△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン34


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クラ―ケンが出て来る。

クラ―ケン 「くそう。地下の入り口がわからん。」写真

クラ―ケン、気配を感じて隠れる。パウラが現れ、辺りを警戒する。後からヘトヘトのジョージが現れる。

ジョージ 「ここフードコートじゃん。なんだお前、腹減っての?だったら…」

クラ―ケン、2人の前へ出る。

クラ―ケン 「君達。」
ジョージ 「え?なに?国務次官?!」
クラ―ケン 「地下へ行く入り口を教えてくれないか?」
ジョージ 「え?地下ですか?地下なら…」

ライアンとフォックスが入ってくる。

ライアン 「国務次官!」

クラ―ケン、すかさずパウラを人質にとる

ジョージ 「パウラ!」

吉山が入って来る。

吉山 「観念しなさい。ここまでよ。」

松木、りんご、畑が出て来る。

松木 「なにこれ?どうなっちゃってんの?」

ライアン、先程拾った物を出して見せ

ライアン 「軍の機密データは手に入った。お前の不正も暴かれる。」
クラーケン 「ほう。」
「国務次官!」
クラーケン 「おお、畑君。ちょうど良かった、地下の入口を教えてくれ。」
「止めて下さいこんなこと!」
クラーケン 「何を言ってる。君も共犯者じゃないか。」
松木 「え?」
クラーケン 「研究資金を補助する代わりに動物達の餌に薬を入れてもらっていた。」
りんご 「畑君だったの?」
「知らなかったんだ。栄養補給サプリだって言われていて…」
クラーケン 「さ、地下への入口を教えてくれ。もちろん君も一緒につれて行く。」
「嫌です…」
クラーケン 「いいのかな?まだまだ研究を続けたいだろ?資金なら全額出してやってもいい。」
「資金は欲しいです。でもあなたからもらうのは二度とごめんだ!」
クラーケン 「そりゃ残念。誰でもいい、教えてくれたら一緒に連れて行ってやる。口止め料も欲しいだけやるぞ。」
吉山 「さすが国務次官。ゲスを極めていらっしゃる。」
クラーケン 「早く申し出ないと、このお嬢さん、痛い目にあっちゃいますよ。」
ジョージ 「パウラ!」
吉山 「大丈夫。パウラならきっと。」
ジョージ 「は?どういう意味です?」

マリーが登場する。

マリー 「やっと見つけた。よくも、よくもパパを!」写真
クラーケン 「なんだこいつ。」
吉山 「マリーちゃん!」
松木 「マリーちゃん?」
吉山 「コロニー長の娘よ。」
りんご 「娘って…でもあれ…」
松木 「犬…ですよね?」
吉山 「そう、コロニー長の愛犬。」
ジョージ 「え?いつも話してた入院中の娘って、犬のことだったの?」
りんご 「しかもゴールデンレトリバー…」
吉山 「病院から抜け出して来たのね。」
クラーケン 「この動物園は犬も飼育してんのか?しっ!しっ!あっちに行け!」
マリー 「パパの敵は私がやっつける!」

マリー、クラーケンに飛びかかり、腕に噛み付く。

クラーケン 「うわっ!いてえ!止めろ!このクソ犬!」

クラーケン、マリーを蹴り飛ばす。

マリー 「うっ!」
吉山 「マリーちゃん!」

マリー、倒れるが吉山に抱えられる。次の瞬間、人質のパウラがクラーケンを攻撃。みんなあっけにとられる。

クラーケン 「うっ!貴様!」写真

クラーケンも反撃するが、圧倒的にパウラが強く、銃を奪われ、倒される。

ジョージ 「…なにこれ?」
吉山 「パウラはミリタリーポリスの潜入捜査官なの。」
ジョージ 「潜入捜査官?!…だったの?」
パウラ 「はい。」

パウラ、バッジを見せる。

ジョージ 「マジか…」
ライアン 「お見事。」
パウラ 「さあ。立ちなさいクラーケン。」

クラーケン、ゆっくり立ち上がるが、いきなりスイッチの様な物を掲げる。

クラーケン 「残念だがまだ終わりじゃない。」
ライアン 「なに?」
クラーケン 「後々めんどくさいんで使いたくなかったが、こいつを押せば、巡洋艦に待機中の特殊部隊が私を助けに来る。君達はテロリストとして全員抹殺だ。」
フォックス 「貴様!」
クラーケン 「さ、どうする?」

畑が手に何かをかかげて前に出る。

「そのスイッチを渡せ!」
クラーケン 「なに?」
「これはお前達が僕に開発を頼んだもう一つの薬だ!あらゆる動物を猛毒にする!」
クラーケン 「あれは君が断ったはずじゃ。」
「密かに開発していたんだ!そしてこの犬にも薬を投与してある!」
クラーケン 「なんだと?!」
吉山 「(マリーに)あなた毒犬なの?」
「あんたは、さっきこの犬に噛まれた。もうすぐ毒がまわる。」
クラーケン 「貴様!」写真

