ナンシー美術館 アール・ヌーボの世界にうっとり


リッチな4つ星ホテル、あのマリー・アントワネットが滞在したこともあるというGRAND HOTEL DE LA REINEにチェックインした後は、

ナンシーの市内観光です。

街の雰囲気を楽しみつつ、ウインドウショッピングをしながら再び駅に向かいました。

なぜ駅に向かったかというと、駅前でレンタカーを借りることになっていたからなのです。

(SAP夫妻がドイツで車を予約しておいてくれのでした。)

  

すごいよ!お部屋の石鹸とシャンプー[Eau d’ Hadrien]のだよ、うめ!!私達もこれで旅のアカを落としたいね。

 

どこを見学しようかと皆で盛り上がり、よ〜し!まずはナンシー派美術館だよね!!と車に勇んで乗り込みました。

駐車場は地下3Fでしたので、地上目指してぐるぐると急な坂道を登ります。

急といっても、日本の駐車場だったらもっと急なところがあるくらいだったのですが・・・。

「この車、足がすっごく重い!!なんでこんなにパワーがないんだ!?」とSAP旦那さん(仮名)が叫んでいました。

でも私達は「あら?そうなの???」という感じで、地図を見るのに夢中だったため、軽く聞き流していました。

この時の叫びに注意していたら、悲惨な目にあわなかったかも・・・・。

そうなんですよ!この時にちゃんと車をチェックしておけば・・・ と後悔することになるのですが、

この時はそんな事を思ってもいませんでした。

ナンシー派美術館は駅から遠くて、車で15分もかかるのです。

だから道順をしっかりチェックしとかなくっちゃ、という感じだったのでした。

これから迎える状況を想像できるわけもなく、私達はレンタカー屋さんからもらった地図を片手に、右だ左だと大騒ぎをしながら、

無事にナンシー派美術館に到着したのでした。

 

実は私、アールヌーボ時代の絵画・美術品、なんでも大好きなんです。

ガレ、ドーム兄弟、ミュシャ、クリムトとか、みーんな大好き!!

日本でも北澤美術館にでかけて、ああ、このタンポポのランプ欲しい〜とか、このチューリップ型の花瓶かわいいよ〜と、

展示ケースのガラスに指紋をたくさんつけてきた経験があるのです。(笑)

(美術館のガラス清掃の方、申し訳ありませんでした。ついつい興奮しちゃって。)

だから、ナンシー派美術館、とっても期待しておりました!!

 

余 談

12日で出かけた北澤美術館の中吉くん旅行記を本当ならすでにご披露していえるはずなのですが、

画像がLoveletterウイルスにやられちゃって全滅なんですよね・・・。しくしく。文章はできているんですけれども。(号泣)

このままお蔵いりなのね・・・

 

ここは、ナンシー派美術館です。展示物同様に雰囲気があります。ここでお昼とか広げられたらよかったな。

 

さて、見学の感想を述べる前に、ナンシー派美術館のウンチクをお話しすると・・・

産業革命以降、粗悪になった実用品に芸術性を取り戻そうとした美術運動は、大都市ばかりに栄えていたわけではなく、

特にガラス工芸においては、小都市ナンシーが一大拠点としてその名をとどろかせたのがエミール・ガレ 1846 ~ 1904年)です。

 もともと鉱業が盛んなロレーヌ地方では、15世紀以来ガラス工芸が発達していました。

ガラス職人だった父を継いで工芸作家になったガレは、19世紀後半に各地で開かれていた万国博覧会や装飾美術展に次々と

出品します。

エッフェル塔が立てられた1889年のパリ万博ではグランプリを受賞し、その名声を決定的になりました。

 ガレはガラス工芸だけでなく、陶芸や家具も手がけましたが、いずれの作品も日本をはじめとする東洋美術にヒントを得て、

植物や昆虫などを装飾モチーフに取り入れた点で共通しているのは皆様もご存知の通りです。

実はガレは、当時ナンシーに留学していた高島得三(のちの北海)と知り合い、彼を通して日本人の自然観を学んだのだそうです。

 ガレのほかにも、ナンシーではガラス工芸のドーム兄弟や家具のルイ・マジョレルらが活躍し、1890年代には

ナンシー派が結成され、そして1901年、ガレを会長に、産業美術地方同盟として正式にナンシー派が発足します。

現在のナンシー派美術館 Musee de l'Ecole de Nancyは、彼らのパトロンだったウジェーヌ・コルバンの私邸を改装したもので、

ナンシー派を中心とするアール・ヌーヴォー作品がコレクションされています。 

 また、美術館だけでなく、街中に点在するアール・ヌーヴォー建築も見逃せません。

ナンシーは地理的にはパリよりブリュッセルに近いため、有機的な曲線を多用するベルギーのアール・ヌーヴォー建築の影響が色濃く、

優美なカーヴを見せる窓枠や植物模様の鉄骨細工の家は、まるでおとぎ話に出てくるようにファンタジックなのです。

ナンシー派美術館の展示品は北澤美術館と異なり、ベットやライティングテーブルなどの家具が中心で、

小物類はあまり見当たりませんでした。ランプ類は北澤美術館の方が充実していたと思います。

普段あまり目にすることの出来ないアール・ヌーヴォーの家具類は圧巻で、特にトンボの羽を模したベットはそれはそれは細工が立派

で、「ここで寝たら虫に囲まれた夢を見るかも・・・」と怖くなってしまったくらいです。

個人のお宅を改造しているため、美術館といってもアットフォームな感じがして素敵でした。

アール・ヌーヴォー作品や家具・インテリアに興味がある方でしたら、ぜひ訪れてくださいね。

ちょっと遠いいけれど、一見の価値あり!です。


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