△ 「ガールズ・イン・ザ・クライシス」シーン34


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愛以外の女子達と上底が入って来る。

上底 「入口を突破された!」
ユア 「せんせたつは?」
上底 「人質だ。」
カーコ 「早い。」
ミー 「愛ちゃんは?」写真
上底 「一番奥の部屋だ。」
マイ 「それじゃ、私から!」
上底 「行くぞマイ!」

マイが両手を広げ、上底はマイに手かざし。

マイ 「はっ!!」

マイが気合いを入れるとドーンと言う音とともに足元が大きく揺れる。

上底 「上手くいったか?」
マイ 「多分。」

奥から声

瀬名 「何だ今のは?!」
ユウ 「アモン?」

バットを持ち、キャッチャーの様なプロテクターをした瀬名が入って来る。

瀬名 「今のは地震か?」
上底 「瀬名ちゃん?!」
瀬名 「おうよ!」
上底 「外に避難しとけって言ったろ!」
瀬名 「バカを言うな!俺の仕事はこの国を守る事だ!任務を放棄できるか!」
上底 「ただの人間には危険過ぎるって。」
瀬名 「ただの人間の底力、見せてやろうじゃねえか!」
ささがに 「熱いんだか壊れてるんだかわかんないのね。」
瀬名 「バチ来〜い!」
ささがに 「(匂いを嗅ぎ)バチ来たのね!!」
瀬名 「え?」

全員下がる。中心からアモンが歩いて来る。後ろから、自由を奪われた職員達がぞろぞろ出て来る。みんな距離をおいて構える。

ミー 「先生!」
アモン 「おお、素敵な講堂だ。客席も広いね。」
カーコ 「こいつがアモン?」
氷室 「そうだよ。」
アモン 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜ン。」
氷室 「それは魔王のセリフだよ。」
アモン 「メアちゃん。メールで色々情報ありがとう。」
氷室 「メール?したっけ?」
アモン 「皆さん初めまして。アモンと申します。」
マイ 「強そうに見えないけど。」
アモン 「悪魔は見かけによりませんよ。」
瀬名 「アモン!お前の勝手にはさせねえぞ!俺は…」

アモンが手を振ると風の音。瀬名が飛んで行く。

瀬名 「ぬあ〜〜!」
上底 「瀬名ちゃん!」
アモン 「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド。」
上底 「だから言ったのに…」
アモン 「あれ?ペリルがいないな。もっと奥に囲まってますね。」
ミー 「愛ちゃんは私達が守る。」
アモン 「(携帯を見ながら)メール情報によると…ほう、皆さんとても個性的だ。差し詰め「しょぼいアベンジャーズ」ってとこかな?」

少女たち、アモンを囲む。

アモン 「あららら。」写真
カーコ 「行くよ!」
全員 「やあ!!」

少女達、同時に見えない剣でアモンを斬る。

アモン 「ぎゃああああ!!…なんてなるわけないでしょ?身の程を知りましょうよ。」
カーコ 「ダメか…」

アモンが手を挙げてクルッと一回転するとみんな動かなくなる。

全員 「うっ!」
アモン 「はい、全員人質になりました〜。ペリル〜。出ておいで〜。…あれ?いいのかな?じゃ、お友達を悪魔にしちゃおうかな?」
校長 「やめなさい!」

アモンカーコの横へ。

アモン 「お、あなた、常日頃から人間の犯罪者を殺したいと思ってますね。」

マイの横へ

アモン 「あなたは、その犯罪者たちを撲滅する為には、人類が滅亡するしかないと思ってる。正解です。」

ユアの横へ

アモン 「あなたは故郷で相当いじめに合ってますね。素敵な復讐心だ。」

ユウの横へ

アモン 「あなたはさすがヴァンパイア。腹の底では人間をねたましく思ってる。」

コトの横へ

アモン 「あなたは言葉の暴力で死んだ魂たちが生んだ妖怪。怨念で出来てる様な物ですね。」

ミーの横へ

アモン 「あなたは母に捨てられ、育ててくれた父親も実は血が繋がっていない。生まれの不幸を呪っていますね。皆さん悪魔になる素質十分だ。」

愛が出て来る。

「やめて!」
校長 「愛!」
ミー 「愛ちゃん、出て来ちゃ駄目!」
アモン 「やっと出て来てくれたね。ペリル。」
「みんなを傷つけたら。直ぐに魔界を消しに行きます。」
アモン 「魂が抜けたらその愛って子、死んじゃうけどいいの?」
「どっちにしても世界が消えたら皆死んでしまう。人質なんて意味ない。」
アモン 「そうでもないさ。君が発動してくれるのなら、ここにいる人間たちを悪魔に変えて魔界に連れて行ってやる。そうすりゃ死なずに済む。」
カーコ 「冗談じゃない!」
マイ 「悪魔になるなら死んだ方がましよ!」
「約束してもらえる?」
校長 「愛!信用するな!」
「嘘だったら魔界も消します。」
アモン 「それは難しいでしょ。一度発動したら次の発動まで100万年はかかる。」
「100万年後に、必ず魔界を消しに行きます。」
アモン 「安心しろ。約束は守る。」
「では、この建物の外の世界を、全て消します。」
ミー 「愛ちゃん駄目!!」

