△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン1


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字幕『1月22日 18時55分 東京都台東区南浅草』
明転
舞台中央、白衣の男が立っている。

ドック 「献血にご協力下さ〜い。え〜只今A型とO型が不足しておりま〜す。え〜献血にぃ〜…(急に匂いに反応し)くんくん、くんくん…!!」

客間里子と鈴木雅人登場。

鈴木 「まずいですよ客間さん!」
里子 「うちすぐそこだからいいでしょ。」
鈴木 「今、捜査中なんですよ!」
里子 「ほんと固いなあんたは。」
鈴木 「固くて当然でしょ!僕ら警察官ですよ警察官!」
里子 「大事な人達と約束してんのよ。」
鈴木 「大事な人達って…まさか事件の関係者とか?」
里子 「え?…うん…まぁ…」
鈴木 「そうかそれなら…って、だったらなんで僕を連れてかないんですか?!」
里子 「あ〜うるさいうるさい。」
ドック 「献血にご協力下さ〜い。」写真

里子、ドックの所へ鈴木を引っ張って行き

里子 「すみません、この人献血します。」
鈴木 「は?何言ってんですかちょっと!!」
里子 「見ての通り血の気多いんで、たっぷり取ってあげて下さい。」
鈴木 「ちょ、冗談やめて下さいよ!」
里子 「鈴木〜!!」
鈴木 「はい!」
里子 「警察官のモットーは!!」
鈴木 「はい!世のため、人のために…」
ドック 「世のため、人のために献血お願いしま〜す!」
里子 「そう言うことだ。」
鈴木 「は?」
ドック 「はい一名様ごあんな〜い!」

ドック、鈴木を奥へ連れて行く。

鈴木 「ちょっ、まっ!」
里子 「じゃ。」

里子、去る

鈴木 「じゃ、じゃないでしょ!ちょっと!客間さん!」
ドック 「お客さんこゆとこはじめてぇ?」
鈴木 「初体験です…」

ドックと鈴木ハケる。ピキーン、ピキーンという妖怪アンテナの音と共に鬼太朗とネム登場。
鬼太朗、帽子を取って頭頂部を気にしては、また帽子を被り、を繰り返す。

ネム 「何?」
鬼太朗 「いや、この町ほんとに妖気だらけで頭頂部がいちいちピキーンって…」
ネム 「あんたアンテナは?!」
鬼太朗 「だから散髪屋で…」
ネム 「切っちゃったの?!」
鬼太朗 「だって、この界わいってやたら多いから、一々ピキーンってなって、その度帽子がポコーンって…」
ネム 「何それ。」
鬼太朗 「だから毛根がピキーンつってポコーンつって…」
ネム 「どうでもいい。」
鬼太朗 「はい。」
ネム 「とにかく、急がないと大変な事になるわ。」
鬼太朗 「それだけどさ、やっぱり里子まで巻き込むのは気が引けるって言うか…」
ネム 「結界を破れる力を持ってるのは里子だけでしょ!事態は一刻を争うの!これ以上犠牲者を…」

ネムの携帯が鳴り、ネム電話に出る。

ネム 「はい、ネムです。あ、二口ねえさん!…え?うん、行く行く!大丈夫大丈夫!うん、絶対間に合う様に仕事かたづけるから!じゃ、よろしくぅ!(電話を切る)」写真

鬼太朗、細い目をしてネムを睨んでいる

ネム 「…なによ。」
鬼太朗 「合コンだろ。」
ネム 「は?何言ってんの?」
鬼太朗 「じゃ何?」
ネム 「何って…何でもいいでしょ。」
鬼太朗 「おいおいおい、まさかお前合コン行きたくて急いでるんじゃ…!」
ネム 「うるさいな!ふぬけふられ男に言われたくないね!」
鬼太朗 「ふら…ふらふらふられてねぇよ!…」
ネム 「つむじちゃんにアタックしてあっさりふられたんでしょ。」
鬼太朗 「ふられてねぇ!親友宣言されただけだ!」
ネム 「ふられてんじゃん!」
鬼太朗 「親友宣言だ!親しい友と書いて親友だ!」
ネム 「とにかく!里子と約束してるんだから急ぐよ!」
鬼太朗 「いや、だからさあ…」
ネム 「あんた今年いくつ?」
鬼太朗 「え?歳?え〜っとぉ、明治23年生まれだからぁ〜…121歳。」
ネム 「あたし122歳。」
鬼太朗 「うん。…それが?」
ネム 「年上の言う事は聞くもんだ!!」
鬼太朗 「一個違いじゃん!」
ネム 「一個でも年上は年上!行くぞ!」
鬼太朗 「この人は…」

鬼太朗、ipadの様な物を持った男にぶつかる。

鬼太朗 「あ…失礼。」

ピキーン!

