△ 「あげぞこ先生」シーン21


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ここからは、短いカット割りで時間が経過、全員所定の場所に。

宇崎 「こうして、服部先生を元の熱い先生に戻すべく、みんなが動き出しました。」写真
上底 「まずは服部ちゃんのハートを暖めなくちゃね。」
福来 「どうしたら喜ぶだろう?」
直也 「会いたい人に会わせてあげるとか?」
「それいってみる?」

宇崎が服部の元へ

服部 「会いたい人?」
宇崎 「例えば、昔の教え子さん達とか。」
服部 「あ〜。みんなに会いたいな。」
宇崎 「じゃあ…」
服部 「いや、やっぱり会いたくないな。」
宇崎 「え?」
服部 「暴力事件、妻殺し疑惑。あれ以降、私はみんなから、そういう人間に見られてる。」
宇崎 「そんなことありませんよ!きっとみんな先生の事…」
服部 「たとえそれが事実じゃなくても、世の中一旦信用を失えば…終わりだよ。」
宇崎 「私は違います。私は今でも先生の事を尊敬して…」
服部 「君は例外だよ。他の教え子達は、僕に教わった事を汚点にしているんだ。」

宇崎、戻る。

上底 「だめかぁ。」
宇崎 「はい…」
瀬名 「他に喜ぶ事ねぇ…」
校長 「娘さんを喜ばせると言うのはどうでしょう?」
「麻美ちゃんを?」
上底 「そうか、娘の幸せは親の幸せって事か!」
福来兄弟 「なるほど。」
「それいってみる?」

宇崎、ふたたび服部の元へ。

服部 「麻美の夢?」
宇崎 「はい。行きたい所とか、やりたい事とか。」
服部 「昔から自転車に乗りたいって言っている。」
宇崎 「自転車?」
服部 「まぁ、あいつの体じゃ一生無理だけどな。」

宇崎、戻る。

瀬名 「自転車は無理ね…」
「そりゃ、麻美ちゃんの足を治せば服部先生は喜ぶだろうけど…」
副校長 「先天性の障害は我々には治せないですからね。」
高見沢 「そう言えば、今度の修学旅行、ディズニーランドですよね?」
校長 「はい。」
高見沢 「こないだ服部先生と病院でお会いした時、麻美ちゃんはディズニーランドより行きたい場所があるって…」

宇崎、また服部の元へ。

服部 「ああ、確かに。前に、約束してたのに行けなかった場所があってね。」
宇崎 「どこですか?」
服部 「牧場だよ。」
宇崎 「牧場?」
服部 「ああ、そこで牛の乳搾りをして、搾りたてのミルクでソフトクリームを作って食べる。」
宇崎 「へえ!いいですね!」

宇崎、戻る。服部ハケる。照明が全体に。

上底 「それだぴょん子ちゃん!牧場!牧場!」
浜崎 「車椅子の少女と乳搾り。なんだかハイジの匂いがしますね。」
福来 「乳搾りか…」

女性達、福来を見る。

福来 「…だからどうしてそういう目で見るかな?!」
上底 「でもどうすりゃいいんだ?この島には牧場も牛もいないっすよね。」
花村 「島じゃないですが、うちの家族、牧場やってますよ!」写真
瀬名 「え?どこで?」
花村 「宮城です。」
「宮城県かぁ〜。」
瀬名 「遠いなぁ。」
花村 「でも乳搾りもソフトクリーム作りもやってますよ。」
上底 「宮城までテレポーテーションで送れないんすか?」
「送れなくはないけど、ウッっちゃんどう?」
内田 「大丈夫。」
上底 「そう言えば、なんでお二人同時に能力使うの?」
「私は生き物しか瞬間移動させられないの。」
内田 「私は逆に生き物は扱えないんです。」
上底 「じゃ一人ずつだと…」
内田 「私だけ使ったら身につけているものだけ送っちゃう。」
「私だけ使ったらすっぽんぽんで送っちゃう。」
上底 「わ〜お〜」
副校長 「根本的にこの島に勝手に出入りしたらすぐバレますしね。」
「あ〜っ、それがあったよ…」
上底 「え?なんで?」
福来 「この島に入るとみんな体にICチップ埋められるでしょ。」
直也 「それが減ったらすぐ島中にアラームがなるんです。」
上底 「じゃ、ICチップを誰かの体にテレポートさせれば…」
瀬名 「一人の体に二つチップが入ってもアラームがなるの。」
上底 「え〜っ。じゃ、牧場だめかぁ…」
校長 「方法が無い事もありませんよ。」
上底 「え?」
校長 「修学旅行を利用するんです。」
宇崎 「ディズニーランドでですか?」
瀬名 「でもあそこでは我々1人に30人の監視がつくんですよ。」
上底 「え?!」
直也 「おまけに一般人やスタッフに変装した特殊部隊やスナイパーまでうようよいるし。」
上底 「やな修学旅行だなぁ。」
校長 「勝算はあります。」
宇崎 「教えて下さい!」

