△ 「トワの宇宙」シーン9


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映像と字幕  ポイントプレザント地区 仮設野戦病院
クラウド、シンプ、山田、小嶋、負傷してグッタリしている。
衛生兵のジャック・ホワイト三等軍曹がクラウドの治療をしている。

山田 「畜生〜…痛ぇよぉ〜…」
ジャック 「大丈夫。ちゃんと処置したんで、2時間もすれば皆さん傷も骨折も治ります。」
小嶋 「最悪だ…こんな事になるなんて…」
ジャック 「何言ってんですか、超ラッキーですよ!あなた方のクルーザーが故障したお蔭で敵の巣に落ちずに済んだんですし、それに一番ラッキーなのは、この天才医師ジャック・ホワイト様と出会えた事です!僕的には女子が一人もがいないのがアンラッキーですが…」
クラウド 「死ぬんだ…僕はここで死ぬんだあああっ!!」
ジャック 「シ〜ッ!あんまり大きな声出すと敵に見つかりますよ。」
クラウド 「婆ちゃぁん…」
ジャック 「傷は治せても、心は痛みますよね…そんな時にバッチリ効く薬があります!」
山田 「何ですか?」
ジャック 「歌ですよ!」
小嶋 「歌?」

ジャック、ギターを取り出す。

ジャック 「クラウドさん、あなたの故郷は?」
クラウド 「…ウェストバージニア州…フラットウッズ…アメリカのど田舎です…五年前まで婆ちゃんと二人暮らしで…」

ジャック、『カントリーロード』を歌い出す。

クラウド 「…婆ちゃん…」

クラウド、感激しながら一緒に歌い出す。ジャック、高台に乗って大声で歌い出す。

シンプ 「ちょっと!ジャックさん!皆さんも!ノリ過ぎですよ!大声出すと敵に見つかって…」

爆音が響き暗転。悲鳴。明転するとまた皆息を切らしてグッタリしている。

ジャック 「ここまで来ればなんとか…。いやぁ〜死ぬかと思いましたねぇ。」
山田 「あんたの歌のせいだろが。」
ジャック 「すいません、つい…」
クラウド 「でも、お蔭で少し元気がでました。」
小嶋 「こっちは死にかけたぞ。」
クラウド 「でも良く知ってましたね、あんな古い歌。」
ジャック 「ええ、殆どどんな歌でも歌えますよ。僕のジニアスは歌の記憶なんです。」
シンプ 「歌の記憶?」
ジャック 「ええ、三億曲以上の歌がここ(頭)に入ってます。」
山田 「三億曲以上?」
小嶋 「嘘だろ。」
ジャック 「嘘じゃないですよ。ちなみにあなたの故郷は?」
小嶋 「…日本の佐賀県だ。」
ジャック 「佐賀県のどちら?」
小嶋 「…鳥栖市(とすし)…」
ジャック 「もうちょい詳しく。」
小嶋 「…村田町(むらたまち)…」

ジャック、『鳥栖市立旭小学校』の校歌を歌い出す。小嶋、涙ぐみ、一緒に歌い出す。

クラウド 「なんの歌ですか?」
山田 「佐賀県鳥栖市立旭小学校の校歌です…」
シンプ 「校歌までレパートリーに?!」写真

山田も歌い出す。

シンプ 「ええっ?」
クラウド 「そう言えば幼なじみだって言ってました。」

三人の歌、また盛り上がり、ノリノリ。

シンプ 「ちょっと皆さん!声大きいですって!また敵に見つかって…」

爆音が響き暗転。悲鳴。 明転するとまた皆息を切らしてグッタリしている。

ジャック 「いやぁ〜死ぬかと思いましたねぇ。」
シンプ 「だからあなたのせいでしょ!」
ジャック 「すいません、つい…」
シンプ 「ついじゃないでしょう?!」
小嶋 「でも少し…」
山田 「元気になりました…」
シンプ 「殺されかけたでしょ!医者のくせに皆を危険にさらすなんて!私はいいんです!もうどうなっても!でもこれ以上無駄に死ぬ人間を見たくないんです!」
ジャック 「…どうかされましたか?」
クラウド 「この人神父様なのに、戦死しに来たそうなんです。」
小嶋 「戦死しに?」
山田 「どうゆうことです?」
ジャック 「良かったら、お話聞きますよ。」
シンプ 「…生き残っちゃったんですよ…私…」
クラウド 「生き残っちゃったって?」
シンプ 「…ちょうど半年前、私の教会で爆破テロがあって…ミサに来ていた80人の信者と…妻と、娘二人を失って…私だけ生き残ってしまった…」
山田 「それは…お気の毒に…」
シンプ 「自殺も考えましたが、職業柄…」
小嶋 「それで戦場に。」
シンプ 「ここに来れば、地球を守るためという…大義名分付きで死ねますから…」
クラウド 「そう言う事でしたか。」
ジャック 「…教会はどちらに?」
シンプ 「…私は歌なんかで元気になりませんよ。」
ジャック 「いいから教えて下さい。日本の方ですよね?」
シンプ 「…ええ…」
ジャック 「日本のどこです?」
シンプ 「…東京…」
ジャック 「東京の?」
シンプ 「…八王子…」
ジャック 「八王子の?」
シンプ 「堀之内…駅の近くの教会でした。別に歌になるような所では…」