フランク 「いえ。」

鬼太朗、フランクを目で追う。フランク、舞台端で立ち止まりipadを操作している。

ネム 「何?」
鬼太朗 「いや、今の…」
ネム 「あ、あれipadじゃん。」
鬼太朗 「え?いやちがくて…」
ネム 「あんたipadも知らないの?ほんとアナログよね。」
鬼太朗 「アナログ言うな!こないだ携帯は買ったぞ!」
ネム 「今頃携帯って…だめだこりゃ。」

ネム、ハケる。鬼太朗後を追う。

鬼太朗 「なんだよ、買えって言うから買ったんじゃん!」写真

鬼太朗、ハケる。ドール登場。フランクに近づく。

ドール 「ねぇフランク〜。あいつらぁ?」
フランク 「ああ。猫と、ゲゲゲだ。」
ドール 「ふ〜ん。あんなのが妖怪のトップ?」
フランク 「ああ。あんなのが。」
ドール 「あんなのがねぇ。」
フランク 「いいデータが取れた。ドール。いったん戻るぞ。」
ドール 「はぁい。」

フランク、ドール、ハケる。フラフラの鈴木が出て来る。後ろからドックも。

ドック 「ご協力ありがとうございましたぁ!」
鈴木 「世のためぇ…人のためぇ…あれ?客間さあん!…いないし… そういやご自宅が近所だって言ってたな。(手帳を取り出し)住所聞いてたっけ住所… あ、あった、台東区南浅草4丁目15…4丁目15?あれ?この住所、最近どこかで…あれ?…」

鈴木、ハケる。入れ違いにヘッドフォンの音楽に軽くノリながらダーク登場。

ドック 「世のため、人のため、ヴァンパイアのためってね。おいダーク。みつけたか?こっちは一人みつけたぜ。やっぱりこの町に違いねぇ。…ダーク?…おいダーク?!」

ダーク、ヘッドフォンを外し

ダーク 「あ?わりぃわりぃ。」
ドック 「聞いてなかった?」
ダーク 「大丈夫、楽勝っす。」
ドック 「ほんとかぁ?(急に周囲の匂いをかぐ)くんくん。おい。」

ドック、ダークを奥の方にに連れて行く。夏子とあずき登場。

あずき 「あんれぇ〜、この辺にまつげえねぇはずなんだけどなぁ〜。」
夏子 「そんなに落ち着き無いんじゃ無理ね。」
あずき 「んなことねぇだ!この日のために血のぬずむような特訓をすて…」
夏子 「努力は認めるわ。でもやっぱり力は私の方が上だし。」
あずき 「んなことねぇだ!つからならなっちゃんと互角だぁ!」
夏子 「どうかしら?」
あずき 「なっちゃんにはぜってぇ負けねぇだ!…あ!」

舞台の端から物陰に隠れて秋葉系の男がのぞいている。あずき、夏子の後ろに隠れる。

夏子 「何?」

男、隠れる。

あずき 「また、あいつ…」
夏子 「あいつって…例のストーカー?」写真
あずき 「もうホントやんだぁ〜。」
夏子 「ホントに心当たりないの?」
あずき 「ぜんぜんねぇだ。」
夏子 「ま、ストーカーにおびえてるようじゃ、やっぱりあずきには無理ね。」
あずき 「無理でねえ!」
夏子 「あ。」
あずき 「ん?」
夏子 「4丁目ってあっちじゃない?」
あずき 「あ!ホントだ、書いてある!ありがと、なっちゃん!」
夏子 「どういたしまして。」

あずき、夏子ハケる。

ドック 「あいつらもだが、ちょっと小物かな?」

ダーク、あずきと夏子の去った方をボーッと見ている。

ドック 「…ダーク?…おいまたか?…あれ?ヘッドフォンしてないね。ダーク?おいダーク?」
ダーク 「惚れた…」
ドック 「は?」
ダーク 「今の子…」
ドック 「今の子って…でもあいつらあれだぞ。」
ダーク 「あれでも惚れた…」
ドック 「おいおい…で?どっち?」
ダーク 「つんでれっぽい方…」

ダーク、夏子達の去った方にふらふらついていく。

ドック 「お、おいダーク!任務忘れるなよ!…ったく大丈夫かあれ?」

ストーカーが出て来てドックと目が合い立ち止まるが、すぐにあずき達を追いかける。

ドック 「あれは…」

次にあげぱんが登場し後を追う。

ドック 「さすが浅草。正に百鬼夜行だな。」

カーミラ登場。

カーミラ 「本当ね。」
ドック 「カーミラ様!」
カーミラ 「どうですか?」
ドック 「一人はみつけました。時止め童です。」
カーミラ 「時止めの娘ですね。始末できそうですか?」写真
ドック 「匂いをかいだだけで鳥肌がたちましたよ。思った以上に手強いかもしれませんね。」
カーミラ 「彼らの誰かが、儀式の呪文を知っているはずです。始末はそれを聞き出してから。あなたたちが頼りです。慎重かつ迅速にお願いしますね。ドック。」
ドック 「必ずや。」

カーミラ、去りかけたところに

ドック 「カーミラ様。どうです一杯?A型の一番搾り、入ってますよ。」
カーミラ 「ありがとう。でも、またの機会に。」

カーミラ去る。

ドック 「よし、後一息。(写真を取り出し語りかける)待ってろよ。」

ドック、一度ハケるが、宇宙服の様なものを来てスーパーのビニール袋を持った人が通り抜けた後、飛び出て来る。慌てた様子で辺りの匂いかぎ

ドック 「こ…この匂いは…まさか…大変だ!!」

ドック、走り去る。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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