「ガールズ・イン・ザ・クライシス」シーン１

トップページ > ページシアター > ガールズ・イン・ザ・クライシス > シーン１　【公演データ】

字幕「一年後　２０２７年１０月　私立南浅草女子高等学校」
学校のチャイムが鳴り、ゆっくり明転。同時に服部麻美(ミー)が足早に現れ、辺りを見回す。

ミー「あれ？あたしが先だったか。」

校長の石倉が現れる。

校長「お、服部くん。」
ミー「あ、校長先生こんにちは。」
校長「生徒会の会議は終わりましたか？」
ミー「はい、先程。」
校長「生徒会長は…」
ミー「ああ、愛ちゃんなら調べ物があるとかで、まだ生徒会室です。」
校長「そうですか。」

校長、去ろうとした時、反対側から平泉麻衣(マイ)が足早に現れる。

マイ「ごめん、ミー！あ、校長先生こんにちは！」
校長「平泉くん。部活、頑張ってますね。」
マイ「はい。ありがとうございます。」
校長「交流試合の件は申し訳なかったね…」
マイ「いえ、あれは私のせいなんで…」
校長「めげずに稽古に励んで下さいね。」
マイ「はい！ありがとうございます！」

校長、ハケる。

マイ「部活が長引いちゃって。待った？」
ミー「全然。こっちも会議長引いちゃって今来た。」
マイ「悪いねいつも相談のってもらっちゃって。」
ミー「慣れた慣れた。」
マイ「ははは。」

二人が移動しかけた瞬間、ミーがスッと手を上げる。同時に照明が変わり、マイはストップモーション。ミー、客席に向けて話し出す。

ミー「初めまして。私は服部麻美、みんなから「ミー」って呼ばれてます。私立南浅草女子高等学校の２年生。部活には入っていないけど、生徒会の副会長をやっています。」

ミー、マイの横に移動しながら

ミー「この子は平泉麻衣。小中高とずっと一緒の幼馴染。運動神経抜群で今は剣道部の部長。この子の相談って言うのは…９９％恋愛関係。イケメンに弱くって。…なんて話していると普通の女子高生の話っぽいですが、実は私達、全然普通じゃないんです。」

ミーが人差し指をスッと上げると、マイの手が上がり、その手のひらにミーがハイタッチ。マイが動きだし、ミーを見てうなずく。

マイ「実はこの学校、教師も生徒もみんな超能力者。でも、超能力を磨く学校じゃなくて、実はその逆。私達がいかに超能力を使わずに社会で生きるかを学ぶ場所。そんな学校がこんな都会の真ん中にあったらすぐにバレそうだけど、なんでも先程の校長の能力で「結界」というバリアーみたいな物が張られて守られているんだとか。もちろんこの国のトップシークレット。」
ミー「ちなみに男子の能力者達はみんな海外の学校。いいなぁ～。」
マイ「そんな特殊な人間の私達でも、ここ一年半の間に起こった目まぐるしい出来後にまだ脳みそが半分ついて行ってない感じなのです。」
ミー「まずは一年半前、中学からの親友「愛ちゃん」が授業中に脳梗塞で倒れて入院。そのまま植物状態に。」
マイ「凄くショックだったけど、なんと半年後に奇跡的に意識が回復。その後一ヶ月で退院したんです。あ、ちなみに愛は、さっきの校長先生の一人娘なんです。」

照明少し変わり、退院したて頃の愛が出て来る。

ミー「愛ちゃん！」
マイ「愛～！」
愛「ミ～！マイ～！」

マイが愛を抱きしめる。

マイ「心配したぞ愛～！」
愛「う～くるし～」
マイ「おおごめん！」

マイ、愛を放す。

ミー「ホントにもう大丈夫なの？」
愛「多分。どこも異常ないって。」
マイ「でも、かなり危なかったんでしょ？」
愛「うん、一度心停止したって。」
ミー・マイ「うそ？！」
マイ「心臓止まったの？」
愛「でも、なんかまた動き出したんだって。」
マイ「やっぱ凄いわあんた。」
ミー「それってやっはり愛ちゃんの能力と関係あるの？」
愛「治癒能力？」
ミー「うん。」
愛「わからない。意識なかったから使えたかどうか…」
マイ「それ、無意識で使ったんだよ！まじ不死身だわあんた！」
ミー「ねえ、快気祝いにほしいものある？」
愛「え？いいよそんなの。」
マイ「遠慮すんな！」
愛「え～…あ、そうだ、お願いしたい事ならある！」
マイ「お！なになに？！何でも来い！」
愛「半年分の勉強、教えてくれない？」
ミー「お易い御用！」
マイ「ミー！」
ミー「なに？」
マイ「それ、私もお願い…」
ミー「…え？…」

マイ、ミーに手を合わせて拝む。

ミー「（ため息）平泉麻衣！」
マイ「はい！」
ミー「将来の夢は！」
マイ「警察官であります！」
ミー「警察官には！…正義感だけじゃなれないのよ～。」
マイ「はい～…」
愛「相変わらずだわ…」

（作：松本じんや／写真：はらでぃ）

＜前｜一覧｜次＞

表紙更新話題紹介戯曲日誌公演実験稽古人物関連連絡目次

トップページ > ページシアター > ガールズ・イン・ザ・クライシス > シーン１　【公演データ】