない。

しろ 「バングラディッシュです。」
瀬名 「バ、バングラディッシュ?!」
ミー 「ってどこ?」

みんな答えられない。

しろ 「インドとミャンマーの間です。」
みんな 「あ〜、そこそこ。」
コト 「みんな知らなかったね。」
ミー 「ってことはスカイさんってバングラディッシュ育ち?」
服部 「ちゃきちゃきの江戸っ子って言ってなかったか?」
トカゲ 「嘘はスパイの商売道具だ。」
スカイ 「マー!マー!コタイ!マー!」
上底 「でゅくし!でゅくし!」
服部 「一段と面倒臭くなったぞ。」
カーコ 「またトマトちゃんに頼まなきゃ。」
瀬名 「待って下さい…2人が子供にされたって事は…!」
トカゲ 「シャドーと鬼塚が来たのか?!」
「え?あの二人にそんな能力ないわよ。」
ミー 「え?」
瀬名 「しかし、現にみんな子供に…」
しろ 「ですが、結界も破られていません。」
松木 「ってことは…」
納谷 「ま、まさか…この中に?」
しろ 「そういえば、かすかに匂いますね。」
コト 「この中に嘘をついてる人はいないけど…」

サンダー、スマート、ローズ、ムーン、金沢が出て来る。

サンダー 「わ〜い!」
ローズ 「お〜にさんこ〜ちらっ!」
金沢 「みんな〜。走ると危ないよ〜。」
スカイ 「バリテ ジェテ チャイ〜!」
上底 「ひゅ〜ん!ドカンドカーン!」
金沢 「あれ?子供増えてませんか?」

スマート、ムーンにタッチ。

スマート 「はいひろし君鬼〜!5秒数えて!」
ムーン 「い〜ち、に〜い、さ〜ん…」
しろ 「コト様!匂いはあいつからです!」
コト 「え?」

ムーン、女にタッチ。

ムーン 「はい鬼〜!」

女、立ったまま気を失う。

コト 「みんな!嘘つきはムーンさんだよ!」
みんな 「え?!」

みんなムーンから離れる。ムーン、大人のしゃべりに戻る。

ムーン 「ははは、ばれちまったか。」写真
トカゲ 「てめ…」
ムーン 「だがもう手遅れだ。残念だったな。」

女、子供のしゃべりになる。

「あれえ?ここどこお?」
ミー 「お母さん?」
「お姉ちゃん誰〜?」
瀬名 「しまった!」
ムーン 「触れた相手を子供に戻していたのは私だ。」
服部 「麻耶!」
「お爺さん誰〜?」
服部 「お、お爺さん…」
ムーン 「この状態なら抵抗できまい。簡単にシャドーの魂と入れ替えられる。」

トカゲ、ムーンに銃を向ける。

ムーン 「私を殺せば、子供にされた者達は一生そのままだ。元に戻せるのは私だけ。それでも殺すか?」
トカゲ 「ちっくしょおお…」
瀬名 「お前もシャドーの手下か?」
ムーン 「逆だ。シャドーが私の手下さ。」
トカゲ 「なに?」
ムーン 「私がアポロン残党のリーダーだからな。」
トカゲ 「なんだと?!てめ、いつから…」
ムーン 「公安に入る前からアポロンの一員さ。アポロンの秘密を掴んだやつらを殺していたのも私。長かったぜここまで。公安からダブ、そして日本支部長。20年間じっくり手をまわし、この日を待っていたんだ。」
ローズ 「なんかひろし、しゃべり方変になったよ。」
スマート 「おとなみたいだ。」
ムーン 「シャドーが体を取り戻せば、いよいよ世界は平和になる。」
トカゲ 「平和だぁ?テロ組織が何言ってやがる!」
ムーン 「アポロンはテロ組織じゃない。世界の人々を救おうとしていた。それを、世界中の諜報機関がテロ組織扱いしやがった。」
ミー 「人々を救うって…いったい何をしようとしているの?」
ムーン 「世界中の人間を、彼らの様に「子供」にするのさ。」
ミー 「子供?」
ムーン 「ピュアな人間にして、一部の正しい大人が指導する。そうすれば戦争もなくなる。」
トカゲ 「フッ、なんだその幼稚な方程式は?」
服部 「人間はそんな単純じゃない。」
ムーン 「シャドーなら、そこを単純化できるのさ。」
瀬名 「全人類に対する犯罪行為だ。」
ムーン 「シャドーは人間の頂点に立つ。例え今は犯罪と言われようが、いずれそれは感謝に変わる。」
しろ 「奴らが来ました!」
ムーン 「おしゃべりはここまでだ。(女に)さあ来い。」
ミー 「やめて!」
ムーン 「私に触れるな。子供にしちまうぞ。ま、君は何もしなくてもまだガキだが。」

