△ 「あげぞこ先生」シーン10


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字幕「本校舎 現場の教室」
見せ暗転が明けると、中央に御厨と浜崎が立っている。浜崎は呆然としている。

浜崎 「ここが…現場…いったい…何がどうして…」写真
御厨 「ビビったか?」
浜崎 「……」
御厨 「お?珍しく声もでないってか?フッ…国の考えは、奴らの平和的利用に傾きかけている。」
浜崎 「ジニアス・シンドロームと同じです。」
御厨 「違うね。ジニアス・シンドロームは病気だ。人間の身体的機能の一部が飛躍的に高くなるという天才病だ。彼らの能力は社会に貢献している。しかも一年以内に必ず死んじまう。だから価値があるんだ。」
浜崎 「能力者たちだって…」
御厨 「価値などない。奴らはいずれ人を滅ぼす。」
浜崎 「…5年前の事件ですね。確かにここができたのもあの事件が原因ですが、でもあの真相は…」
御厨 「俺はあの現場にいたんだよ。そして見たんだ。仲間の一人が目の前で…バラバラにはじけたのをな…奴らをコントロールできなければ恐ろしい結果になる。核と一緒だ?」
浜崎 「核?」
御厨 「少しでも使い方を誤れば世界を滅ぼす。この国の人間は、誰よりもその恐ろしさを知っているはずだ。」
浜崎 「それこそ間違いです。」
御厨 「あ?」
浜崎 「あの人達は核や原子力とは全然違う。あの人達は我々と同じ人間です。」
御厨 「この光景を見てもまだそんな甘っちょろい事を言うとは…。そのうちお前も痛い目に遭うぞ。」写真

二人去ると同時に奥から声。鼻メガネをかけた上底と、上底を羽交い締めにする警察官が出て来る。

上底 「はなせって!」
警官 「危ないですから。」
上底 「はなせって!」
警官 「危ないですから。」
上底 「はなせって!わかったから!」

上底、警官の手を振りほどく。

上底 「あれ?また花村ちゃん?!なんで警官のカッコしてんの?」
警官 「え?何で僕の名前知ってるんですか?」
上底 「知ってるも何も、さっき船の上であったじゃん。ほぼおんなじ感じのシチュエーションで。」
警官 「あ、ああ。それなら多分うちの弟です。」
上底 「弟?双子かぁ。」
警官 「いえ、双子じゃないですよ。」
上底 「うっそお?!瓜二つじゃん!」
警官 「それはですね…」

後ろから他の先生達が追いつく。

瀬名 「あ、いた!何やってるんですか?!」
上底 「だから覗きに来たんだよ。」
瀬名 「何ですかその鼻メガネ?」
上底 「変装アイテム。」
「まさか奥の手って…」
上底 「こっそり入ろうとしたんだけどバレちゃった。テヘペロ。」
警官 「超怪しかったです。」
直也 「兄さんわかったよ。こいつバカだ。」
福来 「ああ、バカだ。」
御厨 「何の騒ぎだ。」
警官 「はっ!この男がどうしても現場を見たいと強引に入って来まして。」
御厨 「すぐに出て行け。関係者以外立ち入り禁止だ。」
上底 「担任なんだから関係者でしょ。ちょっと失礼。」

上底、すり抜けて教室へ。

御厨 「おい待て!」

上底、勢い良く教室に入るが、いきなり落ちそうにになる。

上底 「うわあ!!」

みんな慌てて支える。上底、状況に気付き呆然とする。

上底 「(鼻メガネをはずし)…何じゃこりゃ…なんでこんなでっかい穴が?…ってか…教室が…なくなってる…」写真
瀬名 「教室どころか、二階も三階も、屋上まで吹っ飛んでます。」
上底 「学級崩壊って…」
瀬名 「そう、文字通り崩壊したんです。でもどうしてこうなったのか、現場にいた人間は誰一人記憶が無いんです。」
御厨 「思い出して頂きますよ。どんな手を使ってでも。」

御厨と瀬名睨み合う。瀬名が御厨の肩をポンと叩く。

瀬名 「せいぜい頑張って下さい。」

御厨、瀬名の手を払う。

瀬名 「行きましょう。ホームルームの時間です。」

上底はまだ呆然としている。

瀬名 「先生?ビビってます?」
上底 「逆です…(笑顔になり)やる気スイッチ入っちゃいましたよお!!(瀬名にメガネを渡し)ぼおおおおお!!」

上底、走り去る。ハケたと思ったら奥でクラッシュ音。

上底 「のおぉおおおお…!」
「イレ込んでる。ありゃ駄馬だわ。」
瀬名 「服部先生。ちゃんと手綱さばいて下さいね。」

服部、ため息。全員ハケる。チャイムが鳴る。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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