Knowlesら (1979)は初診時でのポケットの深さが外科処置後の改善に影響するかどうかを8年間追跡調査しました。その中で、初診時の頬側面、舌側面、隣接面におけるポケットの分布を評価しています。
(Knowlesら 1979より改変)
頬側面では浅いポケット(1-3mm)の割合が80%以上であり、中等度のポケット(4-6mm)や深いポケット(7-9mm)の割合はわずかです。
舌側面では中等度のポケットの割合が増加し、隣接面では中等度および深いポケットの割合が増加しています。
これは頬側1点法によるプロービングでは、実際の病態よりも歯周病の状態を過小評価してしまうことを意味しています。4点法ないしは6点法による歯周ポケットの測定が必要であるといえます。
HugosonとJordan(1982)はスウェーデンでの歯周病の罹患率を調査しました(20-70歳代、600人)。
(HugosonとJordan 1982より改変)
20歳代は96%が、30歳代は85%が健康か軽度の歯周炎でした。
40歳代以上はほとんどの人が歯肉炎か歯周炎に罹患していました。
重度歯周疾患であった人は、全体のおよそ8%でした。
Baelumら(1986)はタンザニアでの歯周病の罹患率を調査しました(30-69歳、170人)。
(Baelumら 1986より改変)
全ての年齢でプラークの付着がみられた歯面は90%以上、歯石の沈着がみられた歯面は50-65%、歯肉からの出血は30-40%でした。
4mmを超えるアタッチメントロス(付着の喪失)がみられたのは35%以下、6mmを超えるアタッチメントロスがみられたのは10%以下でした。
岡本ら(1988)は日本での歯周病の罹患率を調査しました(20-79歳、319人)。
(岡本ら 1988より改変)
年齢の増加で口腔清掃不良、歯肉炎、アタッチメントロスの割合が増加していました。
20-59歳において破壊性歯周疾患であるものはごくわずかでした。
60歳以上で付着喪失や欠損歯の割合が増加していました。
1.
歯周ポケットは頬側面よりも舌側面や隣接面において深いポケットがみられる。
2. 40歳以上の人はほとんどが歯周疾患に罹患している。
3. 約50%は中等度の歯周疾患である。
4. 約10%は重度(破壊性)の歯周疾患である。
5. 年齢の上昇で歯周疾患となるリスクは高くなる。
最終更新2013.1.2