△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン4


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字幕『19時30分 南浅草4丁目15 客間家』
明転。里子が走り込んで来る。

里子 「ただいまぁ!母さん!母さん!」

里子の母親、立子登場。

立子 「お帰り里子。」
里子 「母さん、鬼太朗さん達は?」
立子 「まだみたいね。」
里子 「良かったセーフだ。あ、結界は?」
立子 「ちゃんと外しといたわよ。」

奥から声

ネム 「ごめん下さ〜い。」
里子 「あ、」

里子、立子、目を合わせ

里子・立子 「来た!」

ネム、鬼太朗入って来る。

ネム 「里子〜っ!!。」写真
里子 「ネムさん!鬼太郎さん!」
鬼太朗 「ご無沙汰!」
立子 「お久しぶり。」
ネム 「立子さん!」
立子 「二人とも変わってないわね。」
ネム 「立子さんは若くなりました?」
立子 「あらお上手。」
里子 「ホントに昔のまんまですね。」
ネム 「里子は大人っぽくなったじゃん。」
里子 「そりゃもう8年経ちますから。」
鬼太朗 「8年かぁ。」
ネム 「刑事になったんだって?」
里子 「はい、主に妖怪絡み専門の課ですけど。そうだ、母さん、太陽は?」
立子 「また昼遊び。」
里子 「また?」
立子 「また。」
鬼太朗 「太陽って例の?。」
里子 「ええ、弟です。養子の。」
立子 「私の友人夫婦の子でね。二人とも亡くなったので、引き取ったの。」
ネム 「人間なんですよね?」
立子 「ええ、生粋の。」
鬼太朗 「しかも難病を抱えてるとか。」
里子 「そうなんです。なのに勝手に出歩いてばっかり。分かってんのかなもう。」
ネム 「里子達が妖怪だってことは?」
里子 「それがまだ…」
ネム 「言ってないの?!」
里子 「はい…」
鬼太朗 「マジで?」
里子 「いずれ話さなきゃとは思ってるんだけど…もう一つ厄介な事が。」
ネム 「何?」
立子 「あの子、超常現象オタクなの。」
ネム・鬼太朗 「え?」
里子 「UFOとか妖怪とか大好き少年で…」
ネム 「え?それ都合いいじゃん。」
里子 「いえ、ただでさえ好奇心旺盛だから、妖怪がホントにいるって知ったら間違いなく 「世界中旅する!」とか言い出します…」
鬼太朗 「そうか、彼、難病だもんな…」
ネム 「確かに厄介ね…」

奥から声

太陽 「ただいま!」
里子 「あ、」

里子、立子、目を合わせ

里子・立子 「帰って来た!」
ネム・鬼太朗 「え?」

まだ宇宙服姿の太陽入って来る。鬼太朗達、隠れる間もなく立っている。

里子 「太陽!どこ行ってたの?!」写真
鬼太朗 「宇宙かな?」
太陽 「うん、ちょっと。」
立子 「せめて携帯はつながるようにしといてちょうだい。」
太陽 「ごめんなさい。」
里子 「あんたね、もうちょっと自分の体のこと考えて…」
太陽 「姉ちゃん、そちらの方達は?」
里子 「え?ああ、えっと、仕事のぉ…大先輩でぇ…」
太陽 「初めまして、弟の太陽です。」
ネム・鬼太朗 「初めまして。」
太陽 「いつも姉がお世話になっております。」
ネム・鬼太朗 「いえいえ。」
太陽 「あれ?」
ネム 「え?」
太陽 「刑事さんですよね?」
ネム 「え?…ええ、まあ。」
太陽 「見えないなぁ。」
里子 「これはあれよ、これから潜入捜査があってね…」
太陽 「ああ!変装ですか!」
太陽以外 「そうそう!」
太陽 「え、でも…」
ネム 「はい?」
太陽 「大先輩にしちゃお若いですね。」
ネム 「…そ、そうなの、年下なんだけど超優秀でね。」
太陽 「へえ!凄いですね!」
ネム 「ええ、まあ。」
太陽 「おいくつなんですか」
ネム 「ひゃくにじゅ…?」
太陽 「ひゃく?」
ネム 「…22歳です!」
鬼太朗 「一世紀さばよんだ。」

ネム、鬼太朗に肘鉄。

鬼太朗 「うっ…」
太陽 「凄い!ホントに優秀なんだ!」
里子 「姉ちゃん達これから仕事の打ち合わせあるから、邪魔しに来ないでね。」
太陽 「あ、うん、じゃ、ごゆっくり。」
立子 「お茶入れてれ来るわね。」
里子 「あ、お願い」。

立子、太陽を押すようにしてハケる。ネム、鬼太朗、里子、同時にため息。

里子 「…じゃ、離れにどうぞ。」

里子を先頭に鬼太朗、ネムハケる。少し間をおいて、宇宙服を脱いだ太陽が出て来て辺りをうかがいながら、こっそりとハケる。暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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