△ 「悩める王子の惑星」シーン25


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上手の灯りが点くと、ランセントとジャスミンが出てくる。

ランセント 「パイロットなら誰の機にも入れるよ。でも細工とかは難しいかな?」写真
ジャスミン 「なぜ?」
ランセント 「格納庫はコルセアさんがいる時以外は入れないんだ。」
ジャスミン 「なるほど。」
ランセント 「真実はいつも一つ!」
ジャスミン 「え?」
ランセント 「地球の昔の名探偵の台詞。必ず犯人を見つけて下さい!」
ジャスミン 「ええ。」

上手の灯りが消え、下手の灯りが点くと、アーモンドとシャーロットがいる。

シャーロット 「ドリンクは共同冷蔵庫に置いてる。」
アーモンド 「共同冷蔵庫?」
シャーロット 「飛行隊の準備室にあるわ。」
アーモンド 「冷蔵庫に鍵は?」
シャーロット 「無いけど。」
アーモンド 「あの…シャーロットさんは…」
シャーロット 「疑われてるんでしょ。ヴィンセントを殺したって。」
アーモンド 「ヴィンセントさんともめてたって。」
シャーロット 「ええ。」
アーモンド 「どうして?」
シャーロット 「やめろって言われたの。スカイガーディアンズを。彼の優しさからだったけど、私は一緒に戦いたかった。」
アーモンド 「どちらもお互いを想っていたんですね。」
シャーロット 「本当は犯人をこの手で殺してやりたい。」
アーモンド 「シャーロットさん。」
シャーロット 「わかってる。それはヴィンセントも望んでいない。あなたたちに任せるわ。必ず捕まえて。」
アーモンド 「はい!」

下手の灯りが消え、上手の灯りが点くとジャスミンとコルセアとベルがいる。

コルセア 「エッグの中はパイロットが一緒じゃなきゃ入れねーからな。」
ベル 「私も父ちゃんも、エッグに細工なんか出来ないよ。」写真
コルセア 「いつでも聞きに来な。何でも教えてやるぜ。じゃ。」

コルセア、去る。

ジャスミン 「いいお父さんね。」
ベル 「ああ見えて心配性だし、しょっちゅう落ち込んでるんです。」
ジャスミン 「へえ。」
ベル 「ヴィンセント王子の事故も、自分の整備ミスだとずっと気にしてて…」
ジャスミン 「なるほど…」

上手の灯りが消え、下手の灯りが点くとアーモンドとチヌークがいる

チヌーク 「犯人は本当に仲間の誰かなんでしょうか?」
アーモンド 「まだわかりません。」
チヌーク 「しかし、腰に付けた拳銃が暴発するなんて普通あり得ないですよね。」
アーモンド 「二番目に無くなったフォッカーさんですね?皆さんの拳銃の管理は?」
チヌーク 「全て個人管理。手入れも個人。人には触らせません。」
アーモンド 「なるほど。」

下手の灯りが消え、上手の灯りが点くとジャスミンとグラマンがいる。ジャスミン、電話をしている。

ジャスミン 「ありがとうシュミットさん。助かったわ。」

受話器をグラマンに渡し

ジャスミン 「至急ファルコさんに連絡とって。」
グラマン 「ファルコに?」
ジャスミン 「確認したい事があるの。」
グラマン 「わかった。」

上手の灯りが消え、下手の灯りが点くとアーモンドとニルスがいる。

ニルス 「確かにお互いの機によく入ったりしてましたね。時々銃の手入れも一緒にしてましたよ。」写真
アーモンド 「カーティスさんは?」
ニルス 「あの人だけは絶対自分のエッグに人を入れません。整備も一人でします。」
アーモンド 「なるほど。あの、事件とは関係ないですが、もう一ついいですか?」
ニルス 「はい?」
アーモンド 「ニルスさんって男の子ですか?女の子。ですか?」
ニルス 「…わ、それ聞きますか?」
アーモンド 「個人的興味ですが。」
ニルス 「はあ…実はまだ決めてません。」
アーモンド 「え?どういうこと?」
ニルス 「まだどっちでも無いんです。どっちがいいんでしょうね?」
アーモンド 「え?…分かりません。」
ニルス 「そうですか…」
アーモンド 「言ってる意味が。」
ニルス 「…なるほど。」

下手の灯りが消え、上手の灯りが点くとジャスミンとグラマンがいる。

グラマン 「おいおい、それだけは無理な話だ。」
ジャスミン 「無理は承知。」
グラマン 「一応、頼んではみるが…」
ジャスミン 「お願いします。」

上手の灯りが消え、下手の灯りが点くとアーモンドとカーティスがいる。

アーモンド 「不審な行動を…」
カーティス 「知らねーよ!」
アーモンド 「なるほど。」

下手の灯りが消え、上手の灯りが点くとジャスミンとグラマンとダグラスがいる。

ダグラス 「それは許可出来かねます。」
ジャスミン 「しかし、城内でお話を聞いていないのは国王と執事のレーセンさんだけです。」
ダグラス 「大体あのお二人を容疑者にするなど馬鹿げている。」写真
ジャスミン 「私の経験上、馬鹿げている人物が犯人だったケースが少なくありません。」
ダグラス 「今の言葉だけで国王侮辱罪だぞ。」
ジャスミン 「失礼。これが仕事なもので。」
ダグラス 「私の事は?」
ジャスミン 「もちろん聞いてるわ。外務大臣と前の副大臣が和平交渉中に暗殺され、若くして副大臣になった。国を守るために奔走し、悩める王子の相談役にも。ご苦労も多い事でしょう。」
ダグラス 「君の仕事は殺人犯を挙げること。それ以上の事に首を突っ込むと、ロクなことにはなりませんよ。」
ジャスミン 「ご忠告ありがとうございます。」
ダグラス 「悪いが失礼する。」

ダグラス、ハケる。

ジャスミン 「これで一応終わったわ。」
グラマン 「クレセント王子は?」
ジャスミン 「彼には必要ない。チェックメイトよ。」

ジャスミン、グラマン、ハケる。暗転、爆音が響く。

(作:松本じんや/写真:関口空子・はらでぃ)

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