△ 「心海のサブマリナー」シーン14・5


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倉内が力なく歩いて来て腰掛ける。ため息。手を見る。回想。銃の音が鳴り響く。

光彦 「…なんで…オレが…」
倉内 「しっかりして下さい!今救急車が来ますから!」
光彦 「…こんな…こんなのって…」
倉内 「おい!しっかりして!しっかり…」写真

倉内、見つめる両手が振るえ、ギュッと握る。そこに書類を抱えた川口が出て来る。

川口 「倉内。」
倉内 「川口さん。」
川口 「大丈夫か?」
倉内 「あ、はい。」

川口、倉内の隣に座る。

倉内 「すみません。僕、まだ何も…」
川口 「必死に駆け回ってくれてるのは知ってるよ。それより、手、震えんのか?」
倉内 「え?…はい…」
川口 「自分の手の中で人が死ぬなんて、初めてだったんだろ?」
倉内 「はい…。」
川口 「毎晩の様に夢にまで出て来る。」
倉内 「はい…。え?何でそれを…」
川口 「おれも新人の頃。似た様な経験してるんだ。」
倉内 「そうだったんですか…」
川口 「倉内、正直お前は出来の良い警察官じゃない。」
倉内 「はい…」
川口 「だが、人一倍正義感が強い。古くさいがそれは大事な事だ。」
倉内 「はい…。」
川口 「ただし、自分の正義感に、潰されない様にな。」
倉内 「…はい…。」

竹内が入って来る。

竹内 「DNA鑑定の結果が出ました。」
川口 「結果は?」
竹内 「99、7パーセントの確率で小澤のものです。」
川口 「やはりそうか。」

後ろの影にに浜崎が隠れている。竹内が気配に気付くが直ぐに浜崎は消える。

竹内 「私は少し寄り道を。」
川口 「え?」
竹内 「少々気になる事がありまして。」
川口 「そうか。気を付けてな。」
倉内 「先に捜査に戻ります。」
竹内 「ばか、あんたは午後から休みだろ。」
倉内 「こんな時に休んでなんか…」
竹内 「こんな時だから休むんだよ!」
倉内 「でも…」
竹内 「トイレ行って鏡見な。どう見ても休みが必要な男が、目の前に立ってるから。」

竹内、浜崎の消えた方にハケる。川口、倉内の方をポンとたたき去る。倉内、ため息をついて去る。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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