瀬名、ショットガンを構える。

瀬名 「触れなきゃいいんだよな?」
ムーン 「おいおい、聞いてなかったのか?私を殺せば…」

瀬名、ショットガンを撃つ。

ムーン 「うがっ!」

ムーン、膝をつく。

ミー 「瀬名さん!」
サンダー 「うわあびっくりしたぁ!」
スマート 「怖いよ〜!」
ローズ 「おか〜ちゃ〜ん!」
スカイ 「マ〜!」
上底 「でゅくし!でゅくし!」
ムーン 「なんだ…?なにをした…?」
瀬名 「ムーン支部長。僕も能力者だって忘れてましたか?」
ムーン 「何?し、しかしお前の能力は…。」
瀬名 「神経操作能力。触れた人間の神経を操れる。でもこの銃はその能力を弾にして撃てるんです。長年の研究の成果です。」
ムーン 「貴様…」写真
瀬名 「少し眠ってて下さい。」

ムーン、倒れる。

松木 「知らなかった。瀬名さんも能力者だったなんて。」
瀬名 「さあ、すぐに作戦を練り直しましょう。」
納谷 「もう嫌だ!!」
松木 「カイト?」
納谷 「か、勝てるわけないよ!教官たちだってみんなこんな風にされちゃったんだぞ!」
ミー 「カイト、落ち着いて。まだ勝てる望みは…」
納谷 「ミ、ミートは僕らとは違うからそんな事が言えるんだ!」
松木 「カイト!」
ミー 「違うって…何が?」
納谷 「そ、それは…」
早乙女 「私たちは前科者なの。」
松木 「マイガッ…」
ミー 「前科者?」
早乙女 「ミートちゃん以外の新人は、みんな元超能力犯罪者。」
ミー 「え?」
松木 「それぞれの能力を使って犯罪を犯し、ダブに捕まった。そんな俺らをダブのエージェントとして更生させようと計らってくれたのが、角田さんなんだ。」
ミー 「え…トマトちゃんも?」
金沢 「はい…」
松木 「黙っててゴメン…でも角田さんが言うなって…」
納谷 「ぼ、僕らは元々ダメ人間なんだ。優秀な人たちでさえかなわないやつらに、僕らなんか勝てる訳ないんだよ!」
ミー 「関係ない。」
納谷 「え?」
ミー 「前科があろうがなかろうが、私たちは選ばれたエージェントじゃない。」
金沢 「ミートちゃん。」
カーコ 「よく言った。」
瀬名 「その通り。前にも言ったが、君たちが力を合わせれば、きっと壮大な威力を発揮できる。カイト。君の力も絶対に必要だ。」
納谷 「で、でも…」
金沢 「私も怖い。でも、みんなを救えるのが私たちだけなら最後まで頑張ります。」
早乙女 「私も。カイト、あんたの好きなアイドルを救えるよ。」
納谷 「え?そうか…そうだよな。」
松木 「逃げたらもっとダメ人間。戦えばヒーロー!」
納谷 「あの子の…ヒーロー。」写真
コト 「お、やる気出てきたね。」
瀬名 「勝負はこれからだ。作戦のコーディネートは僕に任せろ。」
服部 「君が?」

瀬名、モバイルを操作する。

瀬名 「大丈夫、今までの作戦も全て僕が組んだんだ。」
瀬名 「よし、さっきの作戦を少し組み替えるだけで行けそうだ。トカゲさん手伝って下さい。」
トカゲ 「おうよ!」

外でド〜ンという音。

しろ 「乱暴なお客様だ。」
瀬名 「しろさん、例の作戦で。」
しろ 「かしこまりました。」

しろ、下手にハケる。服部、倒れたムーンに触れている。

服部 「だめだ、能力に鍵をかけちまってる。コピーができない。」
ミー 「じゃあみんなまだ子供のまま?」
瀬名 「こいつも連れて行きましょう。チーズ、頼む。」
早乙女 「はい。」

チーズ、ムーンを操り、立たせる。

早乙女 「重っ!」
瀬名 「みんな、元のスタンバイの位置に!シクヨロ!」
みんな 「シクヨロ!」

外でド〜ン!という音が鳴る中、全員それぞれの場所にハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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