補綴と関係する偶発症では、ブリッジの破折やまれにインプラント体の破折が起こります。過重負担とならないよう、インプラントを埋入する本数、ブリッジのデザイン、咬合に注意する必要があります。
部分欠損部へは支台装置への過重負荷を避けるよう注意します。
インプラントが2本だとブリッジ装着後の回転軸は1本のみで、回転する力が加わります。
インプラントが3本以上で、回転軸を結ぶ線が三角形となるように配置すると、それぞれが回転する力に対して拮抗します。
オッセオインテグレーションが十分に得られる前に過重負担であると、インプラント脱落の原因となってしまいます。
天然歯とオッセオインテグレーテッド・インプラントの連結は原則として禁忌です。その理由は、インプラントはまったく動揺しないのに対し、天然歯は歯根膜によって(生理的に)動揺するためです。
連結した場合に考えられる問題点は、フィクスチャーに過大な力がかかってしまうこと、天然歯の歯根膜の萎縮、負荷によっては天然歯を引き抜く力が加わってしまうことです。
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どうしても連結しなければならない場合は、キー・アンド・キーウェイのような緩圧装置を用いるか、できるだけ多数のインプラントと歯根膜の負担能力が十分である天然歯を連結するようにします。
5年以上の長期的な研究から、自分の歯を治療した場合とインプラントで治療した場合を比較してみましょう。
Laurellら(1991)によると、歯周治療後に自分の歯をブリッジにした場合、問題なく機能していたものは91.7%でした。一方、Lindhら(1998)によると、インプラントの上部構造をブリッジにし、問題なく機能していたものは93.6%でした。ほとんど変わらない値です。自分の歯を利用して治療することに何ら問題はありません。インプラントでなければ望みうる治療ができない場合は除外されますが、インプラントのために天然歯を抜歯することは、果たして正しい治療といえるでしょうか?
安易にインプラントにするのではなく、自分の歯を用いたブリッジや義歯(入れ歯)が可能であるのか、可能であればどのようなデザインになるのか等、全ての選択肢を検討した上でインプラントにするか否かを考える必要があるのではないでしょうか。
最終更新2013.1.10