トップページ > ページシアター > 1/4 breed > シーン6 【公演データ】
明転すると舞台中央に里子が寝ている。傍らにはネムがいる。里子、ハッと目覚める。
里子 「ここは?」
ネム 「私のアパート。でもここが見つかるのも時間の問題ね。少し休んだら出ましょう。」
里子 「…お母さん…お母さんは?」
ネム 「大丈夫。ちゃんと病院にいるわ。」
里子 「どうして?どうして私だけこんな所に?大体何なのよあなたは!」
ネム 「そうね、自己紹介まだだったわよね。私はネムリネコ。眠りを司る妖怪よ。」
里子 「妖怪って…」
ネム 「ネムちゃんって呼んでね。」
里子 「もういい加減にして!」
ネム 「いい加減にするのはあなたの方じゃない?」
里子 「何よ、一体何のつもりよ!」
ネム 「あなたのお父さん…」
里子の動きが止まる。
ネム 「どうして死んだか知ってる?」
里子 「…事故よ。海で父さんの乗っていた船が沈んで…」
ネム 「それ、嘘よ。」
里子 「嘘?」
ネム 「本当はね、戦って死んだの。恐怖の大王と戦って世界を救う為に死んだの。」
里子 「…あなた…あなた頭がおかしいわ。(ネムにくってかかる)あなたがお母さんに妙な事ふき込んだんでしょ!」
ネム 「違うの里子ちゃん…」
里子 「いったい何が目的よ!…(去ろうとして)私帰ります。」
ネム 「じゃあ、見せてあげる。」
里子の動きが止まる。
ネム 「お父さんの最期の姿。」
里子 「見せるって?」
ネム 「私も思い出したくない事だけど、しょうがないわね。百聞は一見にしかずって言うし。」
ネム、手をかざしながら里子に近付く。
里子 「何する気?」
ネム 「言ったでしょ。私は眠りを司る妖怪って。」
ネムは里子に術をかける。暗転。
(作:松本仁也/写真:広安正敬)