照明が変わる。浜崎と花村はハケる。

福来 「校長先生のアイディアは我々の能力をフルに活用したものでした。手順はこう。まず、ディズニーランドから牧場に瞬間移動してもらうのは、服部親子と上底先生と宇崎先生。」
直也 「この四人のICチップを、内田先生が一般人の家族に移し、その家族をダミーに仕立てる。そして畑先生と内田先生が牧場組を宮城県へ送る。」
瀬名 「そこで保護者として参加している高見沢さんの出番。彼女の能力は視覚操作。ダミーの家族を牧場に行った四人の姿に変える。」
内田 「このダミーを直也君が催眠術で操る。」
「千里眼の直人が監視カメラ役になり。」
宇崎 「何かあれば、瀬名先生が電磁波で警察を錯乱。え?電磁波も操れるんですか?」
瀬名 「まだまだ能力持ってるよ。」
上底 「ユリっぺ最強説。」
福来 「タイムリミットは2時間。」
直也 「その間、校長先生は全体を監視し」
上底 「副校長先生は我々との連絡係。う〜ん完璧!後はいよいよこの作戦を、服部ちゃんに伝えに行かねば!」

照明変わる。服部、上底、宇崎以外はハケる。

宇崎 「お願いします先生!」
服部 「それじゃ警察を騙す事になる。」
上底 「騙すんじゃなくて黙ってるだけだって。ウソつくわけじゃないでしょ?」
服部 「ウソと同じだ!」

副校長が現れる。

副校長 「違いますよ服部先生。」
服部 「副校長先生。」
副校長 「先生に黙って話を進めてしまった事は申し訳ありませんが、これも教育の一環だと思って頂けませんか?。」
服部 「人を騙す事がですか?」
上底 「だから秘密に行うってだけで、ウソじゃ…」
服部 「ウソと同じだ!!」写真

上底、副校長に泣きつく。

上底 「ママ〜!」
副校長 「あなたを生んだ覚えはありません。」
上底 「はい。」
宇崎 「みんなの願いなんです!」
服部 「みんな?」
宇崎 「先生達だけじゃなく、生徒のみんなも協力してくれるって。」
服部 「え?」
上底 「ぴょん子ちゃんが生徒達に話したら、みんな「麻美ちゃんのためなら協力する!」って言ってくれてさ。」
服部 「いつの間に…」
副校長 「この修学旅行はただの遠足じゃありません。友情や愛情、そして思いやりを学ぶ大事な行事なんです。」
服部 「しかし…」
宇崎 「私達をウソつきと言うなら、麻美ちゃんとの約束を果たしていない先生もウソつきじゃないですか!」

服部、言い返す言葉か無い。

宇崎 「あ…すみません…言い過ぎました…」

服部、諦め顔になり

服部 「…わかりました…。」
宇崎 「え?」
服部 「そこまで言われては、やるしかないですね。」
宇崎 「先生。」
上底 「そうこなくっちゃ!はったりちゃん!」
服部 「服部です。」

照明変わる

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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