△ 「ガールズ・イン・ザ・クライシス」シーン27


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明転すると暗い室内。愛とまほろばが立っている。愛、目が覚める。

「…ここは?」写真
まほろば 「学校の講堂です。ここは学校の中でも特に強硬な結界が張られています。恐らくお父上は、最後にあなたをこの場所で守ろうとしているのでしょう。」
「お巡りさん?…違う…前にどこかで…」
まほろば 「はい、霊界で。天国のエージェントまほろばと申します。」
「あれも、夢じゃなかったのね…」
まほろば 「時間がありませんので、あなたの心情は無視して今から全てをお話します。つらい事実ばかりですが、宜しいですか?」
「…はい。」
まほろば 「まずはお父上の事を。お父上は人間ではなく、魔族です。しかもメフィストという大物の悪魔。」
「…メフィスト…」
まほろば 「その昔、魔界の使者として、ペリルの様にこの世界に穴を開けて侵入、その時立ち向かった能力者があなたのお母上だった。」
「お母さん?」
まほろば 「もうわかりますね?ご両親は恋に落ち、姿を隠して暮らした。あ〜もう、こっぱずかしいくらいガッチガチにB級SFな話です。」
「私は…人間と魔族の間にできた子…」
まほろば 「ではあなたの話を。実はあなたは、お母上のお腹の中で、今と同じ様に、ペリルと一つの魂だったのです。」
「え?」
まほろば 「言わば双子の魂。しかし魔族の色が濃いペリルの魂は、あなたの魂から離れ、魔界へ行ってしまった。」
「そこで人間の様な姿で生まれ、迫害を受けた…」
まほろば 「その後魔界から抜け出し、自分の居場所、つまり、あなたの魂を探し続けた。」
「それじゃ、ペリルは私の体に逃げ込んで来たわけじゃなく…」
まほろば 「はい。帰って来たのです。」
「…やっぱり…ペリルは…私の一部だったんですね…」
まほろば 「本題はこれからです。ペリルは魔界に生まれてすぐ消されてもおかしくない存在だった。なのに、ずっと生かされていたのは、彼女の持つ力のせい。」
「次元に穴を開ける力。」
まほろば 「サタンはそれを利用して霊界や下界を侵略しようと考えた。しかしそれどころではなくなってしまった。」
「え?」
まほろば 「あなたが持っている力は、そんな生易しい力じゃなかったんです。」
「私の力って…」
まほろば 「あなたの力は…次元そのものを…消してしまうんです。」
「次元を…消す?…」
まほろば 「はい。つまりこの世界、この宇宙ごと消し去る力。」
「宇宙ごと…」
まほろば 「その力がどんなきっかけで発動するかわからない。だから神様もサタンも怖くて自分達の世界にあなたを置いておけない。更にサタンは、あなたがこっちの世界にいる限り、どんなに穴を開けても侵略ができない。侵略したとたん、この世界ごと魔族を消されてしまうかもしれないので。」
「…私…私どうしたら…」
まほろば 「大変申し上げにくいのですが、霊界の考える最善の方法としましては…愛さんとペリルを再び分離させ、ペリルには魔界に行って発動して頂きたい。そうすれば魔界は消え去ります。」
「ペリルが離れたら私は…」写真
まほろば 「恐らく再び霊界に。」
「死ぬんですね…」
まほろば 「はい。でもよく考えて下さい。本来なら、あなたはあの時死んでいたんです。ここはみんなを、いや、この宇宙を救うためにそうしてもらえないでしょうか?」
「宇宙を…救うために…」
まほろば 「それがだめならば、私はあなたを消さなければならない。その時あなたが発動し、この宇宙が消える事になっても。」
「この宇宙が消えても、霊界は残る…」
まほろば 「そこは魔界の奴らも同じ考えです。先程の2体の魔物は偵察用の捨て駒。しかし次に来るアモンと言う魔物は、確実にあなたを発動させに来るでしょう。その時あなたが今と同じ状態だったら…恐らく私は…あなたを守りません。」
「…」
まほろば 「少しだけ考える時間を差し上げます。私はちょっと出かけて来ますので。失礼。」

まほろば、去りぎわに

まほろば 「これじゃまるで、私が地獄の鬼みたいですね…」

まほろばが去り

「…宇宙を…救うために…」

照明変わり、舞台上部に明り。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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