△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン24


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イェーイェーが出て来る。

イェーイェー 「ああ〜いいにおい。でもここはどこですかね?…ああ、もう自分の部屋には2度と帰れないのですかねぇ…神様、どうか僕を部屋にお返し下さいです〜。」写真

そこへ松木が入って来る。

松木 「イェーイェー!」
イェーイェー 「わあ!松木君!神様、速攻にありがとうです〜!」
松木 「もしやと思ってフードコート来てみて正解だった。お前が食いしん坊で良かったよ。」
イェーイェー 「自分が食いしん坊で良かったです〜。」
松木 「しかし、今外は危険だからな。…そうだ!イェーイェー、そっちの倉庫に隠れててくれ。」
イェーイェー 「倉庫?絶対嫌です〜!部屋に帰りたいです〜!」
松木 「今日は特別に中のフルーツ食べ放題だぞ。」
イェーイェー 「入りますです〜!!」

イェーイェー、中に入る。

松木 「よし!いい子だ!。」

りんごと吉山が出て来る。

りんご 「松木君!」
松木 「りんご!…いや、上野さん!園長も、無事でしたか!」
りんご 「ええ。イェーイェーは?」
松木 「みつけたよ!今、一時的にそこの倉庫に。」
吉山 「良かった。」

松木、りんごを端に連れて行き

松木 「上野さん。こんな時だけどいいかな?例の話し。」
りんご 「え?…もぅ…しょうがないな…」
松木 「僕たち、もう、大丈夫だと思うんだよね。ほら、あの頃はまだ中3だったし。もうお互いの能力ちゃんとコントロールできる様になったわけだから。」
りんご 「それはそうだけど…」
松木 「あんな事故はもう起きないよ。」
りんご 「起きないとは限らないよ…」
吉山 「ちょっといい?何の話し?」
松木 「あ、いやその…」
りんご 「松木君が私とよりを戻したいって話しです。」
松木 「うわ、ストレートだな。」
吉山 「え?2人って前に付き合ってたの?」
松木 「ええ、まあ、中3でしたが。」
吉山 「そうなのね〜。なんでわかれちゃったの?さっきの事故ってのが原因?」
松木 「無茶苦茶聞いてましたね。」
りんご 「実は私、「チェンジャー」と呼ばれる、人の意識を入れ替える事が出来るジニアスなんです。」
吉山 「人の意識を入れ替える?」
松木 「で、僕が「チューナー」と呼ばれる、ジニアスの能力を調整できるジニアスなんです。」
吉山 「ジニアスの能力を調整する…その能力でなにか?」
りんご 「はい、実は学校で休み時間中に2人で大喧嘩をしまして、気がついたら…」
松木 「クラス中の友達の意識が入れ替わっていたんです。」
吉山 「え?」
りんご 「もう誰が誰と入れ替わったか分からなくなっちゃって、元に戻すのが本当に大変で…」
松木 「結局2人ともすぐに転校させられて。」写真
りんご 「でも、まさか同じ仕事場になるとは思ってもいませんでした。」
吉山 「なるほどね。そりゃ大変だったわね。」
松木 「でももう能力をコントロールできるからって思って…。」
吉山 「問題は二人の能力じゃないわね。」
松木 「え?」
吉山 「二人の気持ちよ。」
松木 「…ええ…まあ…」

松木もりんごも黙り込む。突然袖で物音。

吉山 「何かしら?」

そこに、ノースロップが入って来る。3人驚く。

吉山 「あなた誰?」
松木 「この人、例の犯人じゃ?!」
りんご 「え?!」

ノースロップ、身振りで怪しい者ではない事と、声が出ない事をアピール。

吉山 「声が出せないみたい。」

そこへ、ライアンとフォックスが入って来る。

ライアン 「動くな!」
吉山 「ライアン大佐!」
フォックス 「良かった、奴らより先でしたね。」
ライアン 「やっとみつけたぞノースロップ。まずは話しを聞かせてもらおうじゃないか。分かっているお前は何かの陰謀に巻き込まれてるんだな?」
りんご 「陰謀?」

