△ 「トワの宇宙」シーン22


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字幕  リニア・メトロ・ライナー

フォック 「後5分で到着です。」
ライアン 「そろそろ準備だ。」
セカイ 「うううっ…。」
キム 「もうすぐ着きますからねぇ。」

キム、またセカイに注射を射とうとする。

ライアン 「ちょっと待て。」
キム 「…何です?」
ライアン 「到着前に確認したいことがあってな。」
キム 「確認?何を?」
フォック 「その注射、何を射ってる?」
キム 「…鎮静剤よ。」
フォック 「鎮静剤ね。」

フォックス、空の容器を取り出す。

フォック 「コリエストリンは鎮静剤じゃない。」
ライアン 「記憶喪失の人間にこんなもん射ったら逆効果じゃないのか? それとも、記憶が戻っては困る事でも?」

キム、銃を構えるが、ライアンとフォックスの方が早い。

フォック 「銃を置け。」写真

キム、銃を置く。

ライアン 「あんたとセカイ君の顔、どこかで見たはずなんだが、めずらしくピンと来なくてな。それもそのはずだ。見たのは二人が四つか五つの頃の写真だ。だがおかしいんだ。その二人は、もう50年も前に死んでいる。…あんたら…何もんだ…?」

緊張の空気の中、突然列車が揺れる。

フォック 「何だ?」

車内放送の音楽が流れる(新幹線の到着ジングル)

ライアン 「なんだ?」
ブル 「え、お客様におしらせです。え、当車両は間もなく終点キャスルロックへ到着致しますが、え、駅のホーム200メートル手前から一部天井が崩落している事がわかり、え、緊急停止システムが作動致しました。」
フォック 「なに?!」
ブル 「衝撃に備え、え、シートベルトをお閉め下さい。」
ライアン 「くそ!こんな時に!」

車両、ドーンと大きく揺れみんな倒れるが、その隙にキムとセカイが逃げる。

フォック 「待てっ!」

車両大きく揺れ、フォックス、ライアン倒れる。

ライ・フォ 「うあああああっっ!!」

轟音とともに照明が落ち、音と悲鳴。非常灯の様な明り。ブルが入って来る。

ブル 「隊長!大丈夫ですか?」
ライアン 「あぁ、何とか…フォックスは。」
フォック 「くそお!腕が座席に!」
ライアン 「ブル!手伝え!」
ブル 「はい!」

ライアンとブル、フォックスを救出のため、二人で椅子をどかそうとする。

ブル 「畜生!動かねえ!」
フォック 「まずい後ろ!」

三人と反対側に人影。

ブル 「アンドロイドだ。」
フォック 「ホントに占拠されてやがったか…」
ライアン 「しまった、停車の衝撃で銃が向こう側だ…」
ブル 「僕のは運転席だ…」
フォック 「絶体絶命か…」

ライアン前に出る。

ブル 「大佐!」
ライアン 「黙って見てろ。」写真

影の主、ハルが現われる。ハル、ライアン達に気付く。

ハル 「お?」
フォック 「大佐!無茶です!」

ライアン、ゆっくり上着を脱ぎ構える。ハルと睨み合いになるが、ポーズを変え、少し照れて咳払いしながら。

ライアン 「いっ…イチローのまね…やります…」

ライアン、イチローのバッターボックスポーズのまねをする。

ブル 「大佐?…」
フォック 「いったい何のまねです?…」
ライアン 「だからイチローのまねだと言ってるだろ!」
ブル 「…ものまね?」
フォック 「大佐!そりゃもっと無茶です!」
ライアン 「男には、負けるとわかっていても、戦わなければならない時があるんだ。」
ブル 「大佐!」
ハル 「…お前、二十一世紀のものまね芸人か?」
ライアン 「え?…いや…」
ハル 「感激だああっ!」
ブル・フォ 「ええええ〜っっっ?!」
ブル 「まさか、ホントにものまねが利いたのか?」
フォック 「奇跡だ…」
ランゼ 「違うよぉ〜。」

ランゼ登場。

ランゼ 「その子は味方のアンドロイドだよ、お髭のおじ様。」
フォック 「君は!」
ライアン 「ランゼ少佐。」
ランゼ 「すごーい!名前覚えてるんだ!」
ハル 「どうした?動けないんか?」
フォック 「腕が挟まって…」

ハル、椅子をひょいとどかす。

ハル 「ひょい。」
ブル 「…凄い…」
ランゼ 「上にはもっと仲間がいるよ。」
ライアン 「我々以外にこの列車から出て行った者はいなかったか?」
ランゼ 「ランゼは見なかったなあ。ハルちゃんは?」
ハル 「ハルちゃんも見なかったぞ。」
ライアン 「そうか。」
ランゼ 「さあ!いきましょ!」

5人ハケる。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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