愛、両手を広げ、力を込める。

校長 「愛!やめるんだ!」

愛、叫ぶ。

「うあああああ!」写真

大きな破壊音と閃光。みんなの叫び声の後、暗転。間もなくゆっくり明転。

アモン 「はははは!素晴らしい!こんなパワーを感じたのは初めてだ!これが次元を消す力の波動か!」
「違うわ。」
アモン 「え?」
「世界は消えてない。私の力、別の事に使ったの。」
アモン 「は?何を…」
「外を覗いて見たら?」

アモン、そでに入り、外を確認する。直ぐにうろたえながら戻って来る。

アモン 「どこだここは?どう言う事だこれは?!」
校長 「お前が来る前に、講堂の裏にあらかじめ私が次元の穴を開けておいた。」
角田 「そしてあんたを講堂に閉じ込めた後に…」
マイ 「私が講堂ごと穴の外にテレーポートさせた。」
アモン 「穴の外?それじゃここは…」
校長 「次元の狭間だ。」
アモン 「しかし、さっきの発動は…」
「次元を消したんじゃなく、次元を作ったの。」
アモン 「次元を作った?」
「窓から見えたでしょ?膨らんで行く丸い空間を。」
アモン 「宇宙を作ったのか?」
「私のもう一つの力。」
まほろば 「こんな力の使い道、神様もサタンも知りませんでしたからね。」
アモン 「ふっ、はははは!やってくれたなあ。しかしまあ、下界が消えなかったならそれでいい。これでなんの心配もなく侵略できる。」
校長 「ここから出なければ、サタンに報告も出来まい。」
アモン 「おいおいあんた達はまだ俺の術中だぜ。あんたさえ倒せば簡単に出られる。」
校長 「残念だがそれは無理だ。」
アモン 「は?」
校長 「まほろばさん。」
まぼろば 「はい。」

まほろばが指を鳴らすと、アモンの術が解け、みんな動けるようになる。

アモン 「術を解いた?!」
まほろば 「神様に頂いた力、こんなところで使わせて頂きました。」
アモン 「なるほどね。最初からこうするための芝居だったってわけか。」
校長 「かなり危ない橋でしたが。」
客間 「覚悟しなさい。結界の中でこれだけの人数相手じゃあなたに勝ち目はないわ。」
アモン 「確かに少し不利だな。だがこれならどうだ。」

アモンが手をかざすと、氷室と火鎚の記憶が元に戻る。

氷室・火鎚 「ううっ!」
火鎚 「あれ?」
氷室 「私…」
アモン 「二人の記憶と結界を元に戻した。」
角田 「ちっ!そんな事ができたか。」

氷室、火鎚、アモンのそばへ。

アモン 「はははは、形勢逆転だな。タウロス!」
タウロス 「おお。」
アモン 「メア!」
メア 「は〜い。」
アモン 「今度こそ好きなだけ暴れていいぞ!」
タウロス 「わかった。」
メア 「それじゃ行くよ!」

突然、タウロスがアモンに一発入れる。

タウロス 「うりゃあ!」
アモン 「ぐっ!…貴様…」
タウロス 「やっと一発返せたぜ。」

更にアモンをを羽交い締めにする。

アモン 「何の真似だ!」
タウロス 「俺たちは捨て駒だろ?」
メア 「しかも作戦に失敗したから、魔界に戻っても始末されちゃうし。」
タウロス 「だったらここで、今までの恨みをはらさせてもらう。」
アモン 「何だと?」写真
まほろば 「もっと部下の気持ちにも気を配っとくべきでしたね、中間管理職なんですから。」
メア 「見たかったんだ!悪夢に苦しむアモン!」
アモン 「お前ら!冗談はよせ!」
メア 「それじゃとびっきりの悪夢の世界へ、行ってらっしゃ〜い!」

メアが手をかざすと風の音。暗転。暗い中。

アモン 「やめろおおおおお!!…」

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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