トップページ > ページシアター > ダンボールキッチン > 第10回 【公演データ】
<2・5>
別空間に美弥子。椅子に腰掛けている。神戸の警察署の一部屋。あわただしい雰囲気が音で伝わってくる。
舞台上の時間、<1・5>の1週間後。
警官 (書類に眼を落としながら)…はい、確かにお預かりしました
美弥子 …
警官 じゃ、なんかわかったら連絡しますからね
美弥子 …
警官 (席を立とうとしない美弥子に)まだ何か?
美弥子 見つかるでしょうか、あの人…
警官 ううん…。変な話、事件にでも巻き込まれれば…
美弥子 事件…
警官 それは嫌でしょ、奥さん
美弥子 (頷く)
警官 何ヶ月?
美弥子 え?
警官 お子さん
美弥子 6ヶ月の終わりです
警官 (指を折って数えて)じゃ予定日は年末だ
美弥子 (頷く)
警官 それまでに見つかるといいねえ…
美弥子 …
美弥子、立ち上がり、頭を下げる。
美弥子 よろしくお願いします
警官 体、大事にねえ
美弥子、去る。警官、しばし見送ったのち書類に目を落とす。
警官 (書類を指で弾いて)…大馬鹿モンが…
転。
(作:中澤日菜子/写真:広安正敬)