△ 「トワの宇宙」シーン21


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レパード隊シャトル。皆疲れきっている。ルナ、かなり落ち込み、ぐすぐす泣いている。
トワ、シンプの怪我を治療している

シンプ 「バカですよ…お守り取りに行って死ぬなんて…神様なんていないって言ったのに…」写真

トワ、シンプに一人指切りを教える。

山田 「クラウドさん…唯一フライパンを買ってくれた人だったのに…。」
小嶋 「開運フライパンとかだましてな。」
山田 「だましてなんかねぇ!うちのフライパンは戦地から無事に戻った兵器から作ってんだ!」
小嶋 「じゃぁ何で死んだんだ?運のいい奴が死ぬか?」
山田 「なにぃ?!」
小嶋 「お前が不幸を売りつけたんじゃないのか?」
山田 「何だとこらぁ!」
トワ 「やめて下さい!」

トワ、二人の間に入る。二人、突然力が抜け。

山田・小嶋 「…はい…止めます。」
山田 「仲良くしようよ。」
小嶋 「幼なじみだもんな。」
山田・小嶋 「…ん?」

その後、ランゼ、スー、にも教える。

アイ 「あの時、私がミサイルを落としていれば…。畜生!…レパード教官…」
ミキ 「レパード?…レパードって!…まさかサユリ・レパード?!」
アイ 「ええ…」
ミキ 「うそ…そんな…」
アイ 「あなたも…お世話に?」
ミキ 「ええ…それはもう…もの凄く…」
アイ 「そう…。…そうだ。ドロップスって。」
ミキ 「ええ…あっちのロリとセクシーと三人組…」
アイ 「ミキって子は?」
ミキ 「ミキは私だけど…」
アイ 「あなたの彼氏、無事よ!」
ミキ 「え?!どうしてあなたが?」
アイ 「ブレアーズタウンで会ったの。ヘリで向かってるはずよ!」
ミキ 「生きてたかぁ…」
アイ 「あなたと連絡取れなくて心配してた。」
ミキ 「やっぱり…。隊長は?」
アイ 「ライアン大佐?」
ミキ 「ええ。」
アイ 「無事よ。」
ミキ 「そう…」

トワ、今度はミキに一人指切りを教える。樋口、隣に座っているハルに語りかけている。

樋口 「今向かっているノアっていう宇宙船には、カプセルが大量に保管してあるって噂だ。きよしはきっとそこに…。」写真

ハル、検索中。

樋口 「って、聞いてないし…」
ハル 「おおっ!!」
樋口 「びっくりした!」
ハル 「ヒットした!なになに?」
樋口 「どうした?」
ハル 「お!なんでも無いぞ。」
樋口 「え?でも今、ヒットしたとか…」
ハル 「言っていないぞ。」
樋口 「いや、言ってたって。…あ、まさか、何か隠してる?」
ハル 「隠してないぞ。」
樋口 「もしかしてきよしか?きよしの情報か?!」

ハル、ロボットのまねをする。

ハル 「ワ・タ・シ・ハ・ソ・ン・ナ・コ・ト…」
樋口 「都合悪いとロボットになるな!」

ハル、暫し樋口を見つめ。

ハル 「チャンチャン。」
樋口 「終わらすな!」
ハル 「どうもありがとうございましたぁ〜っ!」
樋口 「帰るなぁっ!」
トワ 「落ち着いて下さい!」

トワ、樋口を止める。

樋口 「はい、落ち着いた。」

トワ、二人に一人指切りを教える。

ランゼ 「やっぱミキとお髭のおじさまはルパンとハマーかも。」
スー 「なんでなんで?」
ランゼ 「これ見て。」
スー 「え?!またハマーのメモ?!」
ランゼ 「今来たメモよ。『ここまで生き残るとはやはり大した奴だ。まだ死なれちゃ困る。』」
スー 「二人とも生きてる?!」

ランゼ、スー、ミキを見る。トワ、ジャックに近づく。

トワ 「お怪我はありませんか?」
ジャック 「怪我はないけど腰が…(トワを見て)やあ!君も衛生兵?僕も医者なんだ。僕は…」
トワ 「おじさん…?」
ジャック 「おじさ…んだけど、いきなり言われたら傷つくなぁ…」
トワ 「裕樹おじさん?!」
アイ 「裕樹おじさん?」

