△ 「悩める王子の惑星」シーン1


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明転すると手前にタクシー運転手。後ろに女性客「ジャスミン」。

ジャスミン 「後どれくらい?」
運転手 「えーっと、火星ジャンクションで一万二千キロ渋滞らしいっすからー地球までは2時間半ってとこっすね。」写真
ジャスミン 「時間あるわね。せっかくだからちょっとお話でもしません?」
運転手 「喜んで。」
ジャスミン 「私の職業当てられます?」
運転手 「職業?えー何だろ?」
ジャスミン 「制限時間20秒。」
運転手 「短いな。ヒントは?」
ジャスミン 「カッコいい。」
運転手 「カッコいい?」

ジャスミン、腕時計を見る。

ジャスミン 「ヨーイスタート、20、19…」
運転手 「え?え?カッコいい…女優さん?」
ジャスミン 「ブーッ。」
運転手 「モデルさん?」
ジャスミン 「良く言われるけどブーッ。」
運転手 「第2ヒント!」
ジャスミン 「危険を伴う。」
運転手 「危険?えっと、スパイさん?」
ジャスミン 「お、近づいた。」
運転手 「近づいた?スパイ…スパ…スパ…スパイス!」
ジャスミン 「スパ関係ない。」
運転手 「スパム!」
ジャスミン 「スパ関係ない。」
運転手 「スパゲティー!」
ジャスミン 「スパ関係ない!!!」
運転手 「え?何だ?何だ?」
ジャスミン 「3、2、1…」
運転手 「わーっ!」
ジャスミン 「タイムアップ。」
運転手 「あ、あぁー…残念…でもカッコ良くて危険な職業なんていっぱいあり過ぎっすよ。」
ジャスミン 「途中から食べ物になってたけど。」
運転手 「降参です。答えは?」
ジャスミン 「…探偵。」
運転手 「え?探偵さん?!あ、もしかして事件解決した帰りっすか?」
ジャスミン 「まだ仕事中。」
運転手 「仕事中?え?じゃ、もしかして「前の白い宇宙船、気付かれない様に追ってくれ」ってやつっすか?うわ、そういうのやってみたかったっす!」
ジャスミン 「違うわ。」
運転手 「え?なんだ残念…あ、そうか、流石に仕事の内容は話せないっすよね?守秘義務ってやつっすか? いやこりゃ失礼しました。」
ジャスミン 「ある大きな組織の依頼で人を追っていてね。」
運転手 「話すんだ。」
ジャスミン 「その人ってのが、ある星をめぐる戦争の裏工作をしているらしいの。」
運転手 「戦争?スケールでかっ!」
ジャスミン 「色々手間がかかったけど、やっとシッポつかんでね。」
運転手 「お、凄い。どんな奴なんすか?」
ジャスミン 「知りたい?」
運転手 「知りたいっす!」
ジャスミン 「どうしても?」
運転手 「どうしても!」
ジャスミン 「そいつは今…」
運転手 「そいつは今?!」

ジャスミン、銃を運転手に向ける。

ジャスミン 「私の目の前にいる。」
運転手 「…い…いやだなあお客さん、冗談キツいっすよ…」
ジャスミン 「残念だけどもう逃げられないわよ。ミスターP」
運転手 「ちょっと…お客さん?何の話っすか?も、やめて下さいよはははは…」

ジャスミンの腕時計から声

ミント 「ジャスミンしゃん、声紋も一〇〇パー一致したよ!こいつはミスターPだ!」
ジャスミン 「サンキュー、ミント。…ですって。」
運転手 「…お客さん。仮に私がお客さんの追っている人物だとして、私がハンドルを握っているって事お忘れですか? お客さんを道ずれにだってできちゃいますが。」
ジャスミン 「ご心配には及ばないわ。アーモンド、いいわよ。」

アーモンドの声

アーモンド 「りょーかーい!!」

タクシー、大きな音と共に揺れる。

運転手 「うわあ!なんだ?!」

アーモンド、別の宇宙船で現れる。

アーモンド 「レッカー車でーす!」
運転手 「なにい?!」
ジャスミン 「悪いわね、タクシーごと確保させてもらったわ。」
運転手 「フッ、甘いな。この車、ただのタクシーだと思ったか?」
ジャスミン 「は?」

運転手、ボタンを押す。

ミント 「ミサイルだ!」
ジャスミン 「アーモンド除けて!!」

レッカー車にミサイルが被弾。

アーモンド 「うわあ!」

アーモンド消える。

ジャスミン 「アーモンド!!」
運転手 「はははは!それじゃお別れです。永遠に。ダスヴィダーニャ!」

運転手消える。

ジャスミン 「くそお!」
ミント 「脱出装置が付いてたとは!」

ジャスミン、操縦桿を握るが動かない。

ジャスミン 「ロックされてる!」
ミント 「危ない!下がって!」
ジャスミン 「え?」

ジャスミン真横から大きな音と共にアーモンドが現れる。

ジャスミン 「アーモンド!」
アーモンド 「間一髪でした!状況は?」
ジャスミン 「操縦桿がロックされてるわ。」
アーモンド 「メチャクチャなプログラミングされてる。あ、自爆プログラム。10秒後に爆発です。」
ジャスミン 「なんですって?!解除できる?!」
アーモンド 「解除しました。」
ジャスミン 「速っ!」写真
アーモンド 「おちゃのこー。あ、次は操縦プログラム。こりゃ難儀やな。」
ジャスミン 「まずい、このままじゃドライブウエイ飛び出すわ。」
アーモンド 「飛び出したらどこに出ちゃうかわからないですね。」
ミント 「銀河の果てかも。」
ジャスミン 「冗談じゃない。」
アーモンド 「何とか手動に戻せば…」
アーモンド 「吸い寄せられてる様な…」
ミント 「まずいよ!コース外れる!」
ジャスミン 「操縦桿は?」
アーモンド 「もうちょっと!」
ミント 「ダメだ!間に合わない!」
ジャスミン 「つかまって!」

光と轟音。2人の悲鳴。暗転し、オープニング映像が入る。字幕
『不等辺さんかく劇団2014年夏公演』
『悩める王子の惑星』

(作:松本じんや/写真:関口空子)

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