ジャック、『ド○キホーテ』の歌を歌い出す。

クラウド 「なんですか?この歌?」
山田 「ド○キホーテの歌だ」
クラウド 「え?あのディスカウントショップの?あの辺にもあるのか…」

シンプ、山田、小嶋、涙ぐみ、『ジャングルだ〜♪』の部分から一緒に歌い出す。ノリノリ。

クラウド 「ああ!ちょっと皆さん!これまたまずいパターンですよ!もうちょっと声を…」写真

爆音。

クラウド 「ほら、言わんこっちゃ無い!」
山田 「そっちに隠れろ!」

全員上手に隠れる。

小嶋 「待て、センサーを見ろ!もの凄い数で敵が減って行くぞ!」
山田 「じゃあ味方か?!」
シンプ 「しかし、センサーには…」
ジャック 「1、2、3、三人しか映っていませんよ。」
山田 「三人で一気に何十人も?」
ジャック 「ドロップスだ!」
クラウド 「ドロップスって…あの特殊部隊の?!」
ジャック 「たった三人で五千人の敵を倒したっていう伝説の部隊です!」
小嶋 「この作戦に参加してたのか。」
山田 「でも、誰も正体知らないんだよな。」
クラウド 「どんな奴らなんですかね?」
ジャック 「とにかく、彼らが来れば助かります!やっぱりラッキーですようちら!」
小嶋 「来たぞ!」

五人、息をひそめる。激しい銃声の中、一人の人影が現われる。

ランゼ 「お腹減った〜っ!」

続いて二人現れる。

スー・ミキ 「あたしも〜っ。」
男五人 「ええええっっっ?!!!」
山田 「あの子達…同じ船に居た…」
小嶋 「まさか…あの子達が…」
ジャック 「女子だああっ〜」
ランゼ 「ランゼ、パフェ食べたい!(撃つ)」
スー 「フォボスのチョコバナナ?」
ランゼ 「あれ最高〜!(ランゼ、スー、撃つ)」
スー 「ダイモスのマンゴーライムも捨てがたいわね。(撃つ)」
ランゼ 「あれもいいよねぇ〜〜ミキちゃんどっち食べたい?」
ミキ 「両方。」
ランゼ 「ゆ〜じゅ〜ふだ〜ん。(三人、撃つ)」
スー 「アァ駄目。頭ん中パフェモード。」
ランゼ 「でもしばらく食べらんないよねぇ〜。」
スー 「アァ〜ッ、言わないでぇ〜っ。」
ミキ 「後ろ。」(スー、ランゼ、撃つ。)
スー・ラン 「サンキュ〜〜」

モバイルをいじるミキに

スー 「やっぱ壊れた?」
ミキ 「みたい。(撃つ)」
ランゼ 「心配ね、彼氏さん(撃つ)」
ミキ 「心配、あっちが私の事心配してないかが心配。」
スー 「お、生きてる事前提!」
ランゼ 「愛よねぇ〜」
ミキ 「愛よ。(三人、撃つ)」
ランゼ 「しゅ〜りょ〜っ!」
山田 「半径五百メートル以内の敵は殲滅…」
小嶋 「すげぇ…」
ジャック 「女子〜」
ランゼ 「皆出て来ていいよぉ〜っ!」写真

男五人、ドロップスの前に出て来る。

ジャック 「いやあ!助かりました!」
クラウド 「ありがとうございます!」
山田 「君たちドロップス?」

決めポーズしなから。

ランゼ 「イエス!」
ドロップス 「ウィーアー ドロップス!」
ジャック 「いや、みなさんカワイイっすねぇ!」
ランゼ 「イエス!」
ドロップス 「ウィーアー」
ランゼ 「Cute!」
スー 「Sexy!」
ミキ 「Beauty!」
ドロップス 「ドロップス!」
クラウド 「女神様〜っ!」
ジャック 「どこかお怪我は?」
ランゼ 「全然。」
ジャック 「そりゃ残念。」
スー 「え?」
ジャック 「いえいえ。」
小嶋 「サイン下さい!」
シンプ 「何やってんですか!」
山田 「そうだぞてめぇ!僕にも下さい。」
シンプ 「あなたも!」
ミキ 「時間が無いわ。アンドロイド達はすぐに何万もやって来る。」
スー 「取りあえず南に向かうわよ。」
ミキ 「10キロ先に町があるわ。そこで足をみつけましょう。」
ランゼ 「ついて来れる人〜っ!」
男全員 「は〜い!」

全員ハケる。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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