アイがジャックに近づいて行く。

ジャック 「ゆうっ?はっ?あの、僕はジャック…」
アイ 「瀬名先生…」
ジャック 「せっ?はい?」
アイ 「どうして?」
ジャック 「…え?なにが?」
トワ 「おじさんもコールドスリープで?」
ジャック 「ちょっと待って…」
アイ 「どうして言ってくれなかったの?」
ジャック 「あの、女子に迫られるのは大歓迎だけど、ちょっと僕…わかんない…」
アイ 「なに言ってるの?」
ジャック 「だから、裕樹おじさんとか瀬名先生とか…」
トワ 「だって、お医者さんだって…」
ジャック 「いや、お医者さんはお医者さんだけど…」

アイ、急にジャックの右腕をつかみ上げる。

ジャック 「いててっ!」
アイ 「無い…」

アイ、今度は左手もつかみ上げ。

ジャック 「あいててて!」
アイ 「こっちにも…」

アイ、手を離す。

ジャック 「痛ったぁ〜…」
トワ 「大丈夫?」
アイ 「トワ。この人瀬名先生じゃない。」
トワ 「え?でも…」
アイ 「レパード教官と同じ。顔が似てるだけ。」
ジャック 「…詳しく教えてくれないかな?なんだか僕もどこかでお会いした様な…」

ジャック、アイの肩に手をまわした瞬間。

アイ 「さわるな!」

アイ、ジャックに肘鉄。

ジャック 「ぐほっ!」

アイ、ジャックに銃を向ける。

ジャック 「ごめんなさい…」
トワ 「アイちゃん!そこまでしなくても…」
ジャック 「そうそう、君、話しわかるね。僕とじっくり…」

ジャックがトワに触ろうとした瞬間、アイ、更に銃を近づける。

アイ 「トワに触るな!」
ジャック 「ごめんなさい…」
トワ 「アイちゃん!」
アイ 「この子を誰だと思ってるの?メシアよ。救世主よ!」
ドロップ組 「救世主〜っ?!」    ※(ドロップ組=ドロップス、山田、小嶋、シンプ)
ルナ 「あぁ〜っ。言っちゃった。」
アイ 「あんたなんかに…あんたなんかに触れる権利もないわ!」
トワ 「アイちゃんやめて!」

トワ、アイを止める。

アイ 「…うん…やめる…」

みんな寄って来る。

トワ 「あ、あの…」
ミキ 「トワちゃんが?」
スー 「救世主?」
ランゼ 「ランゼ感激!」
小嶋 「サイン下さい!」
山田 「でも、この子がどうやって地球を救うんだ?」
アイ 「やっとわかった気がする。多分この力よ。(ジャックに)あんた!」
ジャック 「僕?」
アイ 「トワに触ろうとして。」
ジャック 「え?…だってさっき触ろうとしたら…」
アイ 「いいから!」
ジャック 「え…はい。…じゃあ…失礼します。」

ジャックが触ろうとした瞬間。アイがジャックに銃を向ける。

アイ 「トワに触るな!」
ジャック 「え〜っ!」
トワ 「アイちゃんやめて!」

トワ、アイを止める。

アイ 「…うん…やめる…」
ジャック 「も、なにそれ?!」
ハル 「コントだな!」
樋口 「違う違う。」
アイ 「やっぱり絶対これよ、わからない?」
ジャック 「微塵もわかりません。」
アイ 「トワはね、一時的に触れた人の行動を止めたり、心を浄化する力があるの。」
小嶋 「そう言えばさっき、うちらが喧嘩した時も…」
山田 「触られた。」
アイ 「喧嘩を止められるって事は、きっと戦争も止められる。」
ミキ 「短絡的過ぎない?」
スー 「エイリアンにも利くのかしら?」
アイ 「前に猫の喧嘩も止めてたわ。」
ジャック 「猫?」
ランゼ 「微妙。」
山田 「だいたい、今戦ってんのはアンドロイドだぞ。効くのか?」
ミキ 「それに一時的じゃあまり効果は…」
アイ 「とにかく、最重要人物だって事は、きっともっと何かあるのよ。」
ハル 「コント終わりか?」
トワ 「コント?」
樋口 「だから違うって。ごめんね。無視してね。」
トワ 「むし〜っ?!!」写真
樋口 「え?どうしたの?」
アイ 「駄目駄目!それ言っちゃ駄目!」
ハル 「何をだ?」

