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さ迷い込んだら二度とは戻れない魔の海域、バミューダトライアングル。当コラムはその海域の名を借りた、わたくし中澤日菜子と客演の方の対談コーナー。ホストもゲストもともにコトバの海に消えてゆくのです…。
さて今回の遭難者はフリーの役者としてご活躍の林成彦さん。通称「なるなる」。不等辺への客演はこれが初めてとなります。
中澤 さあ、なるなる、対談しましょうか。
林 えっ!(狼狽しつつ)中澤が、俺と退団…。
中澤 (何故そこまで狼狽しているのか不審に思いながら)そう、対談を一発、ガツンと。
林 (ますます狼狽しつつ)一発…本当にいいのか、中澤。
中澤 いいも何も、そうしないとパンフに載せるものがなくなっちゃうんだよ。
林 もしかしてそれは「退団」ではなく「対談」なのね。良かったよ、俺はまた「あたしと一緒に不等辺を捨てて!新しい劇団を旗揚げしよう!」という「退団」かと思ったよ。
中澤 …アンタなんでそういう思考回路してるかな。まあいいけど。ところでなるなるは、客演は久しぶりだけど、ずっと前にプロジェクト公演で一緒に芝居を作ってるんだよね。
林 そう。8年前になるかな。
中澤 あの頃から比べると、芝居が随分変わったよね。あの頃は「そこで目を剥くななるなる、歯を剥くななるなる!」とみんなが心で叫んでいたものだよ。
林 馬か、俺は。
中澤 やはり歳月が人を変えるのかね。
林 それはね、8年も経てば…変わらない方がおかしいでしょう。
中澤 確かに…。(横目で伊東を見ながら)変わらない人もいるけども。
林 歳月の負けか。
中澤 女は強いね。
林 そういう問題じゃないだろう。
中澤 確かに…。ところでその8年の間で、一時期、行方不明になっていたでしょう。
林 1年半くらいね。
中澤 不等辺でもいろいろ怪情報が乱れ飛んだよ。「井の頭線で見た」とか「グローブ座で会った」とか「登別クマ牧場で調教をしていた」とか…。
林 最後の、作ってるだろう。
中澤 すみません。作りました。
林 確かに北海道にもいたけどね。リュックサック1つ担いで日本全国を歩いていたんだよ。
中澤 野宿しながら?
林 そう。良い経験をしましたよ、いろいろと。
中澤 その放浪の旅から帰ってきて、去年は変わった試みをしていたよね。
林 毎月一回、朗読劇…というか一人芝居的な朗読をやっていました。
中澤 今はお休み中?
林 そうです。
中澤 じゃ、今回不等辺に客演してくれたのは…。
林 (きっぱりと)ヒマだったからです。
中澤 (がっくりとうなだれて)…またいわれてしまった…。
林 また?
中澤 去年、「双月祭」に客演してくれた桃唄309の橋本さん、通称ハシケンにも同じことを言われたんだよ。そうねそうねそうなのね、みんなヒマだから出てくれるだけなのね。
林 (さも嬉しそうに)むふふふふ。
中澤 出てみて如何ですか、「ニライカナイ」の印象は。
林 そうですね。ブラッドベリの短編みたいだな、と。
中澤 短編オムニバス、というのは不等辺でも初めてなんですよ。チーム分けして芝居を作ったのも。楽しかったよね、お互い競い合い…。
林 意見を交わし合い。
中澤 足を引っ張り合い。
林 最後の、イケナイことだろう。
中澤 すみません。イケナイことでした。それでは最後に恒例『不等辺を動物に例えると何でしょう!?』
林 恒例なの?
中澤 2回目ですけども。
林 そうね…(しばし黙考し)大きくて、
中澤 大きくて?
林 …あんまり動かない動物…。
中澤 …。
林 動物園でも、
中澤 動物園でも?
林 …比較的、人気のない…。
中澤 ……。
林 ああ、でも動物園での話だから、あくまでも。別に劇団としてとかじゃなくて。うん。
中澤 …なるなる、ウチに、何か悪感情、持ってないか?
林 持ってない持ってない。
中澤 ホント?
林 ホントホント。とりあえず意識的には。
中澤 …。
林 (さも嬉しそうに)むふふふふふふふ。