畑、もう一つ薬を出す。

「解毒剤はここにある!そのスイッチと交換だ!」
クラーケン 「もし私が死ねば、特殊部隊は確実にお前らを殺すぞ。いいのか?」
「本当にもうすぐ毒がまわるぞ!いいのか?!」

りんごがこっそり松木に声をかける。

りんご 「松木くんちょっと。」
松木 「なに?」

りんごが耳打ち。

松木 「え〜?!何言っての?無理だよそんな事!」
りんご 「あいつが死んでも逃げても、どっちにしろみんな殺されるわ!」
松木 「いや、でも失敗したら…」
りんご 「成功したら、あの話し善処する。」
松木 「え?あ、それは…」
りんご 「松木くん!」
松木 「あ〜!!もう、はい!」

松木、手を上げる。

クラーケン 「なんだお前?」
松木 「地下への入口教えます!」
吉山 「松木君?!」
松木 「お金、幾らでもくれるんですよね?」
クラーケン 「ああ、好きなだけやるぞ!」
松木 「それと、彼女も一緒に逃がしてほしいんだ。」
クラーケン 「ああ、いいとも。」
ジョージ 「マッキー!お前がそんなやつだったとは!」
松木 「畑くん。解毒剤を。」
「え?」

松木畑に頷き、畑、松木の目を見て、解毒剤を渡す。

松木 「ライアンさん、データ。」
フォックス 「おい!」

ライアン、フォックスを制してデータを渡す。松木、ライアンにも頷く。

クラーケン 「聞き分けが良い子がいて助かったよ。」
松木 「それじゃ、参りましょう。こちらです。」

松木、クラーケンを倉庫に案内する。

ジョージ 「え?そっちって…」
吉山 「しっ!」
クラーケン 「なんだ、すぐ近くだったか。それじゃみなさん。さようなら。」

クラーケン、松木、りんご、倉庫にハケる。

フォックス 「追いましょう!」
ライアン 「待て!」
ジョージ 「あそこ、倉庫ですよね?どうして…」
吉山 「多分あの二人…」

倉庫から声が聞こえる。

クラーケン 「うわあ!なんかいるぞ!うわ!なんでお前が銃を持ってるんだ?」
松木 「これをつけろ!」
クラーケン 「なんだこれは?貴様らなんのまねだ!」
りんご 「う〜〜や〜〜たああああ〜!」

風が吹き抜ける音と同時に照明が揺れる。照明が戻るとコンビニのチャイムがなる。

フォックス 「これって…」

松木、りんご、クラーケンを連れて倉庫から出て来る。クラーケン、安全装置のサングラスをつけている。

吉山 「松木君、上野さん!あなた達まさか…」
松木 「チューニングが難しかったですが、何とか成功しました。」
吉山 「やったのね?」
りんご 「やっちゃいました。」
ジョージ 「なんだ?何がどうなったんだ?国務次官は?」
松木 「これ、もう国務次官じゃないんだ。」
ジョージ 「は?」
りんご 「イェーイェーよ。」写真
ジョージ 「はああっ?!」
ライアン 「人間と動物のチェンジができるのか?」
りんご 「初めてやりましたが何とか。」

クラーケン姿のイェーイェー、我に返る。

イェーイェー 「おわっ。なんだこれ?人間になってるです。」
松木 「イェーイェー!」
イェーイェー 「松木君!これ、どゆことですか?」
松木 「イェーイェー!お前は今日から人間として生きるんだ。」
イェーイェー 「へ?そなのですか?よくわからないけど嬉しいかもです!」
松木 「僕もお前と話しができて嬉しいよ!」
フォックス 「って事は、国務次官は…」
りんご 「今後の人生はパンダです。」
ライアン 「信じられんが、これで陰謀は阻止できるかもしれん。」
松木 「イェーイェーにも色々頑張ってもらいますが。」
イェーイェー 「よくわからないけど頑張るです!」
ジョージ 「俺もよくわからない…」

パウラ、ジョージの肩を叩く

ジョージ 「ありがとうパウラ、でも君もよくわからない…」
松木 「あ、しまった解毒剤注射してない!」
「大丈夫です!」
松木 「え?」
「あれ、嘘なんです!」
りんご 「嘘って…」
「動物を猛毒にするなんて薬、作ってないんです。」
吉山 「畑君、ナイスはったり!」
ジョージ 「みんな…良くわからない。」

みんなゾロゾロとハケ始めるが、吉山だけ残り照明が変わる。

(作:松本じんや/写真:原田智史)

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