トップページ > ページシアター > あげぞこ先生 > シーン27 【公演データ】
サスに次々人が入る。
福来 「牧場作戦は大成功。たった1時間40分だったけど、生徒も職員も得たものは大きかった。」
直也 「その後の時間は夜までたっぷりランドを満喫。」
瀬名 「翌日には全員無事に島に戻った。」
畑 「戻った夜は作戦成功の祝杯!」
内田 「場所はもちろん。」
高見沢 「非常識!」
照明が変わり、居酒屋非常識の店内。校長、副校長以外の職員と高見沢、浜崎がいる。みんな盛り上がっている。
宇崎 「良かったです。服部先生少し明るくなったみたいで。でもまだウソには厳しいですね。」
服部 「家庭訪問に行ったら、そこんちの爺さんと仲良くなってさ。またその爺さんがディズニーシー好きでね。何度かシーには連れてかれたんだけど、実はランドは今回が初めてでね。」
瀬名 「話もどこまでホラだかわかんなくなって来たね。」
宇崎 「まだまだ引っぱりますよ!」
瀬名 「ぴょんこちゃんも熱いねぇ。」
福来 「校長も副校長も遅いですね。」
畑 「さっき二人で病院に寄って来るって言ってたわよ。」
服部、立ち上がる。
服部 「え〜、皆さん。今回の修学旅行、麻美のために素敵な計画を立てて頂き、本当にありがとうございました。あんなに短い時間だったのに、麻美は見違える様に生き生きした子に変わりました。他の子たちもみんなキラキラと目を輝かせて…いや、きっとあの子たちの目はずっと輝いていたんです。なのに私はその目を見られなくなっていた。彼らに自分の濁った目を見られたくなかったからです。教師としても、親としても失格でした。でも今回、みなさんのお陰でいい目薬をさして頂けました。もう今更って歳ではありますが、頑張って行きますので宜しくお願い致します。」
上底 「よっ!鳥取ちゃん!」
みんな笑いながら拍手。
服部 「それと…」
服部、宇崎の前に立ち
服部 「君が最初に、みんなに声をかけてくれたんだね。ありがとな、ぴょん子。」
宇崎 「先生…」
上底 「よっ!ぴょん吉!」
みんな拍手。宇崎涙ぐむ。
高見沢 「みなさーん!一ノ蔵入りましたよ!」
畑 「おお!やった!」
みんな殺到する。上空をヘリが通過する音。
浜崎 「あれ?何だろこんな時間に?」
ヘリ、何機か通過する。花村が走って入って来る。
花村 「みなさん大変です!」
上底 「お、どうした花村ちゃん?」
花村 「今のヘリ、特殊部隊のヘリで…」
浜崎 「特殊部隊?」
花村 「この店に…」
御厨、銃をかまえて出て来る。
御厨 「動くな!全員手を頭の上に置け!」
浜崎 「御厨さん…」
御厨 「お前もだ浜崎。」
浜崎 「は?」
御厨 「早くしろ!」
浜崎、渋々手を頭の上に置く
御厨 「この店は特殊部隊が包囲した。妙なマネすれば射殺する。」
浜崎 「射殺?!」
瀬名 「いったいこれはどう言う…」
御厨 「校長副校長は?」
瀬名 「いらっしゃってません。」
御厨、通信をする。
御厨 「ここにはいない。すぐに探せ。」
福来 「そんなのICチップで探せば…」
御厨 「反応が消えたんだ。二人ともな。」
直也 「消えた?」
御厨、服部の前に行く。
御厨 「服部浩一。黒岩徹を知ってるな?」
服部 「え?ええ。」
畑 「黒岩徹って、あの防衛大臣の黒岩徹?」
御厨 「昨日殺害された。」
みんなどよめく。
服部 「殺害?」
御厨 「昨日の午前中。お前らが不審な行動を取った事はわかっている。ちょうど殺人が起きたのと同じ時間だ。」
浜崎 「いや、しかしそれは…」
御厨 「あなた、黒岩を相当恨んでますよね?黒岩の息子に暴行した容疑で学校を首になり、暴力教師の汚名を着せられた。」
服部 「だからと言って殺すなんて…」
御厨 「目撃者がいるんですよ。黒岩の秘書が、犯行現場の自宅前であなたを見た。そして一瞬で目の前から消えたと。」
花村 「しかし服部さんは、その時うちの牧場に…」
御厨 「服部さん、あんたを重要参考人として連行する。」
御厨、服部を連れて行こうとする。
瀬名 「ちょっと待ちなさいよ!」
御厨 「あんた達にも共謀の疑いがある。生徒やこの島の住人全員と一緒に、しばらく体育館に監禁させてもらう。」
浜崎 「御厨さん、これはおかしいです!」
御厨 「浜崎!花村!お前達は謹慎だ。署内から一歩も出るな。」
宇崎 「先生!」
服部 「…大丈夫だ。」
御厨、服部を連れ去る。見せ暗転。全員ハケる
(作:松本仁也/写真:はらでぃ)