△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン34


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照明が変わる。たんぽぽ、里子、立子、ネム、鬼太朗が出て来る。

たんぽぽ 「ひまわりの言葉は実現するかもしれません。」
里子 「それは死んでからって話し?」
鬼太朗 「そっか。里子はまだ知らないんだよね?処刑されたヴァンパイアがどうなるか?」
里子 「どうなるかって?」
ネム 「処刑されたヴァンパイアは地獄に落ちる。」
里子 「はい。」
ネム 「じゃ、ヴァンパイアにとって地獄って何だと思う?」
里子 「ヴァンパイアにとっての地獄?…う〜ん?…」
鬼太朗 「人間になることだよ。」
里子 「え?」
たんぽぽ 「処刑されたヴァンパイアは、ヴァンパイアの記憶を持ったまま人間にされる。」
里子 「え?それで処刑なんですか?」
たんぽぽ 「パワーも消え、寿命も恐ろしく短い。人間で例えるなら、ブダやにわとりのような家畜にされてしまう感じかしら?しかも人間の記憶を持ったままね。」
鬼太朗 「カーミラもきっと今頃どこかで…」

二元舞台でカーミラ登場。自分の姿を見てパニックを起こす。

カーミラ 「人間…人間…人間、人間、人間、人間!!…きゃああああああああ!!!」

二元舞台消える。

里子 「人間になる事が、地獄…」
たんぽぽ 「耐えられずに自殺する者も多いけど。中には地獄の恩赦をうける者もいる。」
里子 「地獄の恩赦?」
たんぽぽ 「ヴァンパイアであった記憶を、消されて人間にされる。うちの兄の様に。」
里子 「疾風さん?居場所を知ってるの?!」写真
たんぽぽ 「必死に探して見つけた時には、もう亡くなっていました。でも偶然、私より先に見つけた人がいたんです。それが、あなたのお父さん。」
里子 「え?父が?」

二元舞台に人間になった疾風が登場。そこに時止めも登場。

たんぽぽ 「ヴァンパイアの記憶は失っていたけど、時止めさんは人間の親友として兄と、その奥さんとつきあってくれていた。」

二元舞台に赤ん坊を抱えた疾風の妻が登場。

里子 「待って?!もしかしてそのお兄さん達夫婦って?!」
たんぽぽ 「そう。太陽の両親。太陽は私の甥っ子だったんです。」
立子 「ごめんね里子。お父さんとの約束で、あなに黙っていたの。」

二元舞台の三人去る。

里子 「太陽が…そうだったんですか。…あ、じゃ、ひまわりさんも?」
たんぽぽ 「ええ、きっと恩赦をうけて人間としてどこかに。」
里子 「…また、会えるといいですね。」
たんぽぽ 「ええ。…きっと会えます。」

みんなうなずく。ゆっくり暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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