ノースロップ、話したいけど声がでないとアピール。

フォックス 「どうした?」
吉山 「その人、声が出せないみたい。」
ライアン 「何?」

フォックスがノースロップを確かめる。

フォックス 「プラズマショック弾です。2〜3日は声が出せませんね。」
ライアン 「くそお、これじゃ連行できないな。」
フォックス 「あいつらに引き渡したら、罪をでっち上げられます。」
ライアン 「かといって、声が出るまで2〜3日も囲まうのは困難だ。」
りんご 「あの。」
ライアン 「なんだ?」
りんご 「聞き出す方法がない訳でも…」
フォックス 「え?どうやって?」
松木 「おいまさか。」
吉山 「チェンジャーを使う気?」
ライアン 「チェンジャー?君はチェンジャー能力のジニアスなのか?」
りんご 「はい。」
ライアン 「頼む。使ってくれ。」
松木 「いいのか?」
りんご 「これが正しい使い方よ。」
フォックス 「で、誰とチェンジする?」
りんご 「松木君お願い。」
松木 「え?俺?俺がこの人と?」
ライアン 「他の兵隊が来る前に頼む!」
松木 「いや、でも…」
りんご 「松木君お願い。」
松木 「…わかった。」
りんご 「ちょっと待って、用意するから。」
松木 「用意?」写真

りんご、ウエストポーチからサングラスにコードがついたような物を取り出す。

りんご 「これつけて。」
松木 「何これ?」
りんご 「安全装置。」
松木 「安全装置?昔はそんな物使わなかったよね?」
りんご 「これを片方の人につければ、間違って別の人とチェンジしなくて済むの。念のためみんな離れて下さい。」

みんな、ノースロップと松木から離れる。

松木 「うわ、こえ〜。」
りんご 「無事にチェンジしたらチャイムが鳴るから。」
吉山 「チャイム?」
りんご 「行きます!(手のひらに力を入れて)う〜〜〜や〜〜〜…」

地鳴りの様な音がして照明が揺れる。

りんご 「たあ〜〜っ!!」

りんごが腕を交差すると風を切る音がして照明が戻る。ノースロップと松木はガクッと意識を失う。
みんなが固唾を飲んで二人を見守っていると。コンビニの様なチャイムが鳴る。間。

ライアン 「…ファ○マ?」
りんご 「チャイムです。もうチェンジしてます。」

入れ替わったノースロップと松木の意識が戻る。 松木の体に入ったノースロップが話し出す。

松木 「うわ、本当に入れ替わった。」

ノースロップの体に入った松木は、声が出せずに苦しんでいる。

ライアン 「ノースロップか?」
松木 「はい。ライアン大佐!」
フォックス 「ノースロップ、真相を教えてくれ。」
松木 「全ては国務次官の陰謀です!」
ライアン 「やはりそうか…」
松木 「あいつはとんでもない実験を指示しています。」
フォックス 「実験?」
松木 「動物をジニアスにしようという実験です。」
吉山 「なんですって?!」
松木 「ジニアスにして、兵器として対エイリアン戦に利用する気なんです。」
りんご 「そんな、ひどい!」
松木 「このパイナップルを軍事利用するというのも…」
吉山 「動物兵器を作る工場にしようって事?」
松木 「はい。」
吉山 「冗談じゃないわ!」
ライアン 「連邦政府の意向か?」
松木 「いえ、国務次官の独断です。裏には大金が絡んでいます。」
フォックス 「そうか、お前がミリタリーポリスから依頼を受けていた仕事って…」
松木 「ええ、この実験の調査です。私は証拠のデータと、実験に成功したマウスを研究所から奪い…」
ライアン 「このコロニーに逃げ込んだ。」
松木 「奴らはマウスの遺伝子から作った薬を、既にここの動物達の餌に混ぜて投与し始めています。」
りんご 「え?!まさか動物達がおかしくなってるのって…」
吉山 「その薬のせいって事?」
松木 「恐らく。」
ライアン 「データとマウスは?」
松木 「マウスはデータを持って、このコロニーのどこかに隠れています。」
フォックス 「逃がしたのか?」
松木 「大丈夫、あいつは人間以上に頭がいい。正しい人間にデータを届けられる。しかし…」
フォックス 「なんだ?」
松木 「特効薬が効いていないようで、もうあまり長くは生きられないかも知れない…」
吉山 「かわいそうに…」写真