アイ、皆を集めて小声で。

アイ 「トワは異常になくらい虫が駄目なの。気を付けて。」

樋口、普通の声で

樋口 「え?無視も…」
トワ 「やああああっ!」

樋口、小声で。

樋口 「…無視もですか?」
アイ 「むし関係に入ります。」
ミキ 「虫の嫌いな救世主。」
ジャック 「逆、ナウシカだな。」
リー 「見えたぞ!キャスルロックだ!」

みんな観に行く。

山田 「え?もしかしてあれが大統領専用船?」
小嶋 「でかすぎないか?」
ミキ 「全長4キロってとこ?」写真
リー 「こちらレパード隊シャトルです。ノア、応答願います。」
佐倉 「こちらノア。生存者の人数は?」
リー 「アンドロイドを含めて十三名です。」
佐倉 「アンドロイド?」
リー 「敵兵ではありません。」
佐倉 「瀬名トワは無事ですか?」
リー 「無事です。」
佐倉 「右舷後方のハッチをあけます。」
リー 「了解!」
アイ 「トワ、助かったよ。」
トワ 「うん。」

全員シャトルを降りる。
字幕  キャスルロックタウン 大統領専用船ノア
全員格納庫に入り、辺りをキョロキョロ

ランゼ 「格納庫でかっ!」
アイ 「あれってもしかして!」

アイ、何かを見つけ走って行く。トワも着いて行く。

アイ 「やっぱりヴァイパー2200だ!」
トワ 「戦闘機?」
アイ 「世界で三機しか残っていない幻の戦闘機!宇宙のF-1って言われてる宇宙一早い機よ!」
スー 「人の気配が全然ないわね。」
ミキ 「人間は大統領を含めて数人しか乗ってないって聞いた。」
スー 「こんなにでかいのに?!」
ミキ 「後は二基のスーパー・バイオ・コンピューターが全て動かしている。」

佐倉、登場する。

佐倉 「そのコンピューターと大統領で、戦争の全ての作戦を考え、指示しています。」写真
ランゼ 「人間だ。」
ジャック 「女子。」
佐倉 「失礼。大統領補佐官の佐倉です。みなさんよくご無事で。」
ジャック 「我ながらそう思います。」
佐倉 「早速ですが、皆さんにお願いがあります。」
アイ 「何でしょう?」
佐倉 「実は着陸時にトラブルがあり、しばらく整備に時間がかかります。」
ミキ 「どのくらい?」
佐倉 「30分程。」
ジャック 「お茶しますか?」
佐倉 「あと約20分でアンドロイド軍が攻めて来ます。」
ジャック 「お茶は無理だ。」
アイ 「つまり10分食い止めろと。」
佐倉 「ええ。」
ランゼ 「任せてちょ!」
佐倉 「この中で階級が上なのは?」
ミキ 「中佐の私ね。」
佐倉 「指揮をお願いします。」
ミキ 「了解。」
佐倉 「瀬名トワさんは?」
トワ 「私です。」
佐倉 「大統領がお待ちです。」
アイ 「トワ。」
佐倉 「大丈夫。後は任せて下さい。では後程。」

トワ、アイに目配せ。アイうなずく。佐倉、トワを連れて去る。

リー 「北北東から何か来ます!」
ミキ 「もう?」
リー 「時速500キロ!」
アイ 「ミサイル?」
リー 「待って下さい地下です!リニア・メトロ・ライナーです!」
小嶋 「まずいぞ!そいつにアンドロイドが乗ってたら!」
ミキ 「ランゼ、地下の駅へお願い。」
ランゼ 「一人?」
ミキ 「も一人好きなの連れてって。」
ランゼ 「はーい。じゃあねぇ…」

ランゼ、品定め。男達自分をアピール。

ランゼ 「ハルちゃん!」
ハル 「あっし?」

男達ガックリ。

ハル 「やった!師匠!なんかやった!」
樋口 「おめでとう。」
ハル 「行って参ります!」

ランゼ、ハル、去る。他のメンバーも別方向に去る。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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