△ 「悩める王子の惑星」プロローグ1


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暗転中 軽快なオールディーズが流れる中、プロペラ機の音が近づく。
字幕 「1961年 アメリカ カリフォルニア州 サンディエゴ上空」
映像(CG)。青空。複葉機が1機、下から垂直に上がって来て失速し、垂直に降下して行く(テールスライド)。
パイロットは曲技飛行士のウォルド・H・マンテル。映像には複葉機が映っている。ウォルドの声。

ウォルド 「ヒャッホーーッ!!!」写真

映像が消え照明がつくと、中央に愛機を操縦するウォルドが登場。地上にいるナビゲーターのニックとの通信

ニック 「今のテールスライド、見事だなウォルド。」
ウォルド 「ああ、絶好調だぜニック!」
ニック 「そろそろ降りてこないか?ランチタイムだ。」
ウォルド 「いや、もう少し練習させてくれ。今日は上のコンディションがすこぶるいい!」
ニック 「そうか。じゃ、しょうがないな。奥さんの手作りランチはオレが頂く。」
ウォルド 「え?ドリンダが来てるのか?!」
ドリンダ 「ピートもよ。」
ピート 「パパ、空の上はどう?」
ウォルド 「ピート!最高さ!」
ピート 「いいなぁ。僕も行きたいよ。」
ウォルド 「今度のせてやるよ。良い子にしてればな。」
ピート 「ホント?!」
ウォルド 「ああ、男の約束だ。」
ピート 「やった!ママ!パパが飛行機乗せてくれるって!」
ドリンダ 「良い子にしてればよ。」
ウォルド 「…あれ?なんだ?…」
ニック 「どうしたウォルド?」
ウォルド 「正面から何か来る…」
ニック 「空軍機か?」
ウォルド 「分からないが、強いライトをつけている!もの凄いスピードだ!」
ニック 「とにかく戻れ、ウォルド。」
ウォルド 「ああ。…あれ?おかしいぞ…」
ニック 「どうした?」
ウォルド 「ちきしょうどうなってんだ?!」
ドリンダ 「ウォルド?」
ウォルド 「操縦桿が動かない!」
ニック 「なんだって?!」
ウォルド 「なんてこった、光が真っすぐ近づいて来る!」
ニック 「脱出しろ!」
ドリンダ 「ウォルド!」
ウォルド 「だめだ!ぶつかる!うわああああ!!!」写真

照明、目つぶしがひかり、ウォルドが消える。通信は雑音に変わる。

ニック 「ウォルド!」
ドリンダ 「ウォルド!!」
ピート 「パパ!!」
ニック 「返事をしろ!ウォルド!…」

暗転。ナレーションと字幕 「1961年7月20日。アメリカ カリフォルニア州 サンディエゴで、アクロバット飛行チームのパイロット「ウォルド・H・マンテル」が、飛行練習中に消息を絶った。機体の故障による事故と思われたが、懸命の捜索にも関わらずウォルドも飛行機の残骸も発見される事はなかった。」

(作:松本じんや/写真:関口空子)

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