そこにハウザーが入って来る。

ハウザー 「やっとみつけましたよ。ノースロップ。」
ライアン 「ハウザー指揮官。」
ハウザー 「ライアン大佐、お手柄だな。さ、ノースロップを渡してもらおう。」

ライアン、フォックス、ハウザーに銃を向ける

ライアン 「断る。」
ハウザー 「おや?やっぱり情けをかけるのか?」
ライアン 「いいや、国務次官の陰謀を聞いちまっただけだ。」
ハウザー 「ほう。」
フォックス 「お前もグルだな、ハウザー。」
ハウザー 「だったら?」
ライアン 「軍法会議に引きずり出す。」
ハウザー 「無理だな。外は私の手の者が包囲している。合図ひとつで皆殺しだ。」
フォックス 「なにっ?」
ハウザー 「ノースロップ。お前が大人しく投降すれば他の奴らは助けてやる。どうだ?」

松木のノースロップ。少し考えて前へ出る。

松木 「…わかった、投降する。だから皆は助けてくれ。」
ハウザー 「は?誰だお前?」
松木 「誰って、ノースロップだろうが?」
ハウザー 「貴様…なめてるのか?!」

ハウザー、松木を銃で殴り倒し、人質にする。

松木 「うっ!…」
ライアン 「ハウザー!」
ハウザー 「ノースロップ!投降しなければこいつを撃つ。」

ノースロップ姿の松木が前へ出る。

りんご 「松木君!」

ノースロップ姿の松木がみんなに下がれとアピールし投降する。ハウザー、松木姿のノースロップを離す。

ハウザー 「皆さん外には出ない様に。兵隊達に撃たれちゃいますから。では。(去ろうとして止まり)そうそう、中にもゲストを呼びますのでそのままそのまま。(通信)いいぞ、解放しろ。」

ハウザー、ノースロップ姿の松木を連れ去る。フォックスが追うが、電子ロックの扉が閉まる。

フォックス 「くそっ!電子ロックしやがった。」
松木 「ハウザーもエレクトロキネシスのジニアスだ…」
吉山 「え?」
フォックス 「裏を見て来ます。」

フォックス、ハケる。

りんご 「どうしよう。ノースロップに入った松木君が連れて行かれちゃった!」
吉山 「まずいわね…」
ライアン 「そう言えば、今、ハウザーの言っていたゲストってのは誰の事だ?」

奥からフォックスの声

フォックス 「うわああああ!」
ライアン 「なんだ?」

フォックス飛び出して来る。

ライアン 「どうした?」
フォックス 「ラ、ライオンです!しかも、複数!」
吉山 「またライオン?!」

シャンプー、リンス入ってくる。

シャンプー 「もういや!何あの銃持ったおっさんたち! 」
リンス 「銃で脅してこんな所に追い込むなんて。」
シャンプー・リンス 「サイテー!」
吉山 「この子たち…」
ライアン 「ヘアックシ!!」写真
リンス 「あ、ここにも同じかっこうのおっさんが2匹いる!」
シャンプー 「ちょっと仕返ししちゃう?」
リンス 「しちゃおう!」

シャンプー、リンス、ライアンとフォックスに近づいて行く。

シャンプー・リンス 「ガル〜!」
フォックス 「威嚇されてます。」
ライアン 「ヘアックシ!!」
松木 「大丈夫ですか大佐。」
ライアン 「ただの猫アレルギーだ。」
松木 「猫?」
フォックス 「正確にはネコ科アレルギーです。」
松木 「あ、もう一頭来ます!」

ダイヤが出て来る。

ダイヤ 「よくも娘たちに手荒な事を!」
りんご 「まずいわ、興奮している!」
吉山 「みんなゆっくり下がって!」
ライアン 「え?」
吉山 「私に任せて。」

吉山以外全員下がる。

ダイヤ 「じゃまよ!」
吉山 「落ち着いてダイヤ。」
ダイヤ 「そこの兵隊たちにお仕置きしなきゃならない!」
吉山 「ダイヤ!わからないの?」
ダイヤ 「どきなさい!」
吉山 「私よ!吉山エルザよ!」
ダイヤ 「…吉山エルザ?」
吉山 「ダイヤ!」
ダイヤ 「エルザ…」

ダイヤ、ハッとして吉山に飛びかかる!

ダイヤ 「うわああああ!」
ライアン 「園長!」

ライアン、フォックス、ダイヤに銃を構える。

吉山 「撃たないで!」写真
ライアン 「なに?!」

ダイア、吉山に甘え始める。

ダイヤ 「エルザ〜!久しぶり〜!!」
吉山 「大きくなったわね〜ダイヤ。」
フォックス 「な、なんだこれ?」
ライアン 「どういうことだ?ヘアックシ!」
吉山 「ダイヤは私が飼育員時代に2歳まで育てた子なの。」
ダイヤ 「園長になってから全然会いに来てくれないんだもん。」
シャンプー 「ママ、この人は?」
ダイヤ 「ママを育ててくれた人よ。」
シャンプー 「ママのママ?」
リンス 「おばあちゃん?」
シャンプー・リンス 「おば〜ちゃ〜ん!」
吉山 「なぜだろう?言葉はわからないけど、グサッと来た。」
フォックス 「すごい。ライオン達が猫の様だ。」
ライアン 「ライオンが大丈夫でも、外の奴らを何とかしないとな。ヘアックシ!!」
フォックス 「しかし、外の兵隊達は我々だけではさすがに…」

外から銃声と咆哮と悲鳴。

ライアン 「なんだ?」
吉山 「あの声…」
フォックス 「見てきます!」
ライアン 「気をつけろ。」

フォックス、ハケるとすぐにトランプと一緒にも叫びながら出て来る。トランプはよれよれの姿。

トランプ・フォックス 「うわあああああああ!」
松木 「もう一頭?!」
トランプ 「娘たちに指1本でも触れてみやがれ!ぎったぎたにして、べっこべっこにして、ぎゅ〜って絞って、ぐ〜って縮めて、このぐらい小さくしてやる〜!いろは〜す!!」
ダイヤ 「トランプ?!」
シャンプー・リンス 「父ちゃん!」写真
フォックス 「これさっきのライオンじゃ?」
ライアン 「ヘアックシ!ヘアックシ!」
トランプ 「おお!ダイヤ、シャンプー、リンス!無事だったか〜!」
吉山 「どうやってここまで?」
フォックス 「外、確認してきます。」

フォックス、ハケる。

ダイヤ 「どうしたの?!ボロボロじゃない!」
トランプ 「いや、ちょっと無茶しちまったかも…」

トランプ、ヘナヘナと崩れる。

ダイヤ 「トランプ!」
シャンプー・リンス 「父ちゃん!」

フォックスが戻って来る。

フォックス 「すごい!外の兵隊全員退却してます!」
ダイヤ 「トランプ?あなた一人であの数の兵隊を?」
トランプ 「なんだか良く覚えてねえが…お前らが心配で…無我夢中で暴れちまった。」
ダイヤ 「驚いたねぇ〜あんたにも野生の血が残ってたんだねぇ。見直したよ!トランプ!」
シャンプー・リンス 「父ちゃん凄い!」
フォックス 「なんとか出られそうですね。」
吉山 「私はライオン達を安全な場所に連れて行きます。さ、みんなこっちよ。」
トランプ 「よしみんな行くぞ!」
ダイヤ・シャンプー・リンス 「はい父ちゃん!」
トランプ 「か〜っ、いい響きだぁ〜。」

吉山とライオンファミリーハケる。

ライアン 「すぐにハウザーを追うぞ。」写真
フォックス 「はい。」
松木 「二手に分かれましょう。隊長、銃を。」

ライアン、松木姿のノースロップにハンドガンを渡す。

ライアン 「気をつけろ。」
松木 「はい。上野さん、道案内頼みます。」
りんご 「はい。」

4人、ハケる。ライアン、りんご、松木姿のノースロップ、ハケる。